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シリーズ・トランプ革命② 「トランプ革命」の持つ本当の意味とは何か?

2017年05月27日 | 政治・経済

2016年は革命的な年でした。

トランプ政権はアメリカの革命のために、出現したものです。

オバマ大統領は理想主義者なので、傍目から理想的に見えるようなことをしたがる傾向のある方だったのですが、やはり、経営思想がなかったのではないかと思います。

 

昨年の9月、安倍首相は、アメリカ大統領選挙戦の前に、ヒラリー・クリントン氏にアメリカで会っています。外務省は、予測をすべて間違えました。そして、ヒラリーが敗れた後にトランプ当選の準備を怠っていたので、コネクションがまったくなかったのでした。これも外務省の大きな失態です。

 

やはり、今の外務省には「智慧の力」が足りないと言わざるを得ないのです。

それほど大事なものであるのです。見通しを間違えれば、一国が滅びることすらあるのであって、その「厳しさ」を知っていなければなりません。国際政治の動向を読むということは非常に重要なことです。

 

今、世界のなかで一番お騒がせな国は北朝鮮ですが、最も注意が必要な国は領土拡大と覇権主義を目指している中国です。

 

中国は今、軍事的覇権をもって世界の大国になろうとし、アメリカに覇権戦争を挑んできました。そして、オバマ大統領の時代に、アメリカは後退したわけです。

 

しかし、トランプ氏の場合は、そうはいかないでしょう。それは、大統領就任前に、台湾の蔡英文総統に電話を入れたところからも分かるだろうと思います。あるいは、キューバに対して、「民主化をせよ」と圧力をかけたところや、ロシアのプーチン大統領と友好的に付き合おうとしているところからも分かるはずです。

 

では、台湾の蔡英文総統に電話を入れ、ロシアのプーチン大統領と友好的に接近しようとしている人が考えていることとは何でしょうか。それは、「中国の覇権を止める」ということです。これが、「トランプ革命」の本当の意味なのです。私たちは、これを見逃してはなりません。

 

ただし、それが分かるのは、今年からです。トランプ氏の本心が少しずつ分かってくるだろうと思います。

 

トランプ氏は、「中南米からの麻薬がアメリカにたくさん入って、それで金儲けされ、アメリカ人が退廃的になって蝕まれていくこと」をすごく恐れているのだと思います。

彼はああいう豪快な人ではありますが、ご自身では、麻薬はもちろん、酒もタバコもコーヒーも飲まない方です。極めて禁欲的な生活を送っておられますが、おそらく、ビジネスで頭がクリアになるようにしているのでしょう。

 

確かに、「メキシコとの間に壁をつくる」などということだけを聞けば、非常に乱暴なことを言う方だと思うかもしれません。しかし、その意図は、犯罪の流入とアメリカの堕落を防ぐことです。そういう意図を持っているところを、よく見なければいけないのではないかと考えます。

 

話は少しかわります。

日米の経済が長期間、衰退したことは幾つかの原因があると考えられますが、その核心は90年代から始めた「グローバリズム」だと思うのです。

 

企業がグローバル化することによって、「税金逃れ」をできる体制ができてしまったことを意味します。これをもう少し、「国内に税金を払ってくれる体質へと戻す必要がある」のではないでしょうか。

 

したがって、「中国の一人勝ちを止める」ということであれば、TPPも一つの案ではあったけれども、「もう一回、関税の自主権を取り戻し、国対国の採算を点検していく」というトランプ型の考え方も一つの方法としてはあるでしょう。

 

「グローバリズム」は、企業の生き残りがかかった部分もあるでしょう。しかし、最も問題だったのは、その企業エゴイズムによって海外へ出ていったものが、結局、中国経済を何十倍にも肥大化させ、そうして貯まったお金を、中国は、次に戦略・戦術方面へと転化し、覇権主義・軍国主義のほうに移行しつつあるということです。

 

今、中国は人口が増えていますが、おおよそ、「人口の増えた国は戦争をする」というのが歴史の法則でもあるので、次にはアジアの国々が狙われ始めているわけです。したがって、香港が北京政府によって次第に自由を奪われつつあるように、おそらく、中国の傘下に入った他の国も同じような状態になっていくことでしょう。

 

そのなかで、中国が求めていることは「富の搾取」であり、これは共産主義の理想に反したことですが、実際にそれを行おうとしているのだろうと思います。そうした、中国的なものをヨーロッパ、アフリカまで広げていこうと、彼らは考えているところなのでしょう。

 

一方、トランプ氏が考えていることは、「この貿易構造を変えないかぎり、中国にお金が貯まり、アメリカの財政赤字や貿易赤字等が続いていく流れを止められないので、国内をもう少し富まさなければいけない」ということでしょう。そこで、「国内の従業員を増やして失業率を減らしつつ、納税者を増やしていくことで国を充実させる」、また、「違法移民や犯罪者等を国内にたくさん溜めないようにする」といったことで、国の立て直しを図ろうと考えていると思います。

 

中国がAIIB(アジアインフラ投資銀行)を中心とする経済網をつくったのは、自国のシーレーンを護るためです。また、中国が推進する「一帯一路構想」も同じです。

 

石油タンカーがマラッカ海峡を通らずしては、中国経済も崩壊します。石油が入らなくなると、中国経済も危なくなるので、アラビア半島から中国への航海ルートを押さえたいところでしょう。そのため、周りの国に言うことをきかせ、自分たちの思うとおりにしたいと思っているはずです。

 

中国は、自国のタンカーも停泊できるような港湾づくりをするために、他国にお金を出しており、例えば、スリランカの港を整備させるなど、さまざまなことをしていて、ヨーロッパのほうにまでその手を伸ばそうとしているわけです。

 

しかし、そのスリランカでは道路や鉄道建設なども中国資本によって賄ってきたが、貸付金利が高く、スリランカは支払えないため港湾付近の土地を99年間、中国に租借(統治すること)すると発表した。これに激怒した国民が港湾建設への反対運動を起こし、「中国の植民地化」の懸念が同国内で広まったのです。

 

またインドは、「一帯一路構想」の国際会議への代表派遣を見送りました。中国とパキスタンが協力する経済回路の建設地が、インドとパキスタンが領有権を巡って争うカシミール地方と被っていることに懸念を示したためです。

 

中国が貿易で儲けたお金を、軍事的拡張主義や核兵器の増大のために使われていくのであれば、周辺国はたまりません。

 

トランプ氏は、貿易において片方の国のみが一方的に儲けているような状況であるのは、やはり、おかしいと考え、国の関税自主権でもって調整すべきだと判断しているのです。

 

この25年間での米中における問題として挙げられることは、中国が対米に関しては非常に緩い基準でもって多額のドル預金、さらに米国国債を持ってしまい、米国の政治を揺さぶられるまでの力を持つに至ったということがあります。

 

これに対し、トランプ氏としては、おそらく、まずは中国が持っているドル債券、アメリカから儲けた部分を減らそうとするでしょう。これは、軍事的な戦い以前の、いわゆる”兵糧“の問題です。兵糧戦であるため、「そう長くは戦えず、大きな戦いができないようにさせよう」としているのだと見ています。

 

そのように、発想は経営者でありながら、「軍人としての発想」もしっかりと持っていると思われます。私は、「トランプ氏によって、中国の軍事的な拡張主義を封じ込められる」のではないかと思っています。

 

トランプ氏はそれほど簡単に、大きく信念を変えない人だと見ています。いちおう、その見通しの下に、日本のあり方も変えていくべきではないでしょうか。

 

「アメリカの経済が強くなることが、世界に対してどのような影響を及ぼすか」ということを、今後とも注目してみたいところです。

 

---owari---

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