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《本記事のポイント》
・エルサレムはユダヤ教、キリスト教、イスラム教にとっての聖地
・米大使館の移転は「エルサレムはイスラエルの首都」と承認することを意味する
・トランプ氏はイスラエルとの連携強化で中東情勢を安定させたいが、短期的には火種を生む
イスラエルとパレスチナの和平交渉再開に向けた国際会議がパリで開かれ、約70カ国の外相らが参加しました。この会議では、アメリカのトランプ次期大統領が掲げる「親イスラエル路線」をけん制する共同声明が採択されました。
トランプ氏は大統領選で、現在、イスラエルのテルアビブにある米大使館を「エルサレムに移す」ことを公約に掲げていました。ですが、実際にエルサレムに大使館を移すとなると、周辺国の反発は避けられません。
本欄では、このエルサレム問題について、考えてみます。
◎そもそも、エルサレムはどんな場所?
日本人からすると、遠い存在に感じるエルサレムですが、エルサレムは、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教徒にとっての聖地です。
エルサレムは、ユダヤ教の礼拝の中心地だったエルサレム神殿があった場所。またユダ王国の首都でもありました。
またイエス・キリストが伝道し、処刑された場所であり、さらには、ムハンマドがエルサレムから天国に昇る旅をしたという伝説の遺る場所でもあります。
この聖地エルサレムを巡り、ユダヤ・キリスト教国とイスラム教国の間で、十字軍以来、千年にもわたり戦争が続いています。
ちなみにイスラエルは、ユダヤ人がイスラエルの地に故郷を再建しようとするシオニズム運動が起き、1948年に建国されました。ですがその結果、パレスチナ自治政府が支配するガザ地区などと紛争が起き、今なお争いは続いています。
◎移設は「エルサレムはイスラエルの首都」と認めることに
これまでもアメリカ大使館の「エルサレムへの移設話」はありましたが、実行されてきませんでした。ですが米共和党関係者によると、トランプ氏は本当に移設をしかねないといいます。
親イスラエルのヨルダン政府ですら、「越えてはいけない一線だ。イスラム教の国やアラブ諸国の路上を炎上させるだろう」と警告しています。
その理由は、もしアメリカがエルサレムに大使館を移すことになれば、エルサレムがイスラエルの首都であると承認することになるからです。
聖地が密集する東エルサレムは、1967年の第三次中東戦争で、イスラエルによって占領されました。そのためイスラエルは、エルサレムを首都と主張していますが、パレスチナもそう主張しています。国際社会は、エルサレムがイスラエルの首都だとは認めていません。
◎イスラエル重視のトランプ氏の本心
では、イスラエルを重視するトランプ氏の真意はどこにあるのでしょうか。トランプ氏の過去世とみられるジョージ・ワシントンの霊は、次のように語っています。
「私はイスラエルを支持する。(中略)イスラエルはすでに核ミサイルを200発、保有している。だが一方のイスラム諸国は、現段階では核兵器を保有していない。だから、イスラム諸国とイスラエルの人口の差は大きいけれども、この核爆弾の力が両者の『力の均衡』をもたらしている。だから、われわれはイスラエルの核武装を支持し、イスラム諸国を押さえ込んでおきたいと考えている」(『アメリカ合衆国建国の父 ジョージ・ワシントンの霊言』)
トランプ氏は、イスラエルへの関与を強め、中東情勢を安定化させたいと考えているようです。また、トランプ氏の過去世の一つには、エルサレムに渡った十字軍の将軍もあるようです。そのため、イスラエル重視の姿勢が強いのかもしれません。
ただ、もしエルサレムに大使館が移されれば、パレスチナの過激派がイスラエルを攻撃することは必至。短期的には、中東情勢のさらなる悪化は避けられません。
エルサレム、イスラエル・パレスチナ問題は、根本的には宗教対立の問題であり、軍事力だけでは解決しません。その解決には、「地球神の御心」を知り、長い年月をかけてでも、それを伝えていくしかないでしょう。(山本泉)
【関連書籍】
幸福の科学出版 『アメリカ合衆国建国の父 ジョージ・ワシントンの霊言』 大川隆法著
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