まち・ひと・くらし-けんちくの風景-

建築設計を通してまち・ひと・くらしを考えます。また目に映るまち・人・くらしの風景から建築のあるべき姿を考えています。

司馬遼太郎記念館はもっと早く来ておくべき作品でした

2017-11-05 17:15:04 | 建築まち巡り近畿 Osaka, Kansai

司馬遼太郎記念館はずいぶん前から観たいと思っていた建築の一つです。

安藤氏は、建築は「外から見た時には、控えめで、中に入るとおおらかな空間があり、感動があるのがよい」という趣旨のことを言っていますが、この司馬遼太郎記念館はまさにそういう感がします。

アプローチです。

中が撮れないのが残念です。有名な本の壁の吹き抜けは平面は扇状、高さ11m以上ありますが、本棚と本棚の間は6mにも満たない空間です。どこかに入り込んでしまった(すなわち司馬遼太郎の内面世界ということでしょう)という感覚がうまくつくられています。1階から地下への階段、それから1階へのR形状の階段など人の行為を導く空間もたくみです。外観から見るとなんということのない縦長の窓(下の写真)が階段への光を導いている重要な窓になっているところもプラニングの妙です。

階段室の光の入れ方はアールトを彷彿とさせます。

そして展示されているスケッチを見ると初期においては敷地形状も異なり、建築も全く違った雁行形であったことが分かります。ただそこに、隣の土地が手に入らないかというコメントがあり、結果的には敷地の形を変えて現在の案となっていったことが分かります。的確な指摘というか、恐るべき執念ですね。

高谷時彦記

I visited Shiba Ryotaro memorial museum which I believe a masterpiece of Architect Tadao Ando.

The museum naturally reminds me of Hujisawa Shuhei Memorial Museum I designed in tsuruoka city.

Acording to the building specification set ahead of the design competition, an exhibition room must be separated from other spaces including  a corridor and hall. Then I decided to make an exhibition room as a completely closed RC box like KURA, a traditional storehouse in that region.  And I enclosed the solid box in RC structure with Sayado (pod hall) in steel structure.

Though I am satisfied with my work, while walking in Ando's museum, desultory thoughts are coming and going. "There might be an another solution if the architect had joined the making process of a preliminary document of the museum"  um.

Tokihiko Takatani

Architect/Professor

Takatani Tokihiko and Associates, Architecture/Urban Design, Tokyo

Graduate School of Tohoku Koeki university ,Tsuruoka city, Yamagata

高谷時彦

建築・都市デザイン

Tokihiko TAKATANI

architecture/urban design

 

 

 


船場芝川ビルはニッカウヰスキー生誕の地

2017-10-15 17:16:24 | 建築まち巡り近畿 Osaka, Kansai

船場を歩いていると、目を奪われるまちかどが出現。脇道を歩いていたご利益です。

アールデコ・・といっていいでしょう。インカの遺跡風?ライト風?・・・。

芝川ビル。1階の管理室で販売していた解説の冊子によると、1927年竣工、設計者は渋谷五郎、本間乙彦氏。施工は竹中工務店。

それにしても徹底したインカ、マヤ風意匠です。

エントランスホールには、定礎版?ニューヨークのアールデコスカイスクレーパーのホールを思い出します。

今も現役です。事務所やお店が入っています。

オニックスです。

エレベーターは撤去されています。扉を開けて入るタイプです。

階段室。

最上階です。やはりお店があります。

船場の建築群を保存活用されているグループによる(と思われる)解説もあります。

花嫁学校だったんですね。作ったのは、「江戸から続く商家・芝川家6代目当主の芝川又四郎」(引用は解説冊子からです)。

デザインも又四郎自身の好みだそうです。

階段も凝っています。

 

階段の竪穴区画もきちんとされています。シャッターは鶴岡の恵比寿ビル(1935)と同じく鈴木シャッター。

いつも一人で歩くときはそうですが昼ご飯を食べるのを忘れていました。ふと京都で見た武田吾一設計の1928年ビルを思い出した私は「きっと地下に面白い店がある」はずだということで、地下へ。少し雨も降っていたので、建築探訪も小休止・・・。

こんなお店でした。ただ、食べるよりも水分補給を優先させてしまいました。

ニッカ創業者の竹鶴正孝・リタが住んでいたのが又四郎所有の洋館。帝塚山のご近所同士ということで芝川ビルにニッカの創立事務所があったそうです。創立総会もこの建物(解説冊子から)。

高谷時彦記

As I took a side street to  MIDO-SUJI, the main street of Osaka,

I was able to encounter an interesting building in Art Deco style.

It is where  NIKKA whiskey corporation was founded.

Tokihiko Takatani

 

Architect/Professor

Takatani Tokihiko and Associates, Architecture/Urban Design, Tokyo

Graduate School of Tohoku Koeki university ,Tsuruoka city, Yamagata

高谷時彦/建築家・都市デザイナー

設計計画高谷時彦事務所/東京都文京区千石4-37-4

東北公益文科大学大学院/山形県鶴岡市馬場町14-1

 

 


大阪船場 清水猛商店

2017-10-15 16:42:53 | 建築まち巡り近畿 Osaka, Kansai

大学の視察旅行の最終日、帰るまでの時間を利用して少しまち歩き。

船場の清水猛商店。ぶらぶらと歩いていただけですが、たまたま遭遇。ネット情報によると・・・

大正13(1924)年竣工、設計は住友工作部(今の日建設計ですね)の小川安一郎。

RCにしか見えませんでしたが実は木造だそうです。前栽を中央に持つ典型的な大阪の町家建築でした。

高谷時彦 記

Very much surprised to know it is built with wooden structure.

It's a typical machiya , a traditional merchant house that has a small court in the middle of the site. 

Tokihiko Takatani

Architect/Professor

Takatani Tokihiko and Associates, Architecture/Urban Design, Tokyo

Graduate School of Tohoku Koeki university ,Tsuruoka city, Yamagata

 

高谷時彦/建築家・都市デザイナー

設計計画高谷時彦事務所/東京都文京区千石4-37-4

東北公益文科大学大学院/山形県鶴岡市馬場町14-1


大阪めぐり2015(その7)

2015-07-28 17:54:46 | 建築まち巡り近畿 Osaka, Kansai

大阪めぐりの最後はあべのハルカスを目指します。まずは通天閣に向かおうと思ったら、にぎわう界隈の中にひっそりとしたたたずまいの終着駅がありました。阪堺電軌阪堺線の恵美須町駅です。地方都市の風情です。通天閣のイメージとの対比がなんともいえない雰囲気です。

この後は、「大阪らしい」としか言いようのない風景が続きます

狭い商店街のなかにはくしかつ屋や将棋の会所・・・。なにやら昔映画で見た「なにわ」の風景。昔ながらの荷物預かりという商売も成立するようです。

天王寺、阿倍野に向かう大通りに出るとハルカスが見えます。しかし、人がいっぱいで展望台はあきらめました。

最後はモノレールで伊丹空港に向かいます。北は梅田から南は阿倍野まで、また地上だけではなく水上からも、いろんな表情の大阪を体験できた大阪めぐりでした。

 

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大阪めぐり2015(その6)

2015-07-28 17:40:31 | 建築まち巡り近畿 Osaka, Kansai

最寄り駅の阿波座駅からひとまず難波駅。まずは戎橋商店街から心斎橋方面へ。TVなどではおなじみの風景です。それにしても暑い・・・また人が多い・・・。しかも海外の人が多いのは東京の街と変わりません。

先ほどは船で通った道頓堀川を渡り、千日前のほうから南方向へUターン。

法善寺横町を探しました。

いかにも大阪と思わせる黒門市場の商店街を通って、高島屋東別館。

日本橋でんでんタウンのとおりを天王寺方面に向かいます。でんでんタウンは秋葉原のような町。やはり外国人が多い。バスで乗り付けるんですね。