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日本の良さを知ろう

2021年06月03日 | 政治・経済
だいたい「日本がたいへんだ。たいへんだ」と言っていますが、そんなことはありません。経済的な数字の上では横ばいかもしれませんが、その他の点では日本が断然成長しているということを知らなければなりません。

前述しましたが、たとえば、日本の休日はどんどん増えてきました。1980年代から土曜日を休日とする週休2日制が広く採用されるようになり、今ではそれが一般的となっています。また、1948年に「国民の祝日に関する法律」ができたときの祝日は9日でしたが、2016年には16日まで増えています。

さらにリフレッシュ休暇を採用している会社も増えていますし、企業に対して社員の有給休暇の消化を義務化する動きも強まっています。これだけ休みが増えても経済成長率が横ばいだということは、日本の経済成長率は、実質的には2~3%は上積みできているということでしょう。

だいたい私の若い頃なんか、土曜日の午後ずっと仕事していたものです。それから比べれば、横ばいなら万々歳だと言ってもいいと思いますね。

それから数字では表せない、たとえば、住み心地という観点からも日本は世界有数の国です。夜になっても女性がひとりで安心して歩ける国は日本しかありません。それを安心料としてとらえれば、日本の価値を1~2%高く評価したっていいでしょう。

水もそう。水道の水をそのまま飲める国なんて、世界中ありません。みんな瓶入りの水を買ってくる。その瓶の水だって、東南アジアでは水道の水を詰めていたりするから信用できません。

あるいは警察官の質も全然違います。日本の警察官で賄賂を取る人なんていない。でも、海外では10ドルか20ドル渡すと、「はいOK!」という国がいくらでもあります。

ところが、今の経済学ではそうした価値はまったく計算されていないのです。そういう意味では、経済学そのものがもう終わっています。だって習ってもなんの役にも立たないでしょう。常識で考えてわかることを教えているだけなのですからね。

たとえばノーベル経済学賞なんて、本当に意味がない。そりゃ、賞金をもらえる本人はうれしいかもしれませんが、中身を聞いたら、アホらしい・・・・・。

だいたいノーベル経済学賞を取ったからと言って、その人がほんとうの意味で経済をわかっているわけではありません。せいぜいファンドを始めるときに信用をつけるための肩書きになる程度のものと言ってもいいほどです。

1998年に「LTCM」(ロング・ターム・キャピタル・マネジメント)という巨大ファンドが破綻しましたが、そのチームに2人のノーベル経済学賞受賞者がいたことが、それを証明しています。

およそ、経済活動の動きを正確に予測することなど不可能なのです。経済を測る指標や経済を導く道標みたいなものなんて、時々刻々と生まれて、また取り換えられていく程度のものです。それを追っかけていったって仕方がない。

ところで、日本の良さを知るのは、日本を見るしかありません。しかし、今まで日本に住んでいながら日本を見ていなかった人に、「日本を見ろ」と言っても無駄でしょうね。

日本の天気予報はよく当たります。天気は西から東へ移っていくからです。
それを利用する農家の人々は、雨の前か雨の降り始めに収穫してトラックに積み、雨の一足先を走って、東京・大阪に出荷すると、高く売れると言います。
あるいは晴れてから収穫して出荷するかどうか、物価指数を見る目も必要なようです。

こんなことを言うと意地悪を言っているみたいですけど、せっかく日本に住んでいながら日本の良さがわからない人は、しょうがないから外国に行って、よく見てくるしかないでしょう。そのときも、闇雲に「外国に学ばなきゃ」ではなく、「日本と比べて、どうなんだ?」という客観的な目で見ることです。

そもそも、今、大学に行って良い成績を取るということは、アングロ・サクソン流の理屈を学ぶということ、つまり日本人離れすることを意味しています。

それを全面否定するする必要はありません。アングロ・サクソン流の理屈もあることを知るのはいいことでしょう。しかし、またそれにとどまらず、日本流の発想に戻れる力を持つことが何より大切です。

これからは、外国に学ぶにしても日本の良さをわかったうえで海外に学ぶという姿勢が求められるのです。日本の良さやすばらしさも知らずに、外国かぶれして学んだ気になっても、まったく役に立たないと思って間違いありません。

(日下公人著書「『日本大出動』トランプなんか怖くない(2016年6月発刊)」から転載)

---owari---
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