このゆびと~まれ!

「日々の暮らしの中から感動や発見を伝えたい」

日本文明のエネルギー⑥「ブロンズ像の傑作・奈良の大仏」

2019年07月28日 | 日本
世界最古の木造建築・法隆寺と比肩(ひけん)するのは、現存する中で世界最大級の木造建築である東大寺大仏殿である。正面の幅58メートル、奥行き51メートル、高さ実に57メートルに達する。

この中心に鎮座まします奈良の大仏は、これまた世界最大のブロンズ像とされている。創建は天平勝宝(てんぴょうしょうほう)4(752)年。当時の大きさは高さ16メートル、重量250トンと計算されている。

大仏は二度の大火に遭い、創建当時の姿は唯一焼け残った大仏蓮弁(れんべん)の線刻から窺(うかが)い知ることができるとされているが、それを見ると、現在の大仏と同様に、顔、首、肩にかけての豊かな肉付き、前方に掌(てのひら)を向けた右手の一本一本の指の関節にいたるまでの自然な動き、ゆるやかな衣服のひだ、などがリアルに表現されている。

大仏建立の中心となった仏師は、国中連公麻呂(くになかのむらじきみまろ)であり、前述の田中英道名誉教授は公麻呂をミケランジェロや、古代ギリシャのパルテノン神殿の建築と彫刻を残したフェイディアスとともに、世界三大巨匠としている。単に最大のブロンズ像というだけでなく、芸術的にも人類史上に残るものである。

大仏建立を発願された聖武(しょうむ)天皇は、次のような詔(みことのり)を出している。

・・・・・三宝(仏法僧)の威光と霊力に頼って、天地共に安泰になり、よろずの代までの幸せを願う事業を行って、生きとし生けるものがことごとく栄えることを望むものである。・・・・・ただ徒(いたずら)に人々を苦労させることがあっては、この仕事の神聖な意義を感じることができなくなり、あるいはそしり(悪くいうこと)を生じて、かえって罪に陥れることを恐れる。・・・・・国・郡などの役人はこの造仏のために、人民の暮らしを侵(おか)し、乱したり、無理に物資を取りたてたりすることがあってはならぬ。(同前)

大仏は国民の安寧(あんねい)を願う聖武天皇の大御心(おおみごころの)産物なのである。

---owari---
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 日本文明のエネルギー⑤「美し... | トップ | 日本文明のエネルギーの源泉 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日本」カテゴリの最新記事