このゆびと~まれ!

「日々の暮らしの中から感動や発見を伝えたい」

大泣きすればなぜ心がすっきりするのか?

2016年08月24日 | 人体

あなたは最近、涙を流しましたか?

 

愛する人やペットと別れるとき、不本意なことに怒りや悔しさがこみあげてくるとき、積年の努力が報われたとき、映画やスポーツを観て感激したとき……人はさまざまなシーンで号泣したり、嗚咽したり、もらい泣きしたりします。

 

こうした感情による涙は、他の動物には見られない人間特有の現象といわれています。私たちはどんなときに涙を流すのでしょうか。何のために涙を流すのでしょうか。

 

「涙」には大きく分けて3種類あります。1つは目の表面を保護したり酸素や栄養を供給したりするために基礎的に分泌される涙です。2つ目は玉ねぎを切ったときや、煙やゴミが目に入ったとき、ワサビを食べたときなどに出る反射的な涙です。そして3つめは、喜怒哀楽など感情の起伏によって分泌される情動的な涙です。通常、人が「泣く」というときの涙は、この感情による涙を指します。

 

涙なんてどれも同じだろうと、ふだんはあまり気にも留めない涙ですが、タマネギを切ったときに出る涙と、映画を見て泣いたときの涙では成分に違いがあるのです。映画を見て出た涙には高濃度のタンパク質が含まれていたということがわかったのです(1985年アメリカの生化学者ウイリアム・フレイ博士の調査による)。

 

つまり、映画やドラマを見たり、本を読んだり、失恋したり、感動したりするときに出る涙は、タマネギを切ったり、あくびをしたときに出る涙とは違い、 何らかのカタルシス(心の中に溜まっていた澱(おり)のような感情が解放され、気持ちが浄化される)効果があるのです。

 

 

感情によって涙が流れると、脳から分泌されるホルモンの「プロラクチン」や、副腎皮質刺激ホルモンの「ACTH」、副腎皮質ホルモンの「コルチゾール」といったストレス物質も涙と一緒に体外に流れ出ます。つまり、感情がたかぶって流れる涙には、ストレスの原因になる物質を排出する重要な役割があるのです。

 

感情によって流された涙には精神的なストレスを解消する働きがあるというわけです。

ということは、「泣けばすっきりする」とか「泣いてすべてを忘れる」などとよく言われますが、科学的に証明されたということではないでしょうか。

 

また、泣いたあとにはエンドルフィンという「幸福ホルモン」が分泌されることがわかってきました。この神経伝達物質は別名、脳内モルヒネ、脳内麻薬とも呼ばれ、モルヒネの数倍もの強い鎮静作用をもつ物質として知られています。 

 

このようにエンドルフィンというホルモンには、脳を活性化し、精神的なストレスの解消に効果があり、免疫細胞の働きを強める作用があります。そして泣いた本人に幸せな気持ちをもたらせて、心をスッキリさせる効果があります。

 

悲しいときやくやしいときは、遠慮せずに思いっきり泣きましょう。涙を流すことで体内の毒であるストレス物質が排出され、心がスッキリとして免疫力 も高まるのです。泣くのをがまんするのは毒をため込むのと同じです。ただし、うそ泣きをしても意味がありません。逆にストレスが増えるといわれています。 当然、タマネギを切って涙を流したとしてもストレスが解消されるわけではありません。

 

涙は血液を原料にして涙腺でつくられます。成分の98%は水で、残り2%はタンパク質やナトリウム、リン酸塩などです。

 

涙がしょっ ぱく感じるときがありませんか? 感動の涙や悲嘆の涙ではなく、悔しいときの涙だそうです。悔しさや怒りを感じているときは交感神経が刺激されて涙はナトリウムを多く含み、「しょっぱく」なるというのです。悲しいときや嬉しいときの涙は、「水っぽくて甘い」のだそうです。 

 

感情と涙は切っても切れない関係にありますが、そもそも感情とは、期待との関係で生まれます。

喜びは、期待していることが実現したときの感情です。不安は、期待していることが実現しないのではないかと思ったときの感情。怒りは、当然期待していることが実現しなかったときの感情。悲しみは、期待していることを完全に失ってしまったときの感情です。

深く絶望している人は、一切期待しないので、感情が生まれません。だから、ひどいうつになると無表情になり、感動的なシーンに接しても、嬉しくもなければ悲しくもなく、泣くこともないのです。

 

人は傷ついたとき、強がったり、いい人ぶったりして、本当の感情を歪曲して防衛していることがよくあります。例えば「この失敗もオレのキャリアの1つだね」などと無理して頭でっかちにプラス思考を装っていても、実は体内ではストレス物質のアドレナリンやノルアドレナリンが分泌され、胃がキューっと収縮したり、免疫力が落ちたりしているのです。

 

このように抑えた感情を表に出していくためには、ぬるめのお風呂にゆったり浸かったり、上半身の力を抜いて、へそ下4、5cmの所にある丹田に意識を向けて呼吸する「丹田呼吸(腹式呼吸)」をして、心身をリラックスさせるとよいと言われています。

 

そして、「本当は、あのとき○○したかったんだよな」「本当は、あのとき気持ちを理解してほしかったんだよね」「考えてみれば、私もよく耐えてきたよな」などと自問自答してみることです。そうすると、押し殺していた自分の本当の感情に気づくことができ、自然とほろほろ泣けて癒されるのです。

 

また、泣くことは笑うことと同様に免疫力を高めます。笑うことが免疫力を高めることは既に明らかになっています。免疫力とは細菌やウイルスが体内に入ってきたときに、それを異物として排除しようとする仕組みのことです。

このとき大事な働きをするのが白血球ですが、 その中でウイルスなどの異物を食べてしまう「マクロファージ」と、ウイルスなどに感染した細胞を殺す「ナチュラルキラー細胞」などの働きが、笑った後には活性化していることがわかっています。同様のことが、泣いた後にも確認されているのです。

 

大泣きでなく、ひっそりと泣いても、しゃくりあげて泣いても、クッションに顔を押し付けて泣いしても、その効果は同じということです。

 

悲しい涙には「幸福ホルモン」が詰まっているのです。

大泣きすれば、ストレス物質「コルチゾール」を体外に排出します。

泣けば、笑うことと同様に免疫力を高めるのです。

 

これらはすべて仏の慈悲なのです。

悲しみにくれている人間を立ち直させるために、

感動する人びとの美しさを増すために、仏が与えたもうた愛なのです。

 

---owari---

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 日本はなぜ20年間も経済成... | トップ | 天使たちのメッセージ (1) ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

人体」カテゴリの最新記事