日本人は、「子どもは神の子仏の子」と言って親よりも大切にしてきました。
たとえば、七五三は、神様に「ちゃんとこの歳まで育ちました。大きくなりました」と報告に行く儀式なんです。それまでは赤ちゃんとして、かわいいかわいいといって育てていた。だから何かを仕込んだり鍛えたりするのは七つ八つ過ぎてからでした。
それからしばらくあって、十五歳になると、武士の子どもであればお殿様のところへ挨拶に行く。そこからはもう大人として見られました。十五歳でお殿様に挨拶をしたら一人前の武士として一身を捧げたわけです。
そこにケジメがあったんです。
ところが、最近の親はケジメもないままいつまでも子離れしない。前述したように二十歳過ぎても子ども扱いしています。これはかなり情けないことです。今の日本で、十八歳で選挙権を与えていいのかと思ってしまいます。
それに対して、アメリカでは十八歳になったらもう完全な大人として扱います。
十八歳になると一人前だから、「大学へやるけどお金は自分で稼げ」ということになります。親が出すとしても、「貸してやる」です。だからほとんどがアルバイトをして、自分で学費を稼ごうとします。
もっと言えば、アメリカでは十八歳になれば家を出るのが当たり前です。クリスマスには、我が家に遊びに来いといって、お互いにプレゼントする。もう、子どもじゃなくて、別人格の人間として見るわけです。
それに対して、日本では三十歳になってもまだ家の中でゴロゴロしてるのがいるのですから、そこは大きな違いですね。
日本の親は、もっとケジメをもって子どもと接するべきでしょう。さすがに十五歳はかわいそうですが、「十八歳になったら大人なんだ」という自覚を持たせるべきでしょうね。
(日下公人著書「『日本大出動』トランプなんか怖くない(2016年6月発刊)」から転載)
---owari---
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