まち・ひと・くらし-けんちくの風景-

建築設計を通してまち・ひと・くらしを考えます。また目に映るまち・人・くらしの風景から建築のあるべき姿を考えています。

内川の四季ー鶴岡商工会議所からー

2023-03-09 10:38:07 | 公共建築 Public architecture

リンク:設計計画高谷時彦事務所 Profile 記事一覧へ

 

鶴岡にいるときには、昼食を食べに、鶴岡商工会議所一階のサンクに行くことが多かったようです。お気に入りの内川に面した窓側の席から、時々パチリ、パチリ。気が付くと、内川の四季となていました。

しかしいつも、トマトカレーに珈琲という私の食生活は変わっていないですね。食事に無頓着なのか、はたまた大変なこだわりがあるからこうなっているのか・・・?。

鶴岡商工会議所は、内川を多分に意識して設計しました。写真家小川さんも私たちの狙いを感じ取ってくれています。

 

メインの階段室の中からも、内川が眺められるように考えました。下の左側は写真家小川さんの名カット。右側は私の素人写真ですが。頑張って遠くの月山も入れようとしています。

高谷時彦

建築・都市デザイン

Tokihiko Takatani

architect/urban designer


酒田日和山小幡楼から港を巡ります

2022-07-03 18:23:38 | 公共建築 Public architecture

鶴岡での行事の合間に酒田へ。まずは日和山小幡楼。開店直後でしたがすでに人の流れができています。やはりおいしさが評判を呼んでいるのでしょう。建物にとってもうれしいことです。

2階は自由に時間を過ごすことができます。朝からゆっくり海・港を眺める人が後を絶ちません。

私も海が見たくなります。酒田に来るといつも自分の生まれ故郷の高松を思い出します。高松は城下町ですが、同時に瀬戸内海の港町。またお城がそもそも海城ですので、私が通っていた城内中学校のすぐそばは漁港やフェリー乗り場でした。酒田の港には面白い船がいます。このランタンをたくさんつけているのはイカ釣り漁船?でしょうか。

私の脚は、最近事業コンペが行われた、酒田商業跡地(下写真)に向かいます。向こうに見えるみどりは山居倉庫。この手前の舌状の敷地が、新しい商業施設になります。右手には鳥海山も見えます。第一級の水辺景観をうまく生かす方向で、事業が進むことを心から祈ります。

高谷時彦

建築・都市デザイン

Tokihiko Takatani

architect/urban designer


松ケ岡開墾場、開墾士住宅

2022-07-03 17:47:10 | 公共建築 Public architecture

松ケ岡開墾場の魅力は格式ある本陣と堂々とした立派な立ち姿の5棟の蚕室群です。・・が、私の場合はどうしても自分が設計に関わらせてもらった開墾士住宅のあたりから、散策が始まります。下写真では前回のブログでふれたトイレも右手に見えます。

鶴岡から移設された新徴組のお屋敷は、松ケ岡の開墾地で住宅の一部としてお役目を果たした後、ここに移設され、今はインフォメーションセンターになっています。

訪ねてみると、地元の方がいらっしゃって、庄内弁でこの地域のことをいろいろ案内してくれます。いよいよ蚕室群に向かうと、私たちがデザインした案内板が迎えてくれます。担当した若いI君がいろいろ工夫して案内図をつくってくれました。

蚕室群の再整備も進み、新しくシルクミライ館も登場しました。駐車場から直接入れるようになっていたので少し驚きました。初めて見学しました。

蚕室群に向かう道です(下写真)。草が生えて私たちが狙った雰囲気になっています。

ごくごく自然にいきたいという思いから出発しています。そのために自然の素材である石を使っています。目地からは「ちゃんと」草が生えています。古びれば、古びるほど味のある雰囲気になると思います。そこがコンクリート舗装などとの違いです。

高谷時彦

建築・都市デザイン

Tokihiko Takatani

architect/urban designer

 

 

 


松ケ岡開墾場のトイレ:棟を90度回転!

2022-07-03 17:15:44 | 公共建築 Public architecture

この週末は、木、金、土曜日と3日間、鶴岡、酒田の庄内で過ごしました。

悲しい出来事から始まった3日間でしたが、気を取り直して、羽黒に向かいました。羽黒の風景はいつも、気分を穏やかにしてくれます。

久しぶりに訪れた松ケ岡開墾場。普通の人は素通りでしょうが、私はいつもまずはこのトイレの前で1ショットです。

 

実は、もともとは、下の写真のように屋根の向きが今とは90°違っていました。ほぼ同じ位置からの写真です。

もともとあった上写真の男女便所はそのまま使い、この写真でいうと、左側のほうに多目的トイレを新設しました。そのうえで棟を90度回転するような位置で、新しい屋根を設けました。簡単にスケッチを描いてみました。下のようなことを行ったわけです。

自分としては、既存のトイレも使いながら、多目的トイレもでき、また表情を一新することができたので、大変満足していますが・・・。

高谷時彦

建築・都市デザイン

Tokihiko Takatani

architect/urban designer

 

 


鶴岡中央児童館再訪

2022-06-05 15:23:19 | 公共建築 Public architecture

久しぶりに鶴岡中央児童館を訪れました。雨漏りをしていたのが気になっていたのですが、今日は中にも入らせてもらいました。突然の訪問にもかかわらず、大変親切に案内してくださり、お話も聞かせていただきました。

児童館と学童の教室をつなぐ廊下。明るく子供たちが走り出すような雰囲気を目指しました。雰囲気はそのままでしたが、この上部のトップライトが雨漏りしているようでした。

プレイルーム。交差した梁・・・確か岐阜で製作してもらいました。

施工は地元のS工務店。今も担当してくれた所長さん(会社の大幹部になられていると思います)が見てくれるということをお聞きして、うれしくなりました。職人気質が今も息づく鶴岡らしいお話です。

これは、2,009年に行った増築部分。

今もきれいです。

自分としては、結構気に入ったエレベーションなのですが・・・・。

ちょうど5月の節句ということで、こいのぼりも元気に泳いでいました。

いつも同じアングルで撮ってしまいますが、池の上からの全景。池の設計は初めてでしたが、何とか今も現役で使われているので安心します。

そして、月山(下写真)。児童館の工事は1999年、その数年前から基本計画が始まりました。そのころには、ここに第2小学校の校舎が残っていました。スキーの練習をするためと聞きましたが、かわいらしい築山もありました。築山に上って敷地を一望しようとした私は、家並みの向こうに見える雄大な月山の姿に出会いました。それから数年後、不思議な縁で、東北公益文科大学大学院に関わるようになり、鶴岡と頻繁に行き来する中で、私は地域風景という概念で建築のことを考えるようになりました。この小学校の築山から見た家並みと月山の風景が、地域風景というものを考えるきっかけの一つであったことを思い出します。

個々の建築は変わっても、人々の暮らしとそれを包み込む大きな風景は変わらないものです。