http://the-liberty.com/article.php?item_id=12475
《本記事のポイント》
・安倍首相の"鶴の一声"で総務省のスマホ規制が始まった
・総務省の介入で「負担が増えた」といった批判の声が出ている
・「カメラのキタムラ」は売り上げを減らし大量閉店へ
総務省はこのほど、「(iPhoneなどの)スマートフォン(スマホ)の販売価格」について、新たに規制を強化する指針(ガイドライン)を発表しました。
同省は2016年4月からスマホの販売価格の「実質0円」販売を禁止するガイドラインを適用していましたが、これに対し消費者から痛烈な批判が大量に集まっています。
◎事の発端は「安倍首相の一声」
事の発端は2015年、安倍晋三首相が「携帯電話料金の家計負担が大きいので、料金引き下げを検討するように」という"鶴の一声"を発したこと。それを受け、高市早苗総務大臣が有識者会議を発足させました。
これまでドコモ、au、ソフトバンクモバイルの大手通信事業者(キャリア)3社は、自社への契約乗り換えを促すため、2年間の契約を条件に月額利用料金に本体価格の負担分を上乗せし、端末本体は実質0円で販売していました。
総務省の有識者会議は、こうした「実質0円」販売は、新規ユーザーや乗り換えた利用者にとっては好都合でも、利用が少ない人や長期利用者が割高な利用料を支払うことになり、不公平と考えました。そして16年4月に、スマホを1万円以上で販売するよう求めるガイドラインを出していました。
3社はこうした総務省のガイドラインを受け入れつつも、一方で、その抜け道を考え出しました。すると総務省は、抜け道として過度な割引やキャッシュバックをしているキャリアの携帯電話ショップを指導すべく、匿名で"通報"できる窓口を設置するほどの徹底ぶり。
それでもガイドラインの抜け道を探るショップが続出するため、「さらなる強化が不可欠」と判断し、新ガイドラインを出すに至りました。
「一括0円」での販売は2016年から規制されていましたが、今回は端末の下取り価格で端末購入価格を相殺する「実質0円」も規制されるようになっています。
◎「総務省は何がしたいのかわからない」痛烈な批判も
同省はガイドライン改正のため、昨年11〜12月に一般から意見を公募し、計131件の意見が寄せられました。
その中には、「総務省の余計な介入で負担増になった」「料金は下がらず、スマホ価格は高くなった」「これ以上の規制は断固反対」「総務省は何がしたいのかよくわからない」など、痛烈な批判が大半だったと報じられています。
ガイドラインを発表した総務省の本来の目的は、月額利用料金の引き下げや格安スマホの普及を促し、消費者の家計負担を抑えることでした。しかし、スマホ販売価格の「実質0円」の禁止にこだわった結果、消費者側からすると、「通信料金は高止まり、端末購入価格は値上げ、プランは改定ごとに複雑化」し、良いことが一つもないという本末転倒な結果になっています。
企業側も大きな不利益を被っています。
例えば、スマホ販売を行っていた「カメラのキタムラ」が、スマホ価格規制の強化によって、売り上げが減少し、2月末までに少なくとも22店が閉店になる見込みです(17日付日経新聞電子版や産経ニュース)。
◎政府は余計な口出しを慎むべき
『幸福実現党テーマ別政策集4「未来産業投資/規制緩和」』(大川裕太著・幸福実現党刊)には、次のように書かれています。
「国や地方自治体による規制のなかには、企業の活動そのものに関する規制もあります。そうした規制のなかには、いったいどこが『公共の福祉』に適っているのか、理解しかねるものも多いのです。(中略)政府による規制よりも、民間の自由な競争によって、よりよいサービスが生まれるほうが、もっと公共の福祉に適ったことだと言えるのではないでしょうか。こうした規制を撤廃し、経済活動を自由化していくことで、今まで規制されていたところに新たな市場が開け、新たなビジネスが生まれ、経済発展が生み出されていくのです」
総務省がスマホ価格規制をしても、民間企業の自由競争が阻害され、消費者も得しません。本来政府がすべきことは、参入しづらい携帯業界の規制緩和を進めることでしょう。(小林真由美)
【関連書籍】
幸福実現党刊 『幸福実現党テーマ別政策集4「未来産業投資/規制緩和」』 大川裕太著
https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1571
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