なぜ地獄ができたのか

《地獄の歴史》

地球での人類の歴史において、当初、地獄はなかったのです。地獄ができたのは、今から約一億二千万年前です。

最初は高級霊界から地球霊団の創造がなされました。地球のまわりに何重にも霊層、霊次元ができているのですが、まず、高級霊界の九次元あたりから創造が始まって、八次元、七次元、六次元、五次元というように順番に創ってきたのです。

 

最初は地球のまわりに、ふわふわとした四次元空間がありました。ところが、多くの霊たちが地上に何回も転生輪廻していく過程で、この部分に不調和が生じました。つまり、「三次元こそが本当の世界だ」と思い、物質的なものを付けた人がたくさん出てきて、その人たちがあの世に還ったとき、もともとは高い所にいたのに、行く場所がなくなり四次元の一角に巣をつくりはじめたのです。

 

要するに、こうした人たちは、自分の考えがまわりの人たちの意見と合わなくなったわけです。そして、まわりの人たちの光が強いものだから、何かでさえぎらなければいけないということで、一生懸命、地獄をつくってきたのです。地獄が現在の状態になるまでに一億年以上かかっています。

 

最初はちょっとした暗い場所だったのですが、だんだん近代化してきていて、現在の地獄は病院もあります。昔だと、むち打ちの刑やのこぎり引きの刑などがあったのでしょうが、現代の地獄では、外科医が出てきて、自由自在に体を切り刻みます。ここまで、進んでいるのです。

 

あるいは、昔だと弓矢で殺し合っていた阿修羅地獄でも、現代では、機関銃を撃ったり、ミサイルを飛ばしたりしています。そういう世界があるのです。

 

《地獄の存在理由》

なぜこういうものができたかということですが、一つには、基本的に仏の心があるのです。人間は仏に似せて創られましたが、仏に似せて創られた第一点、根本は何かというと、創造の自由を与えられたことです。

 

そのため、地獄に堕ちていきそうな人を高級霊が説得しようとしても、納得しない人がいるのです。聞かない人がいるのです。そこで、この人をむりやり拉致してでも悟らせるかどうかという問題があるわけです。「地獄など、光をぱっと入れて、全部、消滅させてしまえばよい」と考えるかどうかということです。どちらがよいかを考えて、仏は、「彼らがほんとうに悟るのを待つ」という選択をしたのです。

 

地獄というものは、ある意味では罰なのですが、別の意味においては病院なのです。地獄霊はまさしく病人と同じです。

 

「地獄をなくせばよい」という考えは、たとえば、「病人をなくせばよい」という考えと同じなのです。これは、爆弾を落として病院を粉砕すれば、病人がいなくなるかどうかということです。

「病人は特別な生き物だから、地上に置いていてはいけない」と考えるかどうかということです。

 

病人というものは、もともとはいないのです。もともとは健康な人間しかいないのですが、不養生をしたり、何か原因があって病気になっているわけです。しかし、病人であっても、やがて治れば健康人に戻る、本来の実相は健康人である。仏はこう考えているわけです。

 

あなただって病気をするかもしれません。そのときに、すぐに抹殺されたら困るのです。本来は健康なのに、病人になったからといって、「おまえは病院行きになった、病院に入った人は、もう役に立たないから殺してしまう」と言われたら、困るでしょう。

 

したがって、「地獄は、ある意味では罰でもあるが、病院でもある」という寛容の目で見てあげる必要があります。あなただって地獄へ行く可能性はあるのです。そのとき、消されたいかどうかをよく考えてみると、たとえ五百年かかっても、反省して生き延びたいでしょう。

 

地獄霊は病人と同じだと考えてみてください。本来の姿ではないけれども、運動不足や過食、仕事のしすぎなどで病気になることはあります。そのとき、その人を消してしまってよいと言えるかどうか、その人は存在が許されないかどうか、それを考えれば、「仏は、そうとう長いあいだ待っている、慈悲深い方だ」ということが分かるのです。

 

今日も仏さまに感謝申し上げます。

 

---owari---