今月幕張ベイタウン協議会が発足し、そのことを伝える幕張ベイタウン協議会NEWS1号を私のもとにお送りいただきました。私はベイタウンの中のコミュニティ施設であるベイタウン・コアを設計した関係で、今でも住民の方々とお付き合いさせていただいています。
(上写真:団地にはないまち並みが続きます)
幕張ベイタウンは従来型の「団地」ではありません。中層の沿道中庭型集合住宅に2万人の人が暮らす「あたらしいまち」です。街路・まち並みとの関係を失った「団地住棟」ではなく、街路に面した建築で街路とまち空間をつくってきた画期的な試みによって出来上がったまちです。私の大学時代以来の先生方が先見性とリーダーシップを持って県の人たちや住民の人たちと一緒につくってきたものです。
(上写真:ベイタウン祭りのときのベイタウン・コアです)
ただそのまちも底地権をもつ地主であり開発者でありまた計画を通してコントロールしてきたプロデューサーでもあった千葉県企業庁が閉庁する(2013年)ことで新しい局面を迎えようとしています。
具体的には企業庁から千葉市に公共空間や公共施設が移管されることで、例えばゴミの真空輸送、高いデザインの質を持つ道路空間、公園などその水準が保たれなくなる恐れも出ています。
そんな中で、いつもすごいと思うのは、住民の皆さんが自ら協議会をつくって町全体で議論を深め、自分たちで課題を整理し行動に結び付けようとしていることです。ベイタウン・コアを設計していた頃の皆さんの顔が浮かびます。今度も自立的、主体的に取り組もうというわけです。
(上写真:ちょっと古い写真ですがわたしも皆さんと一緒にベイタウン・コアの中庭でカレーパーティに参加しています)
その活動組織として幕張ベイタウン協議会を発足させたことが、送ってきてくれたNEWS1号に掲載されています。景観法を上手く活用しようという試みもあるようです。私も色々な自治体で景観計画や条例づくり、運営に携わってきているので協力できることがあればぜひご恩返しにお手伝いしたいという気持ちになります。
小さくともきらりと光るベイタウン・コアを作りたい、どこにもない自分たちの誇りとなるコア・ホールにしたいということで住民主権の最も進んだ事例をつくってこられた人たちです。今度も時代を先取りした新しい仕組みを作り出し、美しく暮らせるまち幕張ベイタウンにとって意味のある果実を生み出すことを確信しています。