(この世は「魂を磨くための学校」である)
東日本大震災について、「マグニチュード9.0の大きな地震であり、千年に一度の規模だった」と聞くと、確かに、「もう、どうしようもない」といった無力感が漂(ただよ)うことでしょう。
しかし、実は、これこそが仏教の本道そのものです。すなわち、「この世における人生は、抵抗しがたい不幸に見舞われることになっているのだ」ということが仏教の基本理論なのです。
仏教の教えの旗印は、第一に「諸行無常(しょぎょうむじょう)」です。「世の中に、常なるものは何一つない。すべては、流れ去り、破壊され、消えていくものである。この世において、常なるものなどないのだ」という教えが、仏教における最初の教えです。まさしく、津波も洪水も地震も、すべて、流れ去っていくものなのです。
被災者の方々は、「家に住めない」「家が壊れた」「職を追われた」「家族を亡くした」など、さまざまな問題を抱えていることでしょう。
ただ、かたちは違えども、同じようなことは二千五百年前の仏陀(ぶつだ)の時代にもありました。「そのなかで、どのように生きていくか」ということを、仏教は教えているわけです。
この世のものに執着(しゅうちゃく)してはなりません。あの世に持って還(かえ)れるものは心だけなのですから、これを磨(みが)くしかないのです。
この世で起きる、あらゆる事象、すなわち、不幸体験や幸福体験、人間関係も含めた、さまざまな出来事は、すべて、自分自身の魂を磨くためのものであり、この世には「魂の学校」としての意味があるのです。
たとえ、この世において、どのような不幸が起きようとも、「そのなかを、どう生き切ったか」ということが大事であり、「今世(こんぜ)、この世に命を持ったことには意味があるのだ」と知らなければなりません。
---owari---
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