(教団のなかで「生まれによる違い」を廃止した仏陀)
インドでも、長い間、階層社会が続いています。「カースト制度」があり、生まれによって身分が決まっているからです。
ちなみに、仏陀(ぶつだ)は、一般には、このカースト制度に反対したかのように言われていますが、正式に言えば、カースト制度そのものを否定したとは言えない部分もあります。
ただ、ある意味で、仏陀は、仏教教団において、「生まれによる違い」というものを廃止(はいし)しました。それに代わって、「修行の年数」や「悟(さと)りのレベル」などを別の尺度として出したのです。
あるいは、「僧侶(そうりょ)としての徳の問題」と言ってもよいかもしれません。後世のものになるかもしれませんが、修行の程度によって、「阿闍梨(あじゃり)」や「大阿闍梨」などというものも出てきたように、修行によって分かれることもあったのです。
いずれにしても、出家する前には、バラモンという僧侶階級であったり、クシャトリヤという武士・王侯貴族階級であったり、バイシャという商人階級であったり、シュードラという奴隷(どれい)階級であったり、あるいは、その外のアウト・カーストであったり、いろいろあるわけですが、そういう者が、出家して剃髪(ていはつ)し、同じ袈裟衣(けさころも)を着ることによって、一種の平等化がなされます。
「スタート点における平等が確保されて、その後の精進(しょうじん)によって道が変わる」ということが、宗教上は行われていたのです。
---owari---
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