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武士道精神が復活するとき

2019年05月25日 | 政治・経済
今日もフランスの作家、オリヴィエ・ジェルマントマの著書「日本待望論」よりお伝えします。
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フランスの作家であり、ド・ゴール政権で長く文化相を務めたアンドレ・マルローは、『反回想録』で、1974年に東京で昭和天皇に拝謁(はいえつ)したときのことを回顧(かいこ)しています。会話は、天皇がこのフランスの作家にご下問になったところから始まりました。

「なぜ、いにしえの日本に興味をお持ちなのですか?」
「武士道なるものを興した民族が、騎士道を興した民族にとって、どうして無意味のはずがございましょうか?」

しばし、間。天皇は、またも絨毯(じゅうたん)に視線を落とされておられたが、
「ああ、そう・・・・・。あなたがこの国に来られてまだ間もないということもあるでしょうけれど。しかし、あなたは、日本に来られてから、武士道のことを考えさせるようなものを一つでも見たことがありますか? たった一つでも?」

質問はこの縉紳(しんしん:身分の高い人)の広間のなかに、あたかも古池に投じられた小石の広げるような波紋を、絶望的なかたちで押しひろげていった。石庭の、条痕(じょうこん:筋目となってついた跡)を刻んだ白砂のおもてに伸びる物影に似て、ゆっくりと繰りひろがるところの波紋を。

私の見るところ、武士道精神は、日本がそのバイタリティの高さにふさわしい使命を掴(つか)みなおしたときには、必ず復活するであろうと思われます。それに私は、さまざまな提案を申し上げましたが、そこには「思いがけない出来事」といったものが考慮されていないことを、意識しているつもりです。

思いもよらないことが一番大事なことのはずで、それは結局、あなたがたご自身からしか来ようのないものなのです。どうか、ゆめゆめ、日本の天皇陛下ともあろう御方が、一外国人に向かって、汝(なんじ)は武士道精神の現れを見たかなどとご下問あそばされぬよう、そのようなことをおさせにならぬよう、皆さんの心底に、秘めたる能力をしっかりと呼び覚ましていただきたいのです。そのような次第で、微意をこめて、以下数行をブランクにしておきましょう。

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---owari---
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