トーキング・ヘッズのステージ・ドキュメンタリー・フィルムが4Kレストアされ、現在上映されている。デヴィッド・バーンの音楽を越えた表現のアイディア、パフォーマンスの凄に今更ながら驚いた。映画館なのに観ているだけで自然とからだが動いてしまうほど臨場感があった。
2ヶ月前だが、ディカプリオ、デ・ニーロらお馴染みが出演する、マーティン・スコセッシ監督作品『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』を観た。アメリカで起きた実話が題材となった、先住民の利権に群がる白人の残忍な欲を描いたものだった。冒頭から引き込まれるようにして観たので、三時間半の上映時間を感じることはなかった。そのサントラ盤が昨日、日本でもリリースされた。このサントラ盤が、ロビー・ロバートソンの遺作になった。ロビー自らのアイデンティティーとも重なった、旧知のスコセッシ監督とのこの作品が、最後の仕事になるなんて…映画のエンドロールでも“ロビー・ロバートソンに捧ぐ”とあった。闘病中に作り上げた小品の収録だ。それぞれがどのシーンで使われていなかは覚えていないが、エスニックで、少し陰がある雰囲気は映画そのものを正に表現しているように思えた。最後に、“Inspired by the Picture”としてロビーのボーカル曲「Still Standing」が収録されている。なんとも切なく沁みる歌声だ。
20年前の10月、パシフィコ横浜で『楽器フェアー』があった。特に当てはなかったが、あちこちと目移りしながら会場を見て回った。
“マーシャル・アンプ”のブースに行くと、創設者“ジム・マーシャル”本人が来場していた(この時が最後の来日となったようだ)。しかも、用意されたポスターに目の前でサインしてもらい言葉を交わして握手することが出来た。ラッキー!
お馴染み“マーシャル・スタック”の前で演奏する“ジミヘン”のかっこいいモノクロ・ポスターだ。帰りがけに“ワールドポーターズ”でポスター・フレームを買って帰った。
しばらく経ってポスターを眺めたら、“James Marshall Hendrix”と記されていることに気づいた。“あれっ”と思い調べたら、ジム・マーシャルの本名は“James Charles Marshall”とわかった。ジミとマーシャル、二人とも“James Marshall”だったなんて知らなかった。
ジムはロンドン生まれで、地元でドラムを教えながら楽器店を営んでいたようだ。教え子のひとりだった“ミッチ・ミッチェル”はその後、このジミヘンとバンドを組んだ。こんな経緯があったとは…なにか運命的なものを感じてしまう。
間違いなく、二人の“マーシャル”はこの先も語り継がれていくロック・レジェンドだ。
(敬称略)
テリー・ライリー 立体音響ライヴ@東本願寺・能舞台を観に京都へ行った。現在開催中のAMBIENT KYOTO 2023のライヴだ。開場時にはすっかり日が暮れ、寒いほどだった。すでに開演前の会場はSEが静かに流れていた。ほぼ定刻に開演。テリーはゆっくりと、でもしっかりとした足どりで登場し、鍵盤ハーモニカで演奏を始めた。橋掛かりに目を向けると、民族面装束を纏った宮本沙羅がゆっくりパフォーマンスしながら登場し合流した。今夜のステージの世界がすでに出来上がっていた。メロディーとループはスムーズに音色を変化させながら能舞台の空間を舞っている。太鼓の音色は時に床の空洞を唸り響かせているように思えた。音に静寂があると虫の音が静かに聴こえ、ラーガには何故か不思議と身体がゆっくりと動かされていた。東の夜空にはひときわ明るい星が輝き、西の木陰からは京都タワーが見えかくれしていた。およそ100分休むことなくキーボードとタブレットを操り続けたテリーは、まるで仙人のようだった。まさにアンビエントな空間に包まれた貴重なステージを体験できた。
(敬称略)
週末、ピーター・バラカンの『Music Film Festival 2023』に行ってきた。彼が選んだ40数本のミュージック映画を上映する催しだ。見たのは、“Once Were Brothers” 先月亡くなったロビー・ロバートソンが自身のことを語ったドキュメンタリー作品だ。三年前に公開されていたことを知らなかった。若くして始まった音楽活動のなかでも“The Band”前夜から、B・ディランとの出会い、ビッグ・ピンク、ツアーでの出来事等が語られているところが注目だった。劇中のクラプトン、ピーター・ガブリエル、スプリングスティーンらが語る逸話や、上映後行われた萩原健太とのトークショーで、当時実際に観たディランとのステージの話など興味がつきなかった。
(敬称略)
もう13年が経ったのか。このカセットテープは、二度目の来日公演後の夏に“ヤングミュージックショー”を録音したものだ。確かカセットテープは、60分までと・90分・120分の三種類のテープ・ベース規格があったと思う(正確ではないかも)。番組を途切れなく(A/B面をひっくり返さないで)録音するために仕方なく120分テープを選んだ。当時の自宅のテレビにはLINE OUT端子なんてついてなくて、イヤフォン端子からカセット・デッキに繋いで録った。テープの厚さがいちばん薄い120分テープだから、再生も負荷をかけないように気をつけていた。早送りなんてもっての他だった。こんな思いをして、テープやレコードで聴いていたので思い入れがある。あの、パワフルで伸びのある歌声は唯一無二だ。自分が最後に観たのは、ずぶ濡れになった85年の“スーパー・ロック”だった。今日はロニーの歌声を聴いてみよう。昭和のこの手間が妙に懐かしく思い出された。
今日は“ハロウィン”ということで、“HELLOWEEN”を引っ張り出した。今は高層ビルが建ち並ぶ東新橋。国鉄汐留駅(貨物)が廃止になった当時、その跡地に暫くの間あった『汐留PIT』で2度目の来日コンサートがあった(初来日は、なぜか行ってないんだよなぁ)。カイが抜けた後だったけど、「守護神伝」2作をひっさげてのツアーで、1曲目の“Eagle Fly Free”からパワー全開のステージだった。盛り上がりは半端なく、観客の異常なまでの熱気と、6月のテント会場の蒸し暑さ、酸欠のような息苦しさで、終演後はかなりぐったりした。この頃リリースされた「KEEPERS LIVE」は今でも愛聴盤だ。いつか、フルサイズでリリースしてもらえないかなぁ? ともかく今夜、繁華街で何事もなく“ハッピー・ハロウィン”の1日が終わることを願うばかりだ。
今日9月21日は、「アース・ウィンド・アンド・ファイアー September の日」らしい。あのヒット曲「September」の歌詞に由来してるとのこと。初めて買ったアースのアルバムは「太陽神」だった。確か、ジャケットは日本のイラストレーターだったかな。勝手にコンセプトアルバムと思い込んで、しっかりA面、B面と流れで聴いていた。「September」今聴いても、ひとつも色褪せていない。