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【 ちちの実の 父の命( みこと ) ははいそ葉( ば )の 母の命( みこと ) 凡( おほ )ろかに 心尽( つ )くして 思ふらむ その子なれやも ますらをや 空( むな )しくあるべき 梓弓(あづさゆみ) 末( すえ )振り起( お )こし 投矢( なげや )持ち 千尋( ちひろ )射渡( いわた )し 剣大刀( つるぎたち ) 腰に取り佩( は )き あしひきの 八つ峯( やつを )踏み越え さしまくる 心障( さや )らず 後の世の 語り継ぐべく 名を立つべしも】
大伴家持の歌
父も母も
おろそかに思っているのでは
ないのですよ
すき
勇ましい男の子よ
よいものでしょうか
弓を振り立てて
剣
太刀を腰につけて
峰をいくつも踏み越えて
後世の語りぐさに
なるように
名を
べきです
ちちとは
知知とも表記されていて
イヌビワ(イチヂクやイチョウなど)のことで
イヌビワは古い名を
天仙果という字で書かれています
別名
乳実(ちちのみ)
雌
異なった株で
実は
食べられます
ちちは
父の枕詞として
用いられています
心のままに生きて下さいと
勇ましく出て行こうとする
あなたがそばにいてくださるだけで
わが息子に言えない
なんか
聞こえてきました
今
船出が近づくこの時に
私は振り返る
遠く旅して
あるいた若き日よ
心の決めたままに
信じた
この道を
すべては心の決めたままに
振り返ると
心のままに生きてきた
あなたも
信じた道を
私達の本当の心は
親になったら
息子をこのように
歯をくいしばって
枕を
送り出した時を思い出します
ありがとう於良