2022年7月31日、酒田駅前の市街地再開発事業のグランドオープン。
酒田は快晴、いや正確には酷暑日。
鳥海山にはまだ雪が残っているんでしょうか。白いところが見えます。今年は豪雪だったので、工事は大変だったことでしょう。お疲れ様です。おめでとうございます。
オープンセレモニーで、中庭には多くの市民が集まっています。
図書館ミライニはすでにオープンしていましたが、相変わらず盛況。いろんな人のたまり場、居場所となっています。
この部分は、この施設での顔でもある、図書館の回廊部分。中庭を囲んで回廊を巡らすというのは、私も大賛成、おすすめのアイデアでした。一つだけ心配だったのが、このストリート的なところを通行する人の騒音。しかしその心配は全くありません。
むしろ図書館の中に少しざわつき感のあるまちのストリートが入り込んでいることを、積極的に評価したいと思います。図書館は少し前の「本の墓場」ではない。アントネッラ・アンニョリ(イタリア図書館の革新者)によれば、本(映画や音楽にも)に囲まれた場所の中で人と知り合うこと、出会いと参加の場をつくること、創造力や社会の知性を作り出すことが、図書館のめざすところです(『知の広場 図書館と自由』みすず書房2011)。図書館は「屋根のある広場」に生まれ変わるべきであり、そこには金持ちも貧乏人、ホームレスも、そして枢機卿からジプシーまで集まる場なのです。
アントネッラ・アンニョリはボローニャのサラ・ボルサ図書館(Biblioteca Salaborsa:マッジョーレ広場/ネプチューン広場)の開設に関わった方だと知りました。サラ・ボルサはまちそのもののような文化施設でした。初めて見た時は衝撃的でした。ああいうものをつくりたいとずっと考えていましたが、はやりそこには仕掛け人がいたんですね。あれこそ、彼女の言う知の広場ということだと思います。
セレモニーの後は、日和山小幡楼に自然に脚が向かいます。
にぎわっていますね。ここも人々の居場所になっていました。
まちの中にいろんな居場所が用意されていることが大切です。私たちは、歴史的建築を、歴史と文化に自然に触れられる居場所にすることに努めてきました。
もちろん、新築しても、居場所はできます。下の写真は鶴岡商工会議所の1階。私たちが用意した内川に向いたテナントスペースに、素敵なテナントが入ってくれています。私は、この席でトマトカレーを食べます。私の居場所です。
高谷時彦
建築・都市デザイン
Tokihiko Takatani
architecture/urban design