私はいつも努力には二種類あると思ってきた。
その一つが立ち向かう努力だ。
力士が土俵で精神を集中し、相手をにらみつけ、
全力でぶつかっていく、あの闘志(とうし)だ。
まさしくその一瞬の気迫(きはく)、形相(ぎょうそう)には凄(すさ)まじいものがある。
わずか三十秒ぐらいで砕(くだ)け散(ち)っていく力。
もの凄い集中力と破壊力(はかいりょく)。
心を鬼にして、真剣勝負を生きる姿。
これが立ち向かう努力だ。
しかし、その短時間の勝負も、最後の一秒で決着がつく。
その最後の一秒を闘い抜く力こそ、常日ごろの精進(しょうじん)である。
毎日どれだけ稽古(けいこ)を積み重ねているか。
どの程度、健康面で摂生(せっせい)に努(つと)めているか。
精神的な悩みを土俵に持ち込まないために、
いかなる心の修行を、己(おのれ)に科(か)してきたか。
こうした粘(ねば)る努力、水面下の努力が、
勝負の最後の一秒の明暗を分けるのだ。
---owari---
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