林野庁は1957年、屋久杉の立木の伐採を解禁し、木材需要の急増に伴い、60年代から屋久杉の伐採がはじまった。斜面を丸裸にする皆伐方式によって原生林の破壊が進められていった。伐採量がピークに達した66年に、樹齢4000年とも推定される縄文杉が発見され、にわかに脚光を浴びるようになったのです。
内閣府は2014年に「国民が自然についてどの程度関心があるか」の世論調査を実施した。その結果、「非常に関心がある」と「ある程度関心がある」が併せて89.1%という高い率だった。比較する調査は見当たらないが、おそらく国民の9割が自然に関心を抱くのは、世界でも例がないという。
今、多くの国民は森林が減少していると思っているかもしれないが、半世紀、森林の面積は変化していないのです。むしろ、森林の量(蓄積量)は植林により増えているのです(木が大きくなっていることと伐採が進んでいない・・・国産の木材が使われていない)。収穫可能な人工林が増加している。
今、日本の森林は400年ぶりの緑を回復しています。
それではここでクイズです。
「森はCO2をどれくらい吸収する?」
森の木は、大気中の二酸化炭素を吸収して光合成を行っています。樹木が吸収する二酸化炭素の量は一本一本異なりますが、例えば「80年生(樹齢80年)のスギ1本が1年間に吸収する量」は大体どの位でしょうか?
(1)3kg (2)14kg (3)49kg
答え:(2)14kgです。
林野庁の算出によると、適切に手入れされている80年生のスギ人工林の1本(幹の太さは約40センチ)が1年間に吸収する二酸化炭素の量は約14kg。例えば、自家用乗用車1台から1年間に排出される二酸化炭素量(約2,300kg)は、80年生のスギ人工林約160本(約0.3ha)の年間吸収量と同じくらいなのです。
もう一つ、クイズです。
「日本の森は一人当たりどのぐらいの広さになるでしょうか?」
日本は国土の約68%、約2500万haの森林面積を持つ世界有数の森の国です。では、国民一人当たりに換算するとどの位でしょうか?
(1)テニスコート8つ分 (2)畳3枚分 (3)サッカーコート11コ分
答え:(1)テニスコート8つ分です。
日本の森林面積を国民一人当たりに換算すると、約0.2ha。テニスコート8つ分と同じくらいの面積になります。ちなみに世界平均では0.6ha、カナダでは9.7haにも及びます。日本は狭い国土に人口が多いため、一人当たりの面積にすると比較的少なくなっていますが、それでも身の回りをみると「そんなに森があったかな?」と思う方も多いのではないでしょうか。
さて、私がいちばん関心を持ったのは、森林の経済価値です。
2001年に日本学術会議が答申した「地球環境・人間生活にかかわる農業及び森林の多面的な機能の評価について(答申)」を元に、林野庁が次のようなデータを紹介しています。
森林には、二酸化炭素を吸収したり、表土を守ったり、いろいろな機能がありますが、森林の機能をお金に換算したデータがあります。主には表面侵食防止機能や水質浄化や水資源貯留などですが、年間いくらに相当するかといいますと、なんと約70兆円です。莫大な金額です。森林の資産ではありません。毎年生み出している金額なのです。
ちなみに日本の国家予算(一般会計)は90兆円前後です。それに迫る金額を森林は稼ぎ出しているのです。森林はまさに日本の宝でもあります。
上記の換算データには生物多様性保全機能、文化機能などは含まれておらず、またエネルギーの代替や、近年になって登場したプラスティックに替わる新素材などは評価項目に含まれていません。それらを合わせるとほとんど日本の国家予算(90兆円前後)に匹敵する数字となり、その大きさに驚かされるのです。
それでは、最後に一つ、森と海のエピソードをお話します。
「森は海の恋人」という言葉があります。豊かな森は豊かな海を支えています。これは森が一方的に海へ栄養分を与えていると私は思っていました。
しかし、近年になって逆に、海の栄養を森に運ぶ役割を果たしている現象があるというのです。北海道林業試験場の調べでは、川を遡って産卵した後のサケの死体は、川の中の生き物だけでなく、陸上で生活する哺乳類・鳥類・陸棲昆虫などの生き物たちの食糧としても大事な役割を果たしている。
北米の調査研究では、ワシ、クマ、キツネなどがサケを捕食し森(河畔林)に運搬していること、これらの生き物たちの糞や食べ残しが、河畔の植物に栄養分として利用されていることもわかってきたのです。
サケやマスなど海からの魚の遡上が、森に栄養を与えていることがわかってきたのです。
これは卵からかえったばかりの頃、河畔林に育ててもらったサケやマスからの恩返しと言えるのではないでしょうか。お互いに生かし合う世界は素敵ですね。
---owari---
私が小学生のころ
学校からみんなで映画を見に行きました
「砂漠は生きている」だったと思うけれど・・・
全くの砂漠の砂の中から植物の芽が伸びてくるのを見て
とても大きな驚きと喜びを感じたことを今でも覚えています
そんなこんなで 今も 都会の雑踏よりも 大自然が大好きです
コメントを頂き、有難うございました。
そうですね、森は多くの生き物の命の源だと思います。
大自然に恵まれた日本の風土に感謝です。
これからもご愛読よろしくお願いします。