今年のワンコの日は大寒だったけれど、温暖化を実感させるような気温で、
過ごしやすいものの不安になってしまったよ
だから、この詩が余計に心に残ったのかな
冬の詩 霜柱
(聖護院八つ橋についている栞より)
近くの小学生が騒いでいて目を覚ましてみれば、まだ日も昇りきらない早朝であった。前日は日が変る頃まで調べものをしていたために、ゆっくりと眠ろうと思っていた折のことである。
いささか気分を害されながら窓を開けると、途端に冷え冷えとした風が舞い込んできた。
冬になったことは空気からも暦からも知っていたが、ここまで冷え込んでくるとは思いもしていなかった。
小学生らは路地に居るらしく、窓からは姿は見えない。ガラスの窓を閉め切った部屋から声が聞こえる程度であったので、今度ははっきりと言葉が読めるようになる。
「ほら、しゃり言うてはるわ」
「みっちゃんとこの、まだ言うで」
「えー、ここらへんかな」
「あ、言うた言うた!」
聞いてみれば、どうやら何か音をおっているようである。はて、そのように珍しい音とは何であろうかと気になりはじめ、寒さですっかりと目が冴えてしまったのを好都合に、暖かく着込んで外へ出ることにした。
路地へ向かうと、まだ小学生らは戯れているらしい。よくもまあ飽きずに早朝から、と踏み出したところ、しゃり、という音がした。
「あ、しゃり言うた」
一人の少女が笑いながら、私の横を駆け抜ける。
「ここも、いっぱい残ってるわ」
も一歩足を出せば、また小気味良い音が響いた。
どうやら、霜柱が立っているようで、子供たちはこの霜も音を楽しんでいたのである。
八ッ橋屋の前に来ると、常の男が子供たちと同じように土を踏んでいるので、笑いそうになってしまった。私の気付くと、男もきまり悪そうに笑顔を見せる。
「音が楽しくなったんですわ」
「わかります」
私も、自分の周囲をひととおり踏み荒らしてみた。確かに、踏み出すと楽しくなってきている。童心に返る、とはこれを言うのだろう。
そのまま、二人で店先の霜を踏み荒らしていると、先の小学生らが駆けてきた。なにを今度は騒いでいるのかと思うと、私たちを見て面白がっているのである。
途中でやめるわけにもいかず、小学生らも交えて霜の音を楽しんでみた。
音が無くなる頃には、すっかり眠気も寒さもとんでしまっている。

この詩は、聖護院八つ橋についてくる栞に記されているもので、
四季折々に(たぶん)内容が変わるのだと思うんだよ
八つ橋おたべ夕子
同じ(ような)お菓子に、元祖だ本家だ総本家だと姦しいけれど、
私はニッキの香りが一番強いと感じる聖護院のが好きなんだよ
だから京都のお土産は、いつも聖護院の八つ橋なんだけど、
これを選ぶのは、ニッキの香りだけでなく、この栞の詩がとっても好きだからなんだよ
今回の詩は、霜柱を踏んだ時の「シャリ」という音を楽しむ様子が描かれているのだけど、
懐かしいね ワンコ
ワンコは、秋にはポプラの落ち葉をバリバリいわせ、
冬には霜柱をシャリシャリいわせて歩くことが本当に好きだったね
雪が積もった時なんか、誰も踏んでない真っ新な真っ白な所を選って歩いて、自分の足跡をつけて楽しんでいたね
ワンコと散歩していると、季節があったよ
そこにはとっても美しい季節があったよ ワンコ
ワンコが天上界の住犬なってしまった頃から下界の私は忙しくなったこともあり、
散歩もできなくなり、季節から美しい色が失われてしまったように感じるよ
その上この冬は、この暖かさだろう?
暖冬は有難いけれど、
四季が失われるのは寂しいし恐ろしい気もするんだよ
だからワンコ 見守っていてね
この詩から、ワンコの雪遊び写真を探し、こんな写真も見つけたのだから
ちょっと弱りめな私にウンをつけてね ワンコ

以前の写真ばかり掲載しているのは、何もワンコが天上界に引っ越してしまったからばかりではないんんだよ
新しいこのパソコンは、SDカードを読みとらないので、カードリーダーを買ってきたのだけれど、
使うなり、SDカードを釈迦にしてしまったんだ
そこには、本当に本当に貴重な写真がたくさんあったから、病んでしまうくらい悲しくて、
それ以来、写真関係から手を引いているので、新しい写真を掲載できないんだよ
でも、グーグルさんに保存されている過去写真を見ていると、
八つ橋つながりで雅な写真を見つけたから、次回紹介することにするね
じゃあね ワンコ