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万世一系のY染色体 ~ 「女性天皇問題」は歴史の知恵に学べ(前編)

2021年09月14日 | 日本
我が国の歴史は、すでに解答を用意している。

畏れ多い事ながら、現在論議されている「女性天皇」が実現した結果として起こりうる未来をシミュレーションしたのが、以下の二つのシナリオである。

(「愛子様、おかわいそう」ケース1)
21世紀の最初の年にお生まれになった愛子様も、世紀末が近づく頃には80代の老境に入られていた。うら若き頃から女性皇太子となり、第127代天皇になられる事が決まっていたため、妙齢になっても配偶者に恵まれず、子も孫もいない寂しい毎日だった。

愛子天皇の前には8人10代の女性天皇がいたが、天皇が亡くなられた後に皇后が即位された場合(*1)か、生涯独身を通された場合(*2)のみで、女性天皇として夫を持たれた例は日本史上、一人もいない。愛子・天皇も自らが望んだわけではなかったが、配偶者には恵まれなかった。

    *1 第33代・推古天皇、第35代・皇極天皇(第37代斉明天皇)
     *2 第44代・元正天皇、第46代・孝謙天皇(第48代・称徳天皇)、第109代・明正天皇、第117代・後桜町天皇

父・天皇が皇太子の時代に、皇太子妃として母を選んだ際にも大変だったと聞いている。まして、史上初の「女性天皇の夫」などという立場には、まともな男性はみな尻込みしてしまった。

秋篠宮の眞子(まこ)様、佳子(かこ)様は、皇室を去られて、民間人男性と結ばれ、孫達に囲まれて幸福な晩年を過ごしている。それが皇室に生まれた女性の定めなのだ。私もその定めに従っていれば、同じように幸せに暮らせたはずなのだ。

愛子天皇はそんな不満も口には出さずに、日々の宮中祭祀や、重要行事への臨席、外国からの賓客のもてなし、そして年に何回もの海外公式訪問と、息つく暇もないほどのお勤めを果たされていたが、すでに80代のお体には大変な負担だった。

(老女性天皇の孤独)
しかし、最大の悲しみは次代天皇となるべき皇太子がいないことだった。現在の皇室には、愛子天皇ただ一人しかいない。127代も続いた皇室が自分の代で断絶してしまう、と思うと、日の本の民の幸福を祈り続けてきた歴代の天皇様方になんとお詫びしてよいのか分からなかった。

どうしてこのような事になってしまったのか、他に道はなかったのか。愛子様が生まれた後、他に男子の世継ぎが生まれなかった事から、政府は皇室典範を改定して、女性も天皇になれるようにした。しかし、その女性天皇が配偶者を持てない場合、あるいは、持ったとしても皇子に恵まれなかったら、後継問題を一代先送りしただけに過ぎない。そこまできちんと考える人がいなかったのである。

老女性天皇が覚束(おぼつか)ない足取りで、海外公式訪問の飛行機のタラップを登られるその背中に、そんな深い苦しみ、悲しみがにじみ出ていた。多くの国民もそれを感じ取って、「愛子様、お可愛そう」と感じたが、ことここに至ってはなすすべもなかった。そしてただ一人皇室を守る老女性天皇に象徴されるかのように、日本全体も高齢化が進み、活力を失っていった。

(「愛子様、おかわいそう」ケース2)
21世紀の末期、80代の愛子天皇は思いやりの深い夫と、お子様達、お孫様達に恵まれ、多忙な公務をこなしながらも、充実した日々を送られていた。それも学習院時代の同級生と結ばれるという幸運のおかげだった。お相手は立派な人格と見識を持った青年で、裕福な一族からは「財産も十分あるのに、何を好きこのんで『天皇の夫』などという不自由な身分になるのか」と猛反対されたが、当時皇太子だった愛子様との愛を貫き通して、ついに結婚にまでこぎつけたのである。

愛子天皇のご長男はすでに50代。皇太子として、時に老境の母天皇に替わって、外国公式訪問などの公務を担われていた。いかにも篤実な風貌と思いやりに満ちた言動は、海外でも"Prince of Japan"として人気を集めていた。

しかし愛子天皇の悩みは国内にあった。一部の国内勢力は、今の皇太子は「女系の男子」で、天皇になる資格はない、というのである。

(「男系」と「女系」)
「男系」とは、父親か、あるいは父親の父親というように、男親を辿っていくと天皇につながる家系を言う。愛子天皇は父・先帝陛下の娘なので「男系の女子」である。前章で言及した8代10人の女性天皇もいずれも父親が天皇であるから「男系の女子」である。

「女系」とは母親や祖母など女親を介して天皇につながる家系を言う。愛子天皇の長男は「女系の男子」である。過去、8代10人の女性天皇はいたが、それらの方々が皇室外の人間と結婚して、子をなし、その女系の人間が皇位についた先例はない。また天皇の娘が皇室外の人間と結婚した場合は、皇族からは離れられる。「万世一系の皇統」とは、このように実に126代に渡って、「男系による継承」が一度の例外もなく忠実に守られてきた事実を言う。

愛子様のご長男が即位すれば、その伝統が破壊されるのである。「女系で天皇に即位した例はない」と「女系反対」の主張はマスコミを賑わした。史実に基づく主張だけに、保守派も反論できなかった。

すでに次代の男系が絶えた今、女系の即位が認められなければ、次の天皇はいない。天皇制は自然消滅となる。国民はようやく気づいた。21世紀初頭にマスコミは女性天皇賛成論で賑わい、その勢いで皇室典範が改定されて愛子様が皇太子から女性天皇となるレールが敷かれた。その上で、今度は「女系反対論」である。女性天皇を二階に上げておいて、梯子をはずしてしまう戦術である。「女性天皇賛成論」とは本音では天皇制廃止を目論む左翼やフェミニスト達の戦術だったのか。

いずれにせよ、愛子天皇のご長男をめぐる論争で、皇室の権威は深く傷つけられ、国民の一体感も失われていった。

(「女性天皇」論議には、その次の天皇を議論する必要)
国民の間には「過去にも女性天皇がいらっしゃったのだから、愛子様が即位されてもおかしくない」「男女平等の時代ではないか」という事から、女性天皇を容認するムードが強い。しかし、愛子天皇の後継者を考えておかなければ、単に問題を先送りしただけに終わってしまう。

過去の8代10人の女性天皇の場合は、いずれも男系男子の後継者が存在し、その中継ぎとして即位されたものである。たとえば、歴史上最も近い時代の女性天皇は、江戸時代中期の第117代・後桜町天皇(在位 1762~1770)である。第115代桜町天皇の皇女としてお生まれになったが、異母弟であった第116代桃園天皇がわずか21歳で病没された時、その皇子がまだ4歳であったため、成長されるまでの中継ぎとして伯母にあたる後桜町天皇が即位された。

「女性天皇がいらっしゃった」という史実から「女性天皇で良い」と結論するのは早急に過ぎる。「女性天皇はいずれも男系男子の後継者がいらっしゃった」という点を踏まえて、愛子天皇の後継者はどうなるのか、という点も考えておく必要がある。それを考えると、上記の二つのシミュレーションのように、いずれも暗い結果が予想されてしまう。

---owari---
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