地下壕

私が住んでいる沖縄本島南部は、かつての日本軍終焉の地であり、激戦地である。いまだに工事現場から不発弾が出たり、時には人骨が出ることも珍しくない。そのへんを歩けば防空壕の跡もある。私の職場の近くに日本軍の地下壕があり、４月からそこの管理を任された。今日は内地から研修に訪れるので、近くのマンホールの蓋を開けて換気し、自ら中に入って蜘蛛の巣払いとハブがいないか点検しないといけない．．正直、一人で壕の中に入っていくのは気が重い。萩２５０キロで一人、深夜の山道を行くのと違い、明らかにそこは恐怖と殺戮の現場なのだ．．私は小さい頃、探検家になりたかったんだよな、そうだよな～、と自分自身を励ましながら、懐中電灯の灯りをたよりに前へ進む。ずっしりと重い空気がのしかかってくる．．幸い、ハブはいなかった。かまれる前にかめ！そういえば、沖縄方言で、かめ、とは食べろ、ということ。よく、店やおうちに行って、あれも食べろ、これも食べろ、というのを俗にオバアのかめかめ攻撃、と言うけれど．．それにしても、戦後半世紀以上の時を経過しているにもかかわらず、堅牢な壕の造りに圧倒されるとともに、そのようなもの
を作ってまで戦い、生き伸びようとした