2013年 3月16日(土) 求菩提山782m
歴史深い求菩提山に登った。
英彦山、犬が岳とともに修験道の山である。
山伏と呼ばれる修行僧は,どんな山の中でどんな業を積んでいたのだろうか。
登山口に向かう車道脇にも石像が並ぶ
湧水にもご利益があるのだろう。水汲み場もある。
「構の門」ここから先は山伏の世界
岩を削った石仏様たち
「鬼石坊」鬼が積んだという岩はどれだろう
苔むした岩の上にも石仏
水路も岩を積んで造られている
山伏の祀られている安浄寺跡に続く参道
苔の中につわぶき
「岩屋坊」ここで修行僧の家族も暮らしていたそうだ
「一山五百坊」と言って、修験の山には500人もの山伏がいたそうだ。
豊照神社
「鬼の口」入山するものはここで口と手を清めたのだという。
いかにも怖い顔の鬼だが流れる水は清らかで透き通っていた。
木立の中を登っていく
ここからは鬼の石段。「鬼の磴(あぶみ)」といわれ、全長181m約850段あるらしい。
昔、むかし、求菩提山のふもとの里には鬼が住んでおった。
鬼たちは、村の人々がせっせと作った米や作物をぬすんでいた。
そこで村人たちは、なんとかこの鬼たちをおっぱらおうと権現様に相談した。
権現様は一計を案じ、鬼を呼んでこう伝えた。
「この山の頂に社を作りたい。そこで社に続く千段の石段を夜明けまでにつくりあげたら、今までどおり鬼たちもこの村に住んでよい。もし、一番鶏が鳴くまでに出来上がらなければ、お前たちは出ていかなくてはならない。」
そこで鬼たちは働いた、働いた。
ひと晩のうちにつくりあげようと、仲間を呼び寄せ力を合わせて働いた。険しい山から石を削りだし、休むことなく重い石を担ぎ上げ、次々と積み重ねた。そして千段の階段h、もうすぐできようとしていた。
それを見た権現様は大慌て。夜明けにはまだ間がある。追い払おうと課した難題にまさか鬼たちがここまで力を見せようとは。
そこで権現様は鶏の鳴きまねをして一番鶏をけしかけた。村の鶏たちもいっせいに鳴き始め、嘘の夜明けが告げられたのだ。
鬼たちは驚き、悲しんで山から消えたというお
話。
しかしなあー。なんだか鬼たちがかわいそう。
賢い人間たちにうまく利用されたのではないかしら。
鬼が作った山の中の階段は、その後、神社への参拝の折にもとても役に立ったのだろうに。
国玉神社上宮が見えてきた
山伏が籠って修行をした「窟」は五つあり、切り立った岩壁に沿って作られていた。どれも小さい!
すっぱり切れ落ちたような岩肌から水が染み出ている
不覚にもすっ転んでしまった場所。オット殿は大笑いして助け起こそうとしなかっけど。
オット殿は撮影に夢中
足元の一面の青緑色の草
禊の場 山伏たちが修行を前にして身を清めたところ
求菩提山は不思議な山だった。
当日はよく晴れていて絶好の山日和!
霊験あらたかなる山に向かうので、おのずと気持ちは引き締まってきた。でもちっとも「おそろしや」に気持ちは起こらなかった。
浮わついた人間は足を踏み入れてはならない、という拒絶の雰囲気はちっとも感じられなかった。私のような「楽しみ登山」の者でもゆったり受け入れてくれる山だった。
でもなあー笑えるんだけど
求菩提山に向かう駐車場ではこんな像が
登山の後は
求菩提山資料館へ。資料館前のミツマタの花
資料館では銅板法華経や銅筥、金剛界大日如来座像など貴重な資料が展示されていた。
心をひかれたのは、山伏にあてた若き女性からの恋文である。凛とした山伏に憧れる女性もいたのだろう。いいなあ。わかる気がするなあ。
特設展では珍しいお雛様がたくさん展示されていた。
春のいい一日だった。求菩提山、ありがとう!