八戸についてみろく横丁やポータルミュージアムはっちの面白さをブログに記しましたが、最後に朝市も大変感動ものであったことを書きとめておかなければなりません。
市内に何箇所も朝市があるというのも驚きですが日曜日のこの岸壁の朝市は規模の大きさに圧倒されました。400店と聞きました。大迫力です。海産物だけではなく、日常品がおいてあるので休日はここでいろいろ仕入れて、ゆっくり家で過ごすというということでしょうか。皆さん一仕事終えたあとの満足げなお顔です。
市場というのは育て上げたり収穫したもの、あるいは自分で作ったものを(その生産者や作者から離して)一度神の元に返し、それをみんなで交換し、分かち合う場所だということを網野善彦さんが書いていたように思います。人の思いがこもった作物(作品)が神にささげられることで誰にも所属しない商品に変わるということでしょうか。そこにはおのずと祝祭性が生まれます。市場は祝祭の場ということです。祝祭性を持つという点は洋の東西を問いません。
上は舞踊団で有名なブッパータール。似ています。下はその近くにあったまちで本当にぶらりと訪ねたアンダーナッハ。ここは丁度移動カーニバルの日でしたので、まさに祝祭日で皆さん楽しそうです。
八戸のような海辺の市場というとヘルシンキにもありました。岸壁ですが特に魚を売っているわけではありません。
魚は舟で売っていました。
ついでに思い出しました。ストックホルムにも同じような風景がありました。
朝弱い私としては異例の早起きをして八戸の朝市に出かけましたが、たまには早起きもいいものです。
八戸には、まちキネの日本建築学会東北建築賞の授賞式と海産物・青果市場の成功例八食センター視察のために訪れましたが、ほかにもいろいろ見るべきものがありました。
ポータルミュージアムはっちは5階建ての5000㎡程度の市立の施設です。まちのど真ん中にあります。ポータルミュージアムですからここを入り口として市内各所を訪ねてくださいというコンセプトです。
1階には上の写真のようなイベントスペース(食事もOKのようでした。今日は和の日なので利用者も和装です)やミュージアムショップなど(下の左写真)。上階には観光展示や、インキュベータースタジオ、インキュベーターショップなどが市民の居場所と上手く共存するように配置されています。
上の写真を見ても分かるように商品のセレクトや細部のデザインに工夫があります。
建築は仙台の建築家の針生さんたちのグループですから良くて当然としても、展示やインキュベータースタジオのつくり方、あるいは運営にも意欲的で有能なスタッフが関わっておられるのでしょう。
観光展示や地元クラフト紹介などもかなり美しく見せてくれます(下の写真)。
チャレンジショップのブースもスタジオと名づけられて親しみやすく置かれていました。
食のインキュベートスペースもあります。
そういえば私たちがおのぼりさん風にうろうろしていたら、和服の妙齢の女性が声をかけていろいろ説明してくれました。休日のボランティアだそうです。ここのボランティアは高校生から御年配まで多彩な構成だそうです。
役所の建物も機能的で美しい建築、親しみやすく分かりやすい展示、欲しくなる商品、意欲のある人のお店のスマートな支援、充実したイベント・・・・など上手く工夫することで楽しくなるものなんですね・・・・・・。
6月16日は、日本建築学会東北建築賞の授賞式のため、八戸入り。無事授賞式を終え、関係の皆さんとみろく横丁へ繰り出しました。
70メートルあまりの長さの路地に30軒弱の屋台。単調にならないように(?)途中に小さな広場(といっても3,4メートル)があります。路地はそこで微妙にずれているので路地の閉鎖的な雰囲気は保たれています。また、本来の路地に多い1間巾の狭い部分と人がたまれる少し広い部分が交互に設けられています。これは相当考えられ、巧まれた路地です。
屋台も可動ではなくまた平面もかなり規格化統一化されていますが、設えものなどで仮設っぽい路地のごちゃごちゃとした雰囲気がうまく演出されています。やはり計画者の知恵を感じます。
大きな投資が出来ない時代です。この路地から学ぶことは多いように思いました。