訪日客が前年より47%増 観光立国・日本を実現するため必要なものとは?
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日本政府観光局は19日、1~7月の訪日客数が前年の同時期と比較して47%増の1105万人になったと発表しました。1000万人超えは昨年よりも3カ月早く、観光庁は年末までに1800万人を超える見通しを立てています。
訪日客の増加は、円安の影響で日本での買い物や滞在が割安になったのに加え、政府がビザの発給要件を緩和したり、免税制度が拡大したためと考えられています。訪日客数の首位は中国(昨年の同期の2倍強)、2位は韓国(42%増)、3位は台湾(29%増)で、特にアジアからの増加が目立っています。
2003年の「観光立国宣言」以来、着実に訪日客を伸ばしてきました。各企業はどのような取り組みをしているのでしょうか。そして、観光立国・日本の先に目指すべきものとは何か、考えてみましょう。
メーカーや小売各社は、テレビなどで連日報道されていた中国人訪日客などの「爆買い」に備え、訪日客を取り込むための工夫を凝らしています。
例えば花王では、蒸気で目を温めるアイマスク8箱をまとめた「特大パック」を販売。8という数字は中国で縁起がよいと言われています。ホームページでは、人気商品の中国語案内を開始。商品の陳列棚のタグにバーコードをつけ、スマートフォンで読み取ると中国語の商品ページが表示されるというサービスも始めています。
セブン-イレブン・ジャパンは、訪日客向けの消費税の免税手続きが通常のレジで5分程度でできるシステムを導入。大都市だけでなく観光地も含め、2015年度中に3000店舗まで増やすといいます。
ドン・キホーテは、免税カウンターや英・中・韓・タイの4か国語に対応するコールセンターを設置したほか、旅行前に希望商品を予約できる「ウェルカム予約サイト」を開設。また、購入商品を空港まで配送する「空港配送サービス」も開始しました。
企業だけではありません。訪日観光で人気があるのは東京、富士山、京都、大阪などを回るゴールデンルートツアーですが、最近は他にも人気の場所があるといいます。
その一つが、先日、世界遺産登録が確定した長崎県の軍艦島です。軍艦島の成功の秘訣は、徹底したパブリシティ戦略。この島で2009年には、人気歌手のB'zがプロモーションビデオの撮影を行い、You tubeで世界に新曲を発信。またこの島を参考にして、2012年公開の映画『007/スカイフォール』の舞台セットも作られ、映画に軍艦島そっくりのシーンが登場しました。最近は、今年8月公開の映画『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』の撮影もこの島で行われました。
このように、日本各地で訪日客を「おもてなし」する取り組みを始めていますが、観光立国を目指す上でネックになっているところもあるようです。元ゴールドマン・サックス金融調査室長で、現在は小西美術工藝社社長を務める『新・観光立国論』の著者デービッド・アトキントン氏は、ビジネスオンラインのインタビュー(2015年7月15、22日付)の中で、日本の問題点を以下のように語っています。
「輸出業にはチカラを入れてきましたが、外国人観光客を多く受け入れようという動きはありませんでした」
これは、日本人の中に「外国人の訪日を拒む思い」があること示しているのかもしれません。この思いは、日本で移民受け入れに反対論が根強いことにもつながっていると考えられます。また、アトキントン氏は次のようにも語っています。
「サラリーマンが出張で使うようなビジネスホテル、少しランクが上のシティホテルばかり。びっくりするような高級ホテルや老舗ホテル、リゾートホテルがありません。飛行機に乗って遠路はるばる日本にやって来たのに、宿泊先はビジネスホテルしかないという状況に、多くの訪日客が不満を感じているのではないでしょうか」
平等を重視する日本には、超富裕層を相手にするビジネスが少ないことが問題との指摘です。海外から来る超富裕層向けのサービスをさらに充実させれば、日本経済も活性化するはずです。
人口減少が見込まれる日本が今後も発展を続けるためには、観光や永住する外国人の受け入れが不可欠です。企業や日本経済の活性化のためだけでなく、移民受け入れの前段階としても、観光立国・日本を成功させる必要があります。(泉)
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