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「歴史戦」の反撃強化で「新しい日本」が登場する

2019年01月15日 | 政治・経済

東アジアにおける地政学から考えると、近代以降の日本の不幸は、朝鮮半島と向き合っていることだ。対馬海峡の幅は約200キロしかない。

 

近代日本が戦った日清戦争と日露戦争に共通するのは、朝鮮半島の安定が目的で、日本の脅威となるような事態が朝鮮半島に起こるのを防ぐためだった。明治維新を果たした日本から見れば、当時の清国と朝鮮には欧米列強の圧力を跳ね返す力がないばかりでなく、手をこまねいていれば、自らの安全と独立が脅かされるのは間違いない状況だった。

 

したがって朝鮮半島とシナ大陸の問題に踏み込んでいかざるを得なかった。かりに清国と朝鮮に独立国として欧米列強に対峙できる力があれば、日本は我が列島の充実だけを考えていればよかった。

 

評論家の呉善花氏も、<明治維新の日本の征韓論が、朝鮮侵略それ自体が目的ではなく、ロシアの圧力からの自国防衛に加え、真の狙いが中華主義に基づいた華夷(かい)秩序(かいちつじょ:中国の皇帝を頂点とする階層的な国際関係を指す)の破壊にあったこと。

 

自らは政争を繰り返しながら、うちに復古的専制主義を、外には鎖国攘夷主義と中国への忠誠を取り続けた李朝は、日本からすればとても尋常な精神のものとは思えなかったにちがいなく、日本はそのように頑迷な隣国朝鮮の存在が国家の防衛上大きな障害であることを認識したのはやむを得なかった>(渡部昇一氏との共書『日本と韓国は和解できない』PHP研究所)と語っている。

 

かつて福沢諭吉は、「脱亜論」(明治18年『時事新報』)で「主義とする所は脱亜の二字にあるのみ」と主張し、「尊大な支那、事大の朝鮮、共に文明理を解せず、法治にあらざる国」と説いた彼らの本質は、残念ながらいまも変わらない。福沢の結論は、「以後、悪友はごめんです」といって付き合わないというものだったが、この選択肢はありである。

 

国家の目的は自存自立であって、国際親善はその手段の一つにすぎない。親善に努めても、それが我が国の「自存自立」に役立たないとしたら、交際をやめましょうというのはこちらの自由である。

 

韓国の朴槿恵元大統領は、20132月の大統領就任からずっと日本を非難してきた。外遊の先々で慰安婦問題の宣伝外交を続け、日本がいかに“誠意”のない国で、国際貢献を果たしていないかを強調し同調を求めてきたが、それは成功していない。

 

慰安婦像なる日本非難のモニュメントが韓国国内だけでなく、アメリカのカリフォルニア州グレンデールやミシガン州デトロイト、オーストラリアのシドニーなどに建てられているが、それは韓国の反日団体の活動に対する我が外務省の敗北主義が招いたともいえ、いわば「歴史戦」における日本の不戦敗である。日本が毅然と反撃していけば事態は変わる。

 

韓国の水原(スウォン)市の働きかけでドイツのフライブルク市が進めていた慰安婦像の設置計画が20169月、フライブルク市の姉妹都市である愛媛県松山市の抗議によって中止された。

 

韓国メディアがフライブルク市での慰安婦像の設置計画を報道すると、それを知った松山市は、姉妹都市交流に支障をきたすおそれがあるとして、野志克仁(のしかつとし)市長が直接フライブルク市長に電話で中止を要請した。それに対してフライブルク市長が「像は設置しない」と応じたのである。

 

反論の先頭に立つべき外務省が及び腰で、これまで民間有志が国に代わって抗議の声を挙げてきたが、公的機関である自治体が加われば、「歴史戦」の反撃強化となる。「新しい日本人」の登場である。

 

また、松山市がフライブルク市に対して慰安婦像設置が不当であることを訴えた根拠に、201512月の慰安婦問題をめぐる日韓合意を“活用”したのはまさに優位戦思考だった。

 

松山市は、水原市の像設置計画を進める民間組織が「日本の歴史歪曲を外交的に圧迫する」と宣言していたことに、「日韓両政府が合意の履行と問題解決に努力しているなか、像の設置はそれに反する行為で、市民の理解が得られない」とフライブルク市側に伝えた。

 

これは日韓合意の「最終的かつ不可逆的に解決」の内容を日本側が決め、それを第三国に理解させたことを意味する。松山市はお手柄で、外務省はこの「歴史戦」を戦った担当者の爪の垢を煎じて飲んでほしい。

 

---owari---

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