現在も「原発反対運動」が全国で行われていますが、原発の再稼働は九州電力川内原発(鹿児島県)の2基だけです。今年は関西電力高浜3、4号機(福井県)と伊方3号機(愛媛県)の再稼働が予定されている状況です。
原子力を除くと、日本のエネルギー自給率は4パーセントしかありません。そのため、原発を止めると結局は、石油の輸入が増え、石油による火力発電が増えているのです。その費用増は年間で4兆円といわれています。
こうしたなか、日本は、ペルシャ湾のほうから、タンカーに載せて石油を国内に運んできていますが、今、問題になっている、南シナ海、東シナ海あたりが中国の制海権のなかに入った場合、そのタンカーは日本に無事に着くのかどうかという問題が、次に出てくるわけです。
タンカーが、ペルシャ湾のほうから日本に入ってくる途中で捕まえられて、そのまま中国に引っ張っていかれたとしても、何もできないという状態が起きてくるかもしれません。油ごと持っていかれる可能性も、ないとは言えないのです。
そのときには、今度は、石油が入ってこなくなるので、火力発電は、かなり厳しい状態になるでしょう。
「アメリカから何か援助があるのではないか」という考えもありましょうが、アメリカもだんだんフィリピンから退いていこうとしています。さらには、グアム、そしてハワイへと。どんどん退いていこうとしているのです。
その途中で、フィリピンから「助けてくれ」と言われて、一時、助けようとしているけれども、オバマ大統領が本気でそれをやるかどうか中国は、今、“試して”いるというに見るべきかと思います。
中国は。オバマ大統領が、実際は口だけで、何もできないところを見せて、自分たちが南シナ海を実効支配できるところをPRしようとしていると考えられます。
2012年に日系企業が中国で”焼き討ち“に逢ったときには、中国は何ら日本に対して「補償する」とも「弁償する」とも言わなかったのに、その後、ベトナムで中国系企業が”焼き討ち“にあったら、中国の女性報道官がテレビなどによく出てきて、「弁償してもらう」と堂々と言っていました。「日本の件は、どうなっているのだろう」と言いたくなりますが、おそらく考えてもいないでしょう。
このように、「世の中には極めて自分あるいは自国中心に物事を考える、バランス感覚や公平感覚のない国が存在するのだ」ということを知っていなくてはいけません。
しかも、本心かどうかわかりませんが、単に、ゲーム感覚的に、「何か言っても、言い返されなければ自分の勝ち」と思っているようなカルチャーがあるのだということも知らなければいけないわけです。
そういう意味で、日本も、にわかに、いろいろなものが忙しくなってくることが、今後、あるかもしれません。
南沙諸島、西沙諸島等での争いですが、ここについては、いろいろな国の権益が絡んでいます。
ところが、中国は、一方的に砂を運び込んで島をつくったり、近寄ってきたベトナムの船に軍艦を体当たりさせたりしている状態です。そして、アメリカが何もできないことを確認したり、様子をうかがったりしているわけです。これは、国際的なリーダーのやり方として、極めて説得性を欠く、あるいは、理解されにくい行動をしていると言わざるをえません。
中国は、大きな国であり、現在、人口が13億、14億近くになっていますが、これから15億、16億と増えていくかもしれないため、「資源」と「食糧」を求めて世界に手を伸ばしているのでしょう。その理由がわからないわけではないのです。食糧は欲しいだろうし、資源も欲しいだろうと思います。
しかしながら、もし、平和裡に貿易をして、ビジネス的に相互に繁栄しつつ、自国民が食べていけるようにするならば、あるいは、貧富の差を解消し、自国民が豊かになるように経済を拡大していこうとするのであれば、やはり、国際的な「平和」が大切です。やはり、その「秩序」、「安定」というものがあってこそ、貿易は成り立つのであって、戦争のなかでは、そういうものはなりたちません。
ASEAN(アセアン)の諸国についても、「どんどん収奪をかけてこられ、占領されて、属国のようなかたちになり、資源を取られる」ということであれば、これは、時代が逆戻り、逆回転したことになるため、抵抗するのは当然でしょう。
また、アフリカの諸国も、今、そのように考え始めており、「中国は、一方的に奪っていく感じが、非常に強い」と言っています。
その野望は、アジアだけにとどまらず、石油がある中東、それから、アフリカ、ヨーロッパにまで触手が及んでおり、さらに、南米やいろいろな資源のあるオーストラリアにも伸びています。
中国は、そうした、世界制覇への野望を持っているのです。
もちろん、野望を持つだけならば構わないと思いますが、世界には、二百カ国近い国があり、国連という機関もあるのであれば、やはり、「国際秩序のなかで、どのように考えて、意見を言うべきか」ということを、きちんと考えなければならないでしょう。
いずれにせよ、近隣の国のなかにおいて、「日本という国のあるべき姿」というものも、真剣に考えなければなりません。
---owari---
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