まち・ひと・くらし-けんちくの風景-

建築設計を通してまち・ひと・くらしを考えます。また目に映るまち・人・くらしの風景から建築のあるべき姿を考えています。

内川学03-川と橋からまちを考える-

2012-02-18 16:34:46 | 講義・レクチャー Lecture

「川と橋からまちを考える」-内川学3:もうひとつの橋詰物語 2011.11.12 基調講演

内川が鶴岡中心部のどまんなかを流れているということが、航空写真を見ると、はっきりとわかります(図1)。私たちは、内川が都市の魅力づくりに大きく影響するだろうと考え関わってきました。今日はなぜ川や橋を大事にすることが必要なのか、皆さんと考えてみようと思います。

人の身体には、経絡とツボ、というものがあります。気の流れ道である経絡に沿ったツボを押さえることで効果的な治癒ができるという東洋医学の考え方です。実は、都市の中にもそこを押すと自然に都市、まちがよくなっていくというツボがあるんだ、あるいは経絡もあるんだと言っている建築・都市計画家がおります。前クリチバ市長、レルネルさんです。

ブラジルのクリチバというまちは、今や建築や都市計画をやっている人なら誰でも知っているまちで、サスティナブル、持続可能な開発ということでは、世界一有名な都市です。例えば、路面電車であるかのように演出したバスを使ったまちづくりをしています。ツボさえ押さえればお金をかけた大きな外科手術をしなくてもよいこと、そしてツボを押して地域の力を目覚めさせた方が個性的なまちづくりが出来るということが証明されました。

 で、次に私が何をいうかお分かりだと思います。鶴岡にも経絡があるだろう、と。まちを人体に喩えると、内川こそ経絡の一つです。気が流れる川筋に沿ってツボがあると考えているわけです。

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そこで、この数年間、ツボを探しだして実践的に押してみようとしてきました。2007年は鶴園橋とみゆき橋の間のところで内川再発見プロジェクトをやりました(図2)。今、致道博物館の中にある警察署と西田川郡役所は、鶴園橋のたもとにわりと最近までありました(図3)。

    

このように私たちは、内川というものはひとつの経絡であり、ツボがあり、そのツボを押すことによってまちが変わっていくと考えているわけです。その他にも、川を挟むように藤沢周平記念館、まちなかキネマ、さらに文化会館の建替えなど、いろいろなプロジェクトが起こっています。実は文化会館の敷地も内川に面しています。鶴岡公園からつながる緑のオープンスペースが内川と出会う場所が文化会館の敷地だと思っています。そんな視点でこれもひとつのツボになるであろうと考えています。

そういうツボ、経絡をうまく活用しているまちというのもが日本にもすでにたくさんあります。栃木市の巴波川(うずまがわ)です(図5)。舟運時代の古い建物を眺めながら川下りをしています。年間200万人の観光客が訪れるそうです。   

   

同じようなものとして、近江八幡(図6)があります。観光客のために整備したわけではないのですが、結果的に観光客が年間に300万人ほど訪れます。再び巴波川の橋詰です(図7)。橋詰はどのまちでも特別な場所なんですね。内川と比べてみましょう(図8)。200万人来る川沿いの建物と比べても、内川は全くひけをとりません。贔屓目なしにみても、こっちの方が、ずっと雰囲気あるんじゃないかな、という感じがします。内川というのはものすごく高い可能性を持っていると思っています。

外科の治療のように、何か悪くなってきたところとか元気にしたいところを取り替えるのではなくて、東洋医学的のようにあくまでもツボを押す、経絡にそってツボを押す、そういうまちづくりをじっくりとやっていけば、私はこのまちは潜在的にものすごく高いポテンシャルを持っているので、間違いなくさらによくなっていくのではないか、と考えています。そのような気持ちで、私たちは内川に取り組んでいます。

    

まさに鶴岡のまちのゲート、玄関のような界隈だったわけです。2008年は、鶴岡魚市場を研究しました。内川沿いの魚市場、大変立派な小屋組みが残っています。そこで映画をテーマとして、川と映画、あるいは川と劇場ということを考えるイベントをやりました(図4)。なぜかというと、この場所に、明治時代に劇場がありましてこの魚市場の建物がもしかすると劇場として使われていたかもわからないからです。

次の年は田澤稲舟さんの生家が内川にあるということで文学と川とを考えました。昨年2010年はその生家にほど近い旧イチローヂ商店や大泉橋をめぐって考えたわけです。古いイベントの写真を見ると、3階建ての旧イチローヂ商店と大泉橋の橋詰空間が、ちょうどまちの入り口として意識されていましたことがわかります。こういうものを私たちはまちのツボだろうと、そんな風に考えています。


まちキネがベルカBELCA賞を受賞しました

2012-02-13 17:52:12 | 民間建築 Private Sector Building

まちキネがBELCA賞を受賞しました。

   

書類選考に残り、昨年秋には内田祥哉先生(40年前に建築構法の授業に出させていただきました)他そうそうたる先生方の現地審査を頂きました。結果発表を待ち焦がれていましたが、ようやく2月10日に発表となりました。

    

BELCA賞には古い建物を適切に維持管理した建物に与えられる「ロングライフ部門」と、改修して再生させた建物を対象とした「ベストリフォーム」部門がありますが、まちキネは「ベストリフォーム」ということになります。

    

早稲田大学2号館やプリンス箱根本館、南海ターミナルビルなど歴史ある有名大型施設に交じり、地元の工務店、大工さんの作った平屋の木造建築であるまちキネが並んでいるのは私たちにとっては誇らしいことです。http://www.belca.or.jp/belca4.htm

   

この場所こそ中心部再生の拠点となると熱く語ってくれた地元経済界のリーダーとともに、初めてまだ操業中の工場を訪れた頃のことを思い出します。その思いは株式会社まちづくり鶴岡の小林社長や菅部長たちが引き継いでおられます。

    

その意をうけ、私たちも庄内の風土で生まれ、松文産業さんや関係のみなさんに80年間も使い込まれてきた地元材による木造架構システムを目に見える形で継承し、それを生かしたどこにもない映画館を作ろうということでやってきました。

    

また短い工期の中、当初不可能と思われた工期内竣工を成し遂げた工事JV(石川所長)の皆さんの超人的な仕事ぶりも今となっては懐かしく思い出されます。

    

次に副委員長鎌田先生の講評を転載させていただきます(公益法人ロングライフビル推進協会HPより)。

    

     

   

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「鶴岡まちなかキネマ」(1936竣工、2010年改修)は、鶴岡中心地で昭和初期から続いていた絹織物工場の移転を契機として、その跡地利用に、鶴岡商工会議所加盟企業の出資による民間資本のまちづくり会社が事業主体と名って取り組んだ、中心市街地活性化プロジェクトによる改修物件である。

トップライトからの明かりを得て、絹織物工場の記憶を呼び起こさせる木造トラスが美しく表現されたエントランスホール、梁下高さを確保するために地盤を掘り下げて階段状スラブを新設し、内装・椅子などの工夫により温もりと雰囲気のある空間を創出している40~165席の4つのシネマなどが評価されたが、これらは一次審査資料からは十分読み取れず、現地審査参加委員すべてが、書類による審査の限界を知らされた物件である。

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写真や図面で十分お伝えできなかったことを反省しないとはいけないのですが、そこではどうしても伝えきれない、時間が生み出してきたものと対峙するデザインが生み出す空間の質を感じ取っていただき評価いただいたことを大変うれしく思います。

   

また表彰建物の紹介文では「・・・織物の縦糸横糸を連想する木製ルーバーの壁面と、絹の柔らかさを思わせるきわめてすわり心地の良いオリジナルデザインの客席により、温もりと雰囲気のある空間に仕上がっている・・・・」という評価も頂きました。設計者としてこれほど的確にまた細やかな感覚で見ていただいたことに頭が下がる思いです。

     

これからもまちキネが多くの人に見守られて、まちの賑わいの中にあり続けることを願うものです。皆様有難うございました。


雪と風景

2012-02-05 23:22:53 | 建築・都市・あれこれ  Essay

雪が降ると風景が一変します。

羽越線の車窓からみえる田んぼの中の聖なる場所。

Photo

雑木林として残した部分に祠を建ててお祭りしています。『見えがくれする都市』で若月さんがお書きになった「森・盛・・・聖なる場所」のことを思い出します。

これが冬になるとこんな感じです。

P1140799_2

尊い場所だから田んぼにしないで残したのか、残した場所、盛・森に神聖さを見出したのか。

実はこの風景と似ています。これは集落ですが、盛・森・聖なる場所の風景に合致します。

Photo_2

集落そのものも祠と森で作る風景の相似形であることにいまさらながら気づかされます。

大概は飛行機で庄内入りしますが、時間の関係で羽越線を利用することもあります。季節ごとにまったく違う表情を見せるのが庄内平野です。


まちキネでゴーストライター

2012-02-05 23:01:26 | 建築・都市・あれこれ  Essay

今日の日曜日は研究室で羽黒・手向の作業の仕上げ。I    さんが殆ど仕上げてくれていたので、あとほんの少しです。明日がんばれば何とかなるでしょう。

そこで夜は、ヒラボク食堂で三元豚(やわらかいですね)とビール。そのまま、久しぶりにまちキネの映画鑑賞をしました。ポランスキーの「ゴーストライター」。

ポランスキーはもう80才を超えているとのこと。そうでしょう。ローズマリーの赤ちゃんが大ヒットしたり、奥さんの女優シャロンテートの悲劇のニュースが話題を呼んだのは私の高校時代でしたから。

映画は程よい緊張感(「ハートロッカー」のような激しい緊張は最近ついていけません)で進展。雨の日の心が重くなるような風景と主人公の気持ちがうまくオーバーラップしています。映像のトーンがよいですね。

車がないので行きも帰りも歩きです。

夜のまちキネは静かな殆ど真っ暗な住宅地の中に暖かな光を灯しています。

P1140810

といってもこれはまちキネでも外構に使わせてもらった山王商店街仕様の行灯型街灯。雪に埋もれています。顔を出すとこんな感じになります。

P1140811

このあと鶴岡公園の藤沢周平記念館の前も通って見ました。中庭は背丈以上の雪に埋もれています。明日、様子を見に行ってみましょう。