昨日(2018年2月24日(土))東北公益文科大学大学院ホールで<シンポジウム:歴史的建築物、民家の良さを「つるおか住宅」へ>が開催されました(主催:つるおか住宅活性化ネットワーク:三浦一男会長)。
松井郁夫先生の記念講演に引き続き、パネルディスカッション「歴史的建築、民家等の良さをつるおか住宅へ」が行われ、私も進行役として参加しました。
大変内容の濃いイベントでしたので、備忘のために(最近すぐに記憶が飛んでいく!)まずは基調講演の内容を記しておきます。
松井郁夫先生の記念講演は文字通り楽しくてためになるというものでした。ご自分の考えをユーモアたっぷりに、自分の実践を交えてビシュアルに示してくれます。
スライドのタイトルもキャッチーです。
むかしといまをみらいへつなぐ-住まいは古民家からやってきた-
伊藤ていじ先生や柳宗悦さんのことばで、木の架構を本質とする民家が日本建築の本来の主流であることを語りかけます。この後、貫構造の粘り強さや民家のもつ自然エネルギー技術について実証実験などを踏まえて論が展開されます。
貫構造の話しに関連しては、2階床位置外周で、柱を水平方向につなぐ部材である胴差しは近代以降のものであることを教えてくれます。松井先生が書評を書いている、源愛日児さんの「木造軸組み工法の近代化」(中央公論美術出版2009)に詳しく論証されていることも紹介してくれました。この本は以前読んだのですが、そのあたりの記述はすっぽり記憶から飛んでいました。
さて、話しは、木の話、山の話、生業としての林業等々と展開します。松井先生が取り組んでいる木を中心としたイエ作りが、社会の仕組みそのものを変えていくことであり、豊かさとは何かを問いかけるものであり、デザインとは何かという本質的な問いにつながるものであることを語りかけます。
最後のほうではご自分の設計作品が紹介されますが、意外と自由に「伝統」と付き合っておられるんだなと感じました。がちがちに決まったかたに縛られるといった風ではありません。これが正解ということはありませんし、現実の建築基準法の枠組みや、厳しいコスト条件の中での性能確保という課題に答えつつ、民家の良さを現代に生かす「木組みの家」に取り組まれていることが、実感できました。
非常に中身の濃いレクチャーでした。
2018.02.25
高谷時彦 建築/都市デザイン
設計計画高谷時彦事務所/東北公益文科大学大学院
A symposium titled "Learning from Minka, a Japanese traditional folk house, to make a Tsuruoka-style House " was held at Graduate school assembly hall of Koeki university.
I addressed the panel discussion of the symposium as a moderater. The key note speech by Matsui Ikuo sensei was very interesting, I learned much about the modern Minka house he managed to create, through the study of Japanese traditional folk houses.
Tokihiko Takatani architect/professor
Takatani Tokihiko Architect Studio
Graduate school of Tohoku Koeki university
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