(「語り部」によって正確に伝わってきている神話)
日本の神話をあまりバカにしてはいけないのです。日本人だけが、記憶力が悪いわけではないでしょう。
例えば、インドの神様は、ほとんど書き物ではなく、口承(こうしょう)や口伝(くでん)によるものです。インド人は何千年もの歴史をずっと暗記し続けていて、それが伝わってきているのですが、意外に正確に伝わってきています。彼らの頭のなかにすべてが入っていて、口で伝えているわけです。
『古事記』がつくられたときも、「稗田阿礼(ひえだのあれ)が口承した」つまり「口で伝えた」と言われていますが、そういう「語(かた)り部(べ)」によって伝えられてきたものでも、意外に昔の人は正確に物語を暗記できるので、それほどバカにしたものではないと私は思います。
したがって、神代(かみよ)の時代を全部否定することには、やはり問題があるでしょう。
(今、明らかになってきつつある「神武天皇の実在」)
私も現代の左翼系の歴史教科書で勉強し、受験をしてきたため、「神武天皇は実在が疑われている」と思っていました。しかし、今、神武天皇について、だんだん明らかになってきつつあります。神武天皇が実在したことが分かってきつつあるのです。
今、古代の日本史では、「神武天皇が初代天皇である」と言われています。ただ、「日向(ひゅうが)の地から東征(とうせい)して大和まで入った」といっても、距離があるためになかなか信じがたい人が多いのは事実でしょう。
「この国を初めて司(つかさど)った天皇」という別名を持っているのは神武天皇ですが、もう一人同じ別名を持っている天皇が、第十代の崇神(すじん)天皇です。そのため、「実際は、崇神天皇が神武天皇であろう」という意見もあります。そうすると、天皇の歴史が十代ぐらい後ろに下がるわけです。
しかし、神武天皇は宮崎県で生まれられ、東征されました。崇神天皇は奈良の地、大和で生まれました。だから、別の存在です。「初めて国を治めた天皇」といっても、意味が違うのです。
『東征して大和朝廷(ちょうてい)を開いた』という意味と、『大和朝廷のなかで、さらに国の体制をかっちりとさせた』という意味があるのです。そのため、そういう尊称(そんしょう)で言われているだけなので、神武天皇と同一人物ではありません。古墳は別々にあり、宮内庁が管理しています。
このように、学者は別な人を同一人物にしますので、気をつけなければいけないと思います。
---owari---
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