同級生の一人は、次の様に報告書の結論で述べている。
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私が何よりも感じたのは、診療団のメンバ一としての連帯感・一体感であった。お互いに一定の役割を分担しながら、そこにはささやかながらも責任感の上に成り立つ信頼感家が育ちつつあった。そして寝食を共にする生活があった。診療団が解散したからといって、この人間的な大切なものを失いたくないと思った。
大学に帰って来て思う。大学とは何だ。ここにあるのは人間関係の崩壊したマスプロ教育だけじゃないか。教育というものはお互いの信頼関係の上に成り立つものなのだ。ここはそんな信頼関係なんかありゃしない。あるのは知識の切り売り、試験を目指しての競争、鼻持ちならないエリ一ト意識、こんなことでは人間関係も疎遠・希薄になってしまう。医療にしたって、医者と患者さんとの信頼関係があってはじめて成り立つものだろう。そんな基本的なことが、どうして教育の場に生かされないのか。
とは言え、大学の壁は厚く、改革の日は遠い。結局、自分で勉強しなければならないんだというありきたりの結論に終わってしまう。
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又、次の様な内容の学生の報告書もあった。
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次に、学生達の旅館の睡眠事情について報告します。寝付きの悪い僕は、あのいまわしい夜毎に繰り広げられる歯ぎしりといびきの二重奏の一部始終を見てしまったので御座います。まさに平安の世に鳥羽僧正によって描かれた”鳥獣戯画”を眼前に見る思いでした。歯ぎしりは、最初、コオロギの鳴き声かと思える程、かわゆいものでしたが、次第にその音量を増し、PDA(動脈管開存)の石臼様雑音を思わせる腹立たしい音に変わりました。いびきは、最初はアンダンテに始まり、次にアレグロとなり、更には、いっさいの音量の停止が数秒続き、クスマウルの大呼吸を思わせる大音響と共に、一楽章を終えるのです。私たちは、ト一ヌスの落ちた軟口蓋を思い浮かべて、3時近くにやっと眠りに付く毎日でした。
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私が何よりも感じたのは、診療団のメンバ一としての連帯感・一体感であった。お互いに一定の役割を分担しながら、そこにはささやかながらも責任感の上に成り立つ信頼感家が育ちつつあった。そして寝食を共にする生活があった。診療団が解散したからといって、この人間的な大切なものを失いたくないと思った。
大学に帰って来て思う。大学とは何だ。ここにあるのは人間関係の崩壊したマスプロ教育だけじゃないか。教育というものはお互いの信頼関係の上に成り立つものなのだ。ここはそんな信頼関係なんかありゃしない。あるのは知識の切り売り、試験を目指しての競争、鼻持ちならないエリ一ト意識、こんなことでは人間関係も疎遠・希薄になってしまう。医療にしたって、医者と患者さんとの信頼関係があってはじめて成り立つものだろう。そんな基本的なことが、どうして教育の場に生かされないのか。
とは言え、大学の壁は厚く、改革の日は遠い。結局、自分で勉強しなければならないんだというありきたりの結論に終わってしまう。
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又、次の様な内容の学生の報告書もあった。
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次に、学生達の旅館の睡眠事情について報告します。寝付きの悪い僕は、あのいまわしい夜毎に繰り広げられる歯ぎしりといびきの二重奏の一部始終を見てしまったので御座います。まさに平安の世に鳥羽僧正によって描かれた”鳥獣戯画”を眼前に見る思いでした。歯ぎしりは、最初、コオロギの鳴き声かと思える程、かわゆいものでしたが、次第にその音量を増し、PDA(動脈管開存)の石臼様雑音を思わせる腹立たしい音に変わりました。いびきは、最初はアンダンテに始まり、次にアレグロとなり、更には、いっさいの音量の停止が数秒続き、クスマウルの大呼吸を思わせる大音響と共に、一楽章を終えるのです。私たちは、ト一ヌスの落ちた軟口蓋を思い浮かべて、3時近くにやっと眠りに付く毎日でした。
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