都市環境デザイン会議のWEB通信(服部圭朗龍谷大学教授ほかの皆さんで編集)12号に私たちが大学院で取り組んでいる手向のまち並みに関して、短い文章を寄せました。以下再掲します。
四季雑感
出羽三山信仰の宗教集落、手向(とうげ)の雪は深い。修験者/山伏の住居であることを示す立派な抜き通し門が半分以上雪に埋まっている。温暖な瀬戸内で生まれ育った私には、想像もできない厳しい暮らしである。
手向集落でも山伏として道者(里からくる修行者)を迎える宿坊を営む人は少数となった。多くの人がサラリーマンとなっている。しかし雪の少ない平地に降りずここに暮らす意味は何か。それは、羽黒山と共にあるという拭うことのできない自然に身についた感覚であり、峰入りなどの修行、祭りや出羽三山神社や集落の行事を通して修験道を千数百年守ってきた誇りである。
誇り高い山伏のまち・・・まち並みはその営みの集団的な記憶を表現している。私たちの研究室はこの10年来、まちの将来を真剣に考える住民とともに、まち並み修景に取り組んできた。ようやく制度が整い、信仰集落にふさわしい風格あるまち並みが徐々に私たちの前に現れつつある。
高谷時彦
建築・都市デザイン
東北公益文科大学大学院・鶴岡市・山形県
設計計画高谷時彦事務所・東京
Tokihiko Takatani
architect/professor
Graduate School of Tohoku Koeki University
Takatani Tokihiko Studio architecture/uaban design