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活字メディアは社会にとって重要か

2021年07月26日 | 政治・経済
以上は、アメリカの“第一幕全力投球”主義と、日本の第二幕まで考えた社会運営の違いにはそれぞれ理由があるという解説である。読者はこれを前提に、日本が「国を開く」とはいかなることかに思考を馳(は)せてほしい。

現実には、日米交流が長く深くなると、アメリカの“第一幕全力投球”主義に染まった日本人が出てきた。典型例はホリエモン(堀江貴文氏)や村上ファンドの村上世影(よしあき)氏であった。それを礼賛(らいさん)したのがマスコミや一部の学者だが、ここにも第二幕があった。世論が変わり、第二幕の時代で、いまや第三幕の時代に入りつつある。

たとえば、「テレビ局による放送のどこに公共性があるのか」という見直し論が登場し、テレビ局をデモ隊が取り囲む現象が起きている。これは電波の割り当て行政に基づく独占性や、経済原理だけでまったく国のことを顧みない番組構成が原因だから、放送免許や電波の割り当ては一度没収して入札制で広く事業者を募ってはどうか、という議論に発展した。

日本を貶(おとし)めるかのような番組に対しては、インターネットの投稿サイトで徹底的に追及され、その経過が公開されている。こうした第三幕は、いずれ新聞にも波及する。それを見て、新聞社の大株主に新しい動きがある。いまのうちに売り抜けしたほうが得ではないか、発行部数は減少する、広告収入も減少する、これを改革する自信はない――である。

そうなると第四幕は、「活字メディアはどの程度社会にとって重要か」という議論になる。もしも外国資本に新聞社を買収されると、どうなるか。たとえばルパート・マードックが設立したニューズ・コーポレーション(本拠地オーストラリア)は、新聞、放送、出版、番組制作事業を世界的に展開するグローバル企業で、イギリスの『タイムズ』紙やアメリカの『ニューヨーク・ポスト』紙などを傘下に持つ。

日本でも1996年(平成8)年、ソフトバンクと共同で全国朝日放送(テレビ朝日)の発行済み株式の二割強を持つ旺文社メディアを買収して、テレビ朝日の大株主となった(1997年に株式売却で解消)。

ニューズ・コーポレーションだけではないが、外国資本によるメディア買収後、イギリスにおける王室報道はどうなったか。部数増加(利益拡大)のためスキャンダリズムに走り、醜聞(しゅうぶん)を大々的に報じ続けることになって、イギリス王室と社会はどうなったか――。

日本もそうなってよいのかを論ずる時代がすでに来ている。先年のライブドアによるニッポン放送買収騒動も、ホリエモンの手法は外資を用いてのものだった。

---owari---
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