まち・ひと・くらし-けんちくの風景-

建築設計を通してまち・ひと・くらしを考えます。また目に映るまち・人・くらしの風景から建築のあるべき姿を考えています。

大多喜町庁舎コンペ

2009-02-25 00:53:29 | 建築・都市・あれこれ  Essay

大多喜町庁舎の設計プロポーザルに参加しましたが、残念ながら最終5作品にはもう一息のところで及ばず次点となる結果(準佳作)に終わってしまいました。

大多喜町庁舎は長崎の26聖人記念館などで有名な今井兼次の設計で、1959年の建築学会賞受賞作です。課題はこの庁舎を耐震補強などを含めて改修し、さらに同一敷地内に増築をするというものです。歴史的建築を活かしたまちづくりを研究室(東北公益文科大大学院)のテーマに掲げ、またその建築的実践を事務所(設計計画高谷時彦事務所)で進めている身としてはぜひともとりたいコンペでした。

私たちが提案した内容については事務所のHPに掲載したいと思います。次のコンペでは、ファイナリストを目指したいものです。

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高谷時彦記 Tokihiko Takatani


フルモールからセミモールへ

2009-02-20 15:36:31 | 海外巡礼 Asia America

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P1040676 フランクロイドライトの町オークパークのマリオンストリート(歩行者モール)を紹介します。マリオンストリートは70年代に歩行者専用モールに改装したものを、近年車と共存するセミモールに再改造し成功しています。日本の地方都市にも参考になるのではないでしょうか。

 

オークパークはシカゴの20km程西にあり、鉄道でシカゴのダウンタウン(ループ)と結ばれています。シカゴのベッドタウンとして19世紀の後半から人口も急増し、中心街レイクストリートと駅前を結ぶマリオンストリートには商店や郵便局、ホテルが立ち並びました。1915年の時点ですでに街灯やレンガ舗装を完成させ、「モダン」な商業地区として周辺の町からも多くの人を呼んでいたそうです。

しかし、60年代から客は郊外ショッピングセンターに流れるようになり、商店街は寂れました。そこで郊外ショッピングセンターのインナーモールに対抗するため、レイクストリートとともに歩行者専用モールに改造したのが1974年のことです。

 

 

その後の経緯を詳しくフォローしようと思っていますが、少なくとも歩行者専用道路にしたことが商業的な衰退を留めることには結びつかず、90年代半ばにはまずレイクストリートが車の通行を再会しました。そして2007年にはマリオンストリートもセミモールへの改造を行い11月に開通式を行っています。

私たち東北公益文科大学の公益ビジネス調査チームが訪れたのが2008年の9月で歩道に埋め込まれた噴水が最終的に完成したのが2008年の5月ですから、改造直後でその成果がきちんと検証できるというところまで入っていないかもしれません。しかし、案内してくれた関係者は実現した歩行者空間の質に大変誇らしげであり、ダウンタウンをコミュニティにとってショッピングにも食事にも集まる場所に再構築するという目標の実現に自信を持っていました。

彼らには、単なる道路(Roadway)を超えたものをつくったという自負があります。歩道は3から4.8mあり、ゆとりのある戸外の散歩や食事、休憩スペースであり同時に駐輪スペースとなっています。照明は1920年代に時代を先取りしてつくられたデザインを再現しています。車道は20世紀前半の「モダン』な商店街といわれていたときの雰囲気を意識してレンガで舗装。これらの試みにより時を越えたダウンタウンの歴史的個性(Historic character)を継承しているのです。

ちょうど私たちが訪れた直後にアメリカ計画協会(American Planning Association)やニューアーバニズム会議(Congress for the New Uabanism)に高く評価され、表彰されることが決まったことが公表されました。

この計画の実現には地域の建物所有者や商業者により作られたダウンタウンオークパーク(Business Association)が行政(Village of Oak Park)とともに大きな役割を果たしています。また、オークパークには3つのTIFと3つのSSA(Special Service Area)がありますが、マリオンストリートを含むダウンタウンもSSAのひとつであり、ダウンタウンオークパークの活動財源になっています。このあたりのことは、時間があれば調べてみたいものです。

参考:http://www.oak-park.us/Community_Services/Planning_Marion_Street.htm

 

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高谷時彦記 Tokihiko Takatani


ライト、ウィリッツ邸

2009-02-08 16:59:01 | 海外巡礼 Asia America

  シカゴ郊外、ウィリッツ邸

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シカゴで見た建築の続きです。イリノイ州歴史保全局のアンソニーさんが、ミノルヤマサキのユダヤ教会(North Shore Congregation Israel)に続いて見せてくれたのがフランクロイドライトのウィリッツ邸です。

ウィリッツ邸は十字形の平面を持つ典型的なプレーリーハウスです。スタッコ仕上げの外壁は初期プレーリーハウスの特徴だそうですが、残念ながら中を見ることはできません。

オークパークのユニティテンプルもそうですが、壁の出隅には木の見切りがありません。そのため面材としての壁は角・コーナーで動きを止められることなく回り込んでいきます。ソリッドな「立体」としてではなく、伸びやかな「面」によりファサードが構成されているという印象がもたらされています。方立てなどがっちりとした竪方向の要素が多いにもかかわらず、水平・横への方向性が強く感じられるのは低く長い屋根の効果だけではないようです。

住宅があるのは、ハイランドパーク市でシカゴの40キロほど北になります。車でびゅんびゅん飛ばすので、気づきませんでしたが、後で地図で確かめるとずいぶん遠くまで案内してくれていたのでした。

Michi はやりここもミシガン湖沿いの高級住宅地で、左のような風景がずっと続きます。ちなみに道路と民地(宅地)の境界は明示されていますが、景観的には一体となるような管理が土地オーナーに義務付けられています。

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高谷時彦記 Tokihiko Takatani