このゆびと~まれ!

「日々の暮らしの中から感動や発見を伝えたい」

神聖の社と庭園④ 京都・桂離宮

2019年09月13日 | 日本
桂離宮。初めてここを訪ねたのは、いまから十九年前の秋のことでした。年月をへて、自ら変わって、これを再見するとき、いかにこの名園の、無意識に根を下ろして生彩を放ちつづけているかに驚かされます。

一季節から他の季節へと、庭園変わって、また変わらず。諸々の点景を結びつけている調和は不変なのです。そのように、人は、その胸中を占める種々(くさぐさ)の思いも面影もすべて消えはてて、そののちに、心底に不易のものありということに気づくのでありましょう。

絶えざる変貌という点において、桂離宮は、我々自身の内なる生命の反映といえます。我が心のなかで、それは、死の観念の鎮めとなってくれました。

またも二十年後に還りきたし。

――この章は終わりです。

---owari---
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