へんないきもの日記

今日も等身大で…生きてます😁

名犬ハギーの物語

2013-04-19 06:31:32 | 日々雑感
 この時期、われわれウルトラランナーの間での合言葉・・・「萩まで2週間・・・!」

 萩とは山口県萩市のこと。国内でも有数の超長距離マラソン、山口萩250km(通称「萩往還」)の季節がやってくる・・・ただし、このレース、後半が萩市内を抜けて江戸時代の参勤交代の道・往還道を走るということでこのようなネーミングになったが、前半は山口市内をスタートして中国山地を抜け、日本海側の長門市に出て萩に至る~というルートで、だいたい山口県の3分の2弱を周るコース。

 私は16年前からの常連で(ナント、今年で16回連続出場~)、私の中では、もはや年中行事の一大イベントとなっている。

 そのハギラー(萩往還の常連)の間で当初から話題になっていたのが、道中、道案内の犬が現れる・・・とのウワサ。名付けて「名犬ハギー」

 実は、十年以上前の1999年の年の瀬、初めて完走したその年に、今度は自分の力だけで完走してみたい、という欲求から昼間の明るい時にコースを下見する意味で2泊3日の予定で出かけたことがある。

 俵山温泉に宿泊し、早朝、まだ薄暗いうちに宿を出ると、宿の主人から「こんなに早く出たら鹿にあうよ。」なんていわれたが、温泉街のはずれで出くわしたのは、一匹の中型犬、オスの赤犬だった。これがハギーとの出会いだった・・・

 すぐ行くと、分岐点にさしかかり、私はなんの迷いもなく、麻羅観音に吸い寄せられるように間違った方向へ行ってしまった。う、違った・・・と思って引き換えし、分岐点に戻ると、なんとそこにはハギーが待っていた。そして再び私とともに走り出した。(そういえば、私が分岐点から観音のほうへ走り出した時、「ク~ン」と悲しそうに鳴いたような気がした。)

 その後、20km近く道中を共にした。「海湧」食道手前の神社に差し掛かった時、突然、野良犬のハスキー数頭の集団に出くわした。奴らはハギーめがけて追いかけた。「逃げろ、ハギー!」私は心の中で叫んだ。でも、それっきりハギーと再開することはなかった。

 その翌年・・・コースの最高点にある「千畳敷」へ向かう途中ののぼりで道路を横断する赤犬を見た。「あ、犬だ。」という私に、隣にいたランナーが「え?、どこ?」・・・彼には見えないのだ。いや、私にしか見えないのだろうか・・・

 そして、その後も何年かおきに赤犬が私の前に現れた。それも決まって2日目の川尻岬を過ぎてから千畳敷に向かう、あのキツイところで。一度は、道路に出たところで出くわした。

 最後に見たのは、3~4年前・・・右手の墓に戻っていった・・・

 毎年、萩が近づくたびに思う。「今年はハギーに会えるだろうか?」「出てこい、ハギー」と。
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