水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

隠れたユーモア短編集-5- どうですか?

2017年07月24日 00時00分00秒 | #小説

 テレピのとある番組の収録である。この国には隠れた妙な風潮がある・・と、ある外国人評論家がアナウンサーに指摘した。「どういうことでしょう?」と、アナウンサーが訊(たず)ねると、その外国人評論家は冷静に返した。
「日本ノカタハ、周囲ノ目ヲ、キニサレル。自分ノ気持ヲ、目立タナクシテ、多数ニ合ワセルコトデ安心感ヲ得ヨウトサレル訳デス」
「なるほどっ! 具体的には?」
「アタリニイル人々ヲ見回シ、私ハ、ソウ思ウンデスガ、ドウデスカ? と、人々ノ中ヘ隠レタ訳デスネ」
「隠レタ?」
「エエ、隠レタ訳デス。他ノ人ニ振ル・・ト言ウヤツデスヨ」
「なるほどっ! 日本人は主体性がないと?」
「ソウ、ソレッ! アイデンティティ、ガナイ!!」
「確かに…一般の日本人にはそんなところがありますね」
「モチロン、全部ガ全部、ト言ッテル訳ジャアリマセンヨ。ドウデスカ?」
「ははは…あなたも、日本人におなりですね」
「アッ! ソノヨウデス」
 二人は顔を見合わせ爆笑した。

                              


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