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ロシアから見た日本(前編)

2017年12月15日 | 日本

今日は4万5千人が愛読するメルマガ「国際派日本人養成講座(編集長・伊勢雅臣さん)」からの転載です。伊勢さんは「国際人ではなく、国際派日本人を目指そう」「あなたは自分の言葉で日本を語れますか?」をモットーとして、明日の日本を背負う国際派日本人を育てておられます。大いに応援したいものです。

 

今回は、「ロシアから日本を見れば、私達が抱いている自画像とは、まったく異なる国の姿が見えてくる」というテーマです。

 

1.「私たちには日本人の心が絶対理解できない」

ロシア在住の北野幸伯(よしのり)氏の近著『隷属国家日本の岐路』の一節。氏が、ロシア政府の高官や大学教授たちと飲んでいると、必ず聞かれることがある、という。

 

「私たちには日本人の心が絶対理解できない」「また来たか」と思いつつ、「なんですか?」と聞くと、日本人はアメリカが大好きだろう? それが私たちには理解しがたい。だって、アメリカは広島・長崎に原爆を落とし、人類史上最悪の大虐殺をした国じゃないか。なんで犠牲者のあんたたちが、アメリカを好きになれるんだ?

 

こう言われてみると、この疑問はしごく合理的かつ常識的である。戦争中とは言え、一般市民への無差別虐殺という犯罪的性格においては、2001年のニューヨークで起きた同時テロと同じである。しかも、犠牲者数は、広島・長崎あわせて30万人とも言われ、ニューヨークの約3千人の100倍規模である。

 

そんな日本人がアメリカを好きになるのは、アメリカ人がアルカイダを好きになるよりも、100倍も難しいはずだ。それなのに、なぜ日本人はアメリカが大好きになったのか?

米国は日本占領中に大規模な宣伝工作、言論検閲を行って、すべては戦争を仕掛けた日本の責任という洗脳を行ったのだが、これに現在まで日本人は騙されてきたのである。ロシアから見れば、こういう点が一目瞭然なのだろう。

 

2.日本の「お人好し」ぶりは世界一

ちなみに、ロシア人は先の大戦におけるソ連の行動をどう見ているのか。北野氏が「ソ連は日ソ中立条約を破って攻めてきたではないか」といっても、謝る人はいない、という。

「あれは米英と同意の上での行動だ」とか「日本だって真珠湾に奇襲攻撃をした。ドイツも不可侵条約を破ってソ連を奇襲した」とかいわれ、軽くかわされます。

 

北方領土についても、「あれは元々ロシアの領土だ」と か「そもそも固有の領土なんて存在しない。ある国の領土は戦争のたびに変わるものだ」とかいわれてしまいます。

 

ただシベリア抑留に関しては、「あれはクレイジーなスターリンがしたことだから許してくれ」といわれたことはあります。

 

いずれも反駁(はんばく:反論)可能な主張であるが、唯一、北方領土に関して、「領土というのは戦争のたびに変わるものだ」というのは、リアリズムに立った説得性のある世界観ではある。しかし、これとても、北方領土は日本が降伏した後にソ連が攻め取った、という不法性を隠した勝手な言い分である。

 

要するにアメリカもロシアも、自国に都合のいい歴史だけを教えている。自国に都合の悪い歴史を教えているのは、「世界で唯一日本だけ」と知っておくことも大切です。というのが、北野氏の結論である。言わば、日本の「お人好し」ぶりは世界一と言えるだろう。

 

3.末期ガンに冒された王様を杖が支えている

現在の日本について、ロシア人はどう見ているのか。数年前、フラトコフを首相にするようプーチン大統領(当時)に進言した、ある有力者と会った時のこと。その人は、ロシアのトップが世界の構造をどう見ているか話してくれました。

 

彼は、「世界の構造を一言でいえば、末期ガンに冒された王様を杖が支えている状態だ」といいました。・・・「王様とは、覇権国家だが、世界一の債務国アメリカ。それを支えるのが日本の資金力」アメリカのトップは、たとえ、こんな見方をしていても、絶対に口外しない。したがって日本人がアメリカからの情報に頼っているだけでは、こういう「搾取構造」には気がつかない。

 

その有力者は、王様(アメリカ)から杖(日本)を取れば、アメリカは破産し世界恐慌になるので、そんな事は望まないが、として、 「・・・しかし、私がいいたのは別のことだ。なぜ日本は、そんなパワーをもちながら、アメリカのいいなりになっているのか?」

 

私は即答できませんでした。

金を貸してやっている国が、なぜ借りている国のいいなりになるのか。これも他国民から見れば「絶対理解できない」日本のお人好しぶりの一つだろう。

   

4.日本は世界で最も好かれている国の一つ

しかし、ロシア人が日本人を理解できないからと言って、日本人が嫌いなわけではない。逆である。ロシア人は日本人が大好きなのです。また、同じ大学にいた東欧、アフガニスタン、ユーゴスラビア、カンボジアなどの学生も、日本に好意的。90年代のはじめ、中央アジアのキルギスやウズベキスタンを旅した時は、まさに神のような扱いを受けました。

 

「世界で日本を嫌っている国など、中国、韓国、北朝鮮くらいしかないのです」と北野氏は言う。筆者の海外体験でも、世界で嫌われているのは、逆に中国、韓国、北朝鮮の方である。

 

それなのに、日本人は「自分たちは世界で嫌われ、孤立している」と信じて込んでいる。これも戦後、アメリカに植え付けられ、さらに近年は近隣諸国から植え付けられた自虐史観の結果だろう。

 

私は長年人種のるつぼ・モスクワに住み、いろいろな国で様々な人に会い、日本は世界で最も好かれている国の一つであることを確信しています。

 

北野氏は、この理由として以下の4点を挙げている。

1) 驚異的経済発展

2) 貧富の差が少ない

3) 日本人の謙虚さ、礼儀正しさ

4) 無条件の支援

 

5.「どうすれば、日本のようになれるか教えて下さい」

最初の「驚異的経済発展」について、北野氏は次のような体験を語っている。

キルギスに行った時、政府の高官から「日本人はキルギス人と同じような顔をしている。しかし、私たちの給料は日本の150分の1しかない。どうすれば、日本のようになれるか教えて下さい」といわれました。

 

エジプトで会った若い現地人ガイドは、「日本人をはじめて見た」と喜び、そして「ドキュメンタリー番組で、日本の戦後復興を特集していたよ。エジプトは、僕が生まれた頃とちっとも変わらない。どうすれば日本のようになれるか、教えてくれないか?」と聞かれました。

 

いきなり質問を受けた私は、とっさに「結局国が繁栄するかどうかは、国民一人一人の意識にかかっているんだ」と答えます。自分自身「つきなみな回答」と思いましたが、彼は目をウルウルさせてうなずいていました。

 

現代世界は人種差別が少なくなったとは言え、まだまだ「白人の支配する世界」である。その中で世界有数の経済大国になった日本は、有色人種にとって、自分たちも努力すれば日本のようになれる、という「希望の星」なのである。

 

---owari---

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