1980年初版発行の「宮本百合子全集」が本棚の一番上の段にある。
ちょうど長女が生まれた年。当時の私にとっては、かなり思いきった買い物だったことを覚えている。
思うところあって読み返していたときに、偶然、目にしたのが「その願いを現実に」と題した短文。
「子さんへの返信として」と副題がついている。
子は、「花子とアン」で花子の「腹心の友」として描かれた「蓮様」のモデル、柳原白蓮。
ドキドキしながら読んだ。
この一文に、今、出会えた偶然に感謝しながら。
戦争で、息子の命を奪われた白蓮の悲しみに深く心を寄せ、「戦争の兇暴と非人間性に向かって抗議し、平和のために行動する、今日という歴史の時代における香織を」と呼びかける。
生きて帰ることのない白蓮の戦死した息子、「香織」の名に託して、「平和のための行動を」と・・・。
愛する者たちの命を奪われた悲しみを、ドラマの中で蓮子は「心臓をえぐりとられるより辛い」と言った。
その辛さ、悲しみから「戦争を拒絶し、平和を守る・・・その声を、つよく、大きく」。「・・・そのために現実の方法がないということがあるだろうか」と問う。「現実の方法は必ずある。」という、強い確信。
結びの言葉は「人類は平和を女性の姿で表徴する。このよりどころは非常に深い。平和が破壊されたとき最もむごたらしい犠牲となるものはあらゆる時代において女性であることを人類は知っている。」
65年前、誇り高く生きて、時代を切り拓いた二人の女性の、ほとばしるような言葉は、今生きる私達への贈り物のように思える。
「その願いを現実に ~子さんへの返信として」
宮本百合子全集 第15巻〔新日本出版社) 所収
ちょうど長女が生まれた年。当時の私にとっては、かなり思いきった買い物だったことを覚えている。
思うところあって読み返していたときに、偶然、目にしたのが「その願いを現実に」と題した短文。
「子さんへの返信として」と副題がついている。
子は、「花子とアン」で花子の「腹心の友」として描かれた「蓮様」のモデル、柳原白蓮。
ドキドキしながら読んだ。
この一文に、今、出会えた偶然に感謝しながら。
戦争で、息子の命を奪われた白蓮の悲しみに深く心を寄せ、「戦争の兇暴と非人間性に向かって抗議し、平和のために行動する、今日という歴史の時代における香織を」と呼びかける。
生きて帰ることのない白蓮の戦死した息子、「香織」の名に託して、「平和のための行動を」と・・・。
愛する者たちの命を奪われた悲しみを、ドラマの中で蓮子は「心臓をえぐりとられるより辛い」と言った。
その辛さ、悲しみから「戦争を拒絶し、平和を守る・・・その声を、つよく、大きく」。「・・・そのために現実の方法がないということがあるだろうか」と問う。「現実の方法は必ずある。」という、強い確信。
結びの言葉は「人類は平和を女性の姿で表徴する。このよりどころは非常に深い。平和が破壊されたとき最もむごたらしい犠牲となるものはあらゆる時代において女性であることを人類は知っている。」
65年前、誇り高く生きて、時代を切り拓いた二人の女性の、ほとばしるような言葉は、今生きる私達への贈り物のように思える。
「その願いを現実に ~子さんへの返信として」
宮本百合子全集 第15巻〔新日本出版社) 所収