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「日本も原子力潜水艦を建造する用意がある」と言えばよい

2019年01月14日 | 政治・経済

中国の軍拡を無視はできないが、軍事力を展開するには経済力の裏づけが必要である。だが中国には、それがない。だから、いたずらに恐れることはない。日本は現状でも十分に対応可能である――と私は思っているが、日本の新聞はそう書かない。民間ビジネスは、黙って退場する。この「黙って」が重要である。

 

中国がこれまで南シナ海の島嶼(とうしょ)で領有権を強奪してきたやり方は、①領有権の正当性を主張、②大量の漁船団を送って操業させる、③民間人を装った人民解放軍の兵士を上陸させ主権を示す碑を設置したり国旗を掲揚したりする、④上陸した中国人民の保護を名目に軍事力を行使し支配権を獲得する――というものである。

 

しかし、これは尖閣(せんかく)諸島には使えない。まず海上保安庁の領海警備を突破しなければならない。また大勢を上陸させるのは大量の補給物資の輸送継続が必要となるが、これは制空権・制海権が確保されていなければできない。中国は南シナ海ではそれが可能だったが、尖閣諸島では中国に制空権・制海権はない。

 

制海権は、制空権がないと維持できない。現状の中国空軍は、第四世代戦闘機は航空自衛隊の二倍以上の機数を保有しているが、航続距離、管制能力ともに劣っているため、洋上で自衛隊並みの航空作戦能力が発揮できるとは考えられない。

 

また尖閣諸島に最も近い基地でも600キロ離れているため、彼らは挑発以外の行動はできない。中国が盛んに挑発してくるのは、軍事に関する知見のない政治家や官僚、マスコミ人士を心理的に揺さぶって、日本国民に不安を煽(あお)ることで譲歩を引き出そうという作戦で、尖閣沖にやってくる中国公船もその近域の領空を侵す航空機も、日本国民への心理戦、情報戦の先兵である。

 

かつて遅浩田(ちこうでん)氏が中国国防部長(国防大臣)を務めていた頃、「なぜ中国は海軍力の増強に金をかけるのか。中国が外洋海軍の建設をめざしているなら、それは亡国の道かもしれない。かつての日本がそうだったように」と尋ねると、彼は「海軍?あんなに金のかかるものを誰がやるか」と答えたものである。

 

遅浩田氏は「武力による台湾解放(台湾侵略)の可能性」に言及し、引退後の2005年には当時の胡錦濤国家主席の平和的発展路線を批判し、「台湾の武力解放のため、場合によってはアメリカ及び日本に対する核兵器使用を辞さない」と発言した強硬派である。その遅浩田氏ですら、海軍の建設と運用にどれほど金がかかるかを知っていて否定的だった。

 

しかし、中国は愚かにも外洋海軍の建設に踏み出した。20129月、中国は、マカオの中国系企業を通じてウクライナから「海上カジノ」として使うと嘘をついて、建設途中でほったらかしになっていた旧ソ連の空母を購入し、改修して「遼寧(りょうねい)」と名付けて就役させた。

 

同年11月には艦戦機の発着試験にも成功したと報道があったが、遼寧の最大速力は1920ノットである。この程度の速力ではスキージャンプ式の空母艦戦機は燃料満載で発艦できない。燃料を満載できなければ行動範囲は著しく狭くなり、それでは空母としての機能がないのも同然である。

 

また空母を一隻保有したところで、中国海軍が機動部隊を保有したことにはならない。実際には日清戦争時の定遠(ていえん)、鎮遠(ちんえん)のように日本やアジア諸国への心理的恫喝(どうかつ)に使えればという程度である。

 

さらに中国海軍のフリゲート艦や駆逐艦、潜水艦、海洋局の公船などの稼働率は全体で4割に満たないという情報もある。戦闘機も同様で、中国空軍の「殱(せん)」シリーズの母体はロシアのスホイ戦闘機だが、ライセンス国産以外のエンジンはロシアでオーバーホールしているため稼働率が著しく低く、保有数どおりの戦力になっていない。ショーウィンドウに一見豪華な玩具を並べているようなものである。

 

日本としては、彼らの行動を横目で見ながら「日本も原子力潜水艦を建造する用意がある」とでも言っておくことが優位戦思考による抑止力の発揮となる。

 

---owari---

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