(デバイド・アンド・ルール)
日下:余談ですが、クアラルンプールの商店街を奥のほうまで入ってみると、古本屋の店頭にマンガがたくさん積んであった。イギリス人が大量につくって戦後に配布したものらしく、ビルマ戦線を舞台にして、日本軍は悪逆非道で、イギリス兵は強くて美男で優しくビルマ娘を助ける――という物語だった(笑)。
それはいいとして、セリフがひどかった。日本兵は必ず「リトル・イエロー・モンキー」と呼ばれている。イギリス軍の将校までがそう言うのはイギリスの恥だと思いますが、そんな反省は全然ないらしくて、その証拠に、そんなマンガをマレーシアに持ち込んでマレー人に配っている。
マレー人も黄色人種なのに、それを忘れているとは気配りがないし、頭が悪い。奥付を見ると、印刷はロンドンの△△街の××会社と書いてある。人種差別をしているという意識がないとプロバガンダも失敗する好例です。
ちなみに、その古本屋の店主は中国系マレー人で、イギリスにくっついて日本人を叩く考えの持ち主でした。
「“イエロー・モンキー”という呼称にどう思うか」と訊いたら、ものすごい目で睨(にら)んでいる。そこで、「デバイド・アンド・ルール」という英語を教えてあげました。
日本人と中国人、ヒンズー教徒と回教徒などを仲たがいさせて、イギリス人が上に立つという政策です。「中国系の人はマレーでは公務員になれないだろう?」と言うと、ようやく少しわかってくれました。職業による民族分断政策です。 ――この章は終わりです。長らくのお付き合い、有難うございました。
---owari---
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