庄内鶴岡の日本海沿岸部では美しい灯台に出会うことができます。
下の写真は、加茂にある荒崎灯台。
全面モザイクタイル貼りです。タイル張りの灯台はめずらしいのかというと、意外に多いようです。赤灯台と白灯台をタイルで張り分けているのもあります。
ちなみに荒崎灯台は1952年12月竣工ですから、私と全くの同級生です。
上部の入り口壁はアシンメトリーな造形です。片側だけに壁があるのは海からの風雨・風雪を避けるという機能上の理由もあるでしょうが、私は中心軸に沿って対称形となることを嫌い、動きのある形を狙った意図的なデザインだと考えます。
上の由良の灯台(1961年築)のように海の方向に重心が移動するような動的なデザインもあります。灯台と言うと直立する塔というイメージがありますが決して静的な中心性を表現しているのではなく、非対称で動きのあるデザインが多いということがいえます。
灯台を見てきて思い出すものがあります。下の写真は東京天文台(我が家のご近所です)のアインシュタイン塔。全方位に対して対称形である天球を観測するということから、中心軸のあるシンメトリカルなデザインが採用されてもよさそうですが、このようにアシンメトリカルな動きのあるデザインです。
入り口の側壁は当時流行の表現主義的なラウンドコーナーになっていますが、基本的に非対称。崖下(左側)への方向性が感じられる動きのあるデザインです。ちなみに少し歩くと同時期(1930年)につくられた旧図書館があります(下の写真)。
灯台、もしくは船のメタファーを感じます。由良灯台の丸い開口部や、外部階段を髣髴させます。
もちろん時系列的には、1930年の天文台の方が先です。
ところで、東京天文台のアインシュタイン塔はもちろんメンデルゾーンのアインシュタイン塔(1921、下の写真)にちなんだ名前です(写真はwikipediaの項目Einstein Towerからの引用です)。
http://en.wikipedia.org/wiki/File:Einsteinturm_7443.jpg
本家・表現主義建築の持っている「流れるような動きのあるデザイン」、この「流れ」の中に庄内鶴岡の灯台たちも位置していると考えたいのです。