最終日に空港に向かうまでの時間、路面電車でミュージアムクォーターに向かいました。
ミュンヘンの路面電車のデザインはストラスブールやアウクスブルクのように洗練されたものではありませんが、いわゆる日本人にとっての路面電車というイメージにはぴったりきます。
ミュージアムクォーターには次のようにいくつかの美術館が集まっています。
入り口ではいきなりチリダの彫刻が迎えてくれます。
シュテファンブラウンフェルス設計の現代美術館です。
建築もコレクションも素晴らしい。
斜めに切り取られた平面や、コルビジェ的な丸柱とスラブの関係など、シュルテス設計のボン美術館を髣髴させます。ロトンダのアイデアも似ている。しかし、悪くない・・・のですが、私が驚いたのはその近くにできていたMuseum Brandhorstです。
現代美術館との関係は下の写真で分かるでしょう。
あるいはBrandhorstの中から現代美術館が望めます。
この美術館には色々驚かされました。そもそもここにこういう美術館があることを知らなかったので館の人に誰の設計ですかと尋ねるしかありませんでした。ベルリンのザウアーブルッフ+ハットンSauerbruch Huttonというドイツ人とイギリス人の共同事務所でした。私には新しい名前でしたが著名な事務所のようです。
まず外壁です。日本でも最近多いセラミクスの中空ロッドです。しかし、色と内側の仕掛けが違います。セラミクスロッドの背後にはストライプ状に彩色した折板状のsheet metal skinが尾根を水平にした状態でセットされています。
距離によって7変化です。
もっと離れるとこんな感じです。
このロッドだけでなく、上下にボリュームを二分割するガラス面の形状とプロポーションも大変良い感じです。
中もダニッシュオークを基調とした大変温かみがあり、かつ現代アートの背景としてすっきりとしたさわやかさを持つ空間です。
きりがないので中については別の機会に紹介します。
都市デザイン的な観点からの紹介も別に譲ります。
この建物は写真から見ると大変強く主張をしているようですが、実は環境の中に溶け込んで落ち着いた雰囲気を作り出しています。どちらかというと控えめでもあるほどです。
ブラウンフェルス設計の現代美術館は、形や空間に分かりやすいメッセージをこめて見る人に働きかけてくるような感覚を持ちました。それはそれでよいと思いましたが、Brandhorstの方は(7変化してつかみどころのないところがあるからでしょうか)こちらからどういう意図がこめられているんだろうと考えたくなる・・・そんな魅力を持った建築です。
学ぶ所の多い建築に出会うことができました。