「ライオンの家」という名の、瀬戸内海に浮かぶ美しい島のホスピスを舞台にした物語。
33歳という年齢で、ここで人生の最後の数カ月を過ごす主人公の毎日の記録。最後のページを閉じてから、もう一度冒頭の「手紙」を読み直すと、いろんなことが解き明かされるような気がした。
瀬戸内の穏やかな海や、黄色に輝くレモンや、降り注ぐ太陽の光、作って食べたくなるおいしいもの、そして優しい人たちの息遣い。
何かに感謝したい気持ちでいっぱいになる。そんな本だった。
「生と死」を描いているのに、悲しいけれど暗くない。
議会の質問が終わると、必ずと言っていいほど、小説が読みたくなる。
そういうわけで手にとった1冊でした。
著者;小川糸
ポプラ文庫