何を見ても何かを思い出す

He who laughs last laughs best

続 ホタルより星、転じて 

2021-03-20 09:51:25 | 

先月のワンコお告げの本の報告を記さないまま、今月のワンコの日を迎えてしまい
ゴメンよ ワンコ

今年はどういうわけかムスカリの花が少ない
頼んでもいないのにあちこちに咲きている時には、傍若無人だと感じた花だが、
少ししか咲いてくれないとなると、
ホタル袋のような姿も、春先には珍しい青色も愛おしい
そんなムスカリの花言葉は、
失望・失意

 

つまらなければ感想を書かなければいいわけで、基本マイナスの感想は書かないことにしているのだが、それがワンコお告げの本なら、書かざるをえない。
まずこう断らなければならないほどに、2月のワンコお告げの本のうちの一冊は、私には書くべき言葉が見つからない。
いやそれも少し違う。
マイナスの評価が強ければ、なぜマイナスなのかを、もしかすると滔々と書けるかもしれない。
だが、これほどまでに読んだ後、何も残らない作品も珍しい。

「東京ホタル」(中村航、小路幸也、穂高明、小松エメル、原田マハ)

あまりに何も残らないので、それこそがワンコからのお告げなんだと思うことにしたよ
ワンコ
本の装丁が私好みで、しかも連作の作者に’’穂高’’の文字があれば必ず私が読むと思ったんだね
ワンコ
「すべきこと」「寝る」だけで24時間を埋めている私に、
ともかく一息つく時間を持たせるために、
私が読むことを先送りしない本を送り届けてくれたんだね

その本は、
隅田川に10万個のLEDを放流するイベントにまつわる話を、
5人の作家さんの短編でつづるという趣向なんだよ
本の感想は何もないのだけれど、

ホタルというと、やはり上高地だね
それを思い出させようとしてくれたんだね

いつもお世話になる上高地温泉ホテルで、初夏に行われるホタルの鑑賞会
冬場 雪に覆われる地域としては珍しく、ホタルが生息できるのは、
ホテルの名にもある温泉が、冬場も温かい水を供給するからだそうだよ

そんなホタルの鑑賞会で印象に残っていることがあるんだよ
乱舞というほどではないホタルの舞は却って幻想的で美しかったのだけど、
そこにいた宿泊客の多くは、ホタルよりも夜空を飽かず眺めていたんだよ
その日は天気がよく空気が澄みきっていて、
本当に星が美しかったんだよ
あちこちから「こんなにたくさんの星を見たのは初めて」という感嘆の声があがり
静かな感動に包まれたんだよ

案内のホテルの方の
「街でも見える星よりホタルの方が珍しいかと思ったのだけど、違うのですね」という言葉が印象に残っているのだけれど、

珍しいものを見ることができた喜びはもちろんあるのだろうけれど、
あるべきものが見えてない、あるべきものを見ていないことに気付いた驚きと、
だからこそ、それを見ることができた喜びは、
珍しいものを見た喜びとは一味違う味わい深いものなんだな

そんなことを思い出しながら読んだので、
10万個のLEDが殊更にうさん臭く思えてストーリーにも共感できなかったのかもしれないな

ただ、見るべきものを見ず考えることを放棄してしまう
という視点でワンコお告げ本のもう一冊を読むと、
深・恐ろしい言葉が迫ってくるよ

「迷子のままで」(天童荒太)

申し訳ないけれど、本書もどこをどう書けばよいのか分からない作品なのだけど、
見るべきものを見ていないことの怖さを伝える一文があるんだよ

『「だまされるということ自体がすでに一つの悪である」ということを主張したいのである。造作なくだまされるほど批判力を失い、思考力を失い、信念を失い、家畜的な盲従に自己の一切をゆだねるようになってしまっていた国民全体の文化的無気力、無自覚、無反省、無責任などが悪の本体なのである。
「だまされていた」と言って平気でいられる国民なら、おそらく今後も何度でもだまされるだろう』
(『 』「迷子のままで」より)

伊丹万作という映画監督の言葉らしいのだよ
この言葉の背景を探ると、今の時代への警告のようで怖いよ
ほんとにね
見るべきものを見ず、考えることもやめてしまった私たちは
たぶん何度でも騙されるんだろうね

大地震、それに続く原発事故
未曽有の大災害から10年

復興からの五輪の掛け声はいつのまにか、コロナに打ち勝った証の五輪になり、そのコロナが変異をとげ蔓延し始めているのに、街は人で溢れかえっている

茹でガエルを茹で上げているのは、私達自身なのだろう


ムスカリには違う花言葉もあるという
明るい未来・夢にかける思い

私たちが
見るべきものを見て、
茹でガエルであることに気付き考え始めた時
明るい未来が見えてくるのかもしれない


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Dogwood 祈り②

2021-03-11 14:46:02 | ニュース
東日本大震災から10年

被災地を直接お見舞いされたいと両陛下は希望されていたそうだが、このコロナ禍では、それは叶わずオンラインでのご訪問とあいなった。
それを伝えるニュースで、折々に読む絵本の作者のお名前を見つけた。

「ハナミズキのみち」(文・浅沼ミキ子 絵・黒井健)

本書は、東日本大震災で息子さんを亡くされたお母様が書かれた絵本だ。
今年は庭のスイセンがよく咲いている
我が家はそれぞれ好きなスイセンを植えているのだが、
私とワンコのスイセンは、毎年一番たくさん咲く
そんな黄色いスイセンの花言葉は、
私のもとへ帰ってきて

 
「ハナミズキのみち」後書きより
『津波で息子を失ったあと、眠れない日が続き、胸が苦しくなり、呼吸困難になることが何度かありました。
どうしても会いたくて、会いたくて、泣いてばかりいました。
そんなある日、息子の声が、私の耳にハッキリと聞こえてきたのです。
そうだ、私には後世に伝えていく大きな役割があるんだ・・・・・。
「いのちを守る木を植えたい」
亡き息子の声に教えられて、私は今日も生かされていることに感謝しました』

「ハナミズキのみち」より一部引用
『もう泣かないで。
 楽しかったことを
 思い出して
 笑っていてね。
 ぼくは、
 ここから見ているから。

 おかあさん、おねがい。
 僕が大すきだった
 ハナミズキの木を、
 たくさんたくさん
 植えてね。

 津波が来たとき、
 みんなが
 あんぜんなところへ
 逃げるめじるしに、
 ハナミズキのみちをつくってね。

 町の人たちが
 もう二度と
 津波で
 かなしむことが
 ないように、
 ぼくは
 木になったり
 花になって
 みんなを
 まもって
 いきたいんだ。
 ~略~
 とおくに海が見える
 ハナミズキのみちを、
 ぼくも
 おかあさんといっしょに
 歩いているよ。

 どこまでも
 どこまでも・・・・・。』

 
本書はワンコお告げの本だったが、ハナミズキは英語でDogwoodと呼ばれ、まさに「犬の木」でもあるし、ワンコはハナミズキの木陰で過ごすことが多かったので、息子さんの思いも、それを叶えようと立ちあがられた浅沼氏にも感動し、ハナミズキの季節や三月になると読み返してきたものだ。

先日、ワンコが見守ってくれていることを体感した私としては、お母さんの耳の届いた息子さんの思いに、胸がつまる思いがする。(幸いの源 ワンコ - 何を見ても何かを思い出す)

10年たっても大きな余震に見舞われる被災地

それどころか、新たな大地震の前兆すらあるという被災地
 
息子さんの思いが、ハナミズキの道が、人々を強く守ってくれることを心から祈っている。
 
 
<両陛下オンラインご訪問、岩手の被災者ら「目が合い、涙が出てきた」> 産経新聞3/4(木) 23:33配信より引用
東日本大震災から10年を前に4日、オンラインで実現した天皇、皇后両陛下の岩手県ご視察。懇談は約1時間40分にわたり、両陛下は画面越しでも被災者一人一人と視線を合わせ、励ましやねぎらいの言葉をかけられた。  
「本当に多くの方が亡くなったことは残念なことでした」  陸前高田市では、天皇陛下は冒頭、戸羽太市長に対して犠牲者への哀悼の言葉を述べられた。また、陛下は平成23年に同県大船渡市を訪問した際、皇后さまとともにヘリから陸前高田市の被災状況を見たことに触れ、「本当に心の痛む思いをいたしました」と当時の心境を明かされた。  
震災で長男=当時(25)=を亡くし、防災教育として子供たちへの絵本の読み聞かせや、避難路にハナミズキを植える活動をしている同市の浅沼ミキ子さん(57)に、陛下は「ご長男を亡くされたことは本当に残念でしたね」と語りかけられた。皇后さまは「後世のために動きだされたのはお強かったと思います」とねぎらわれた。浅沼さんは懇談後、「画面越しに目が合い、マスクをしていてもにっこりとほほ笑まれているのが分かった。ありがたく、涙が出てきました」と話した。  
25年のご訪問に続き、今回オンラインでの「再訪」となった釜石市。鈴木堅一さん(77)が、まだ11歳だった孫を含む家族4人を亡くしたことを話すと、皇后さまは「心が痛みますね」と寄り添われた。家族と暮らした場所にもう一度家を建設し、完成を待ちわびているという鈴木さんに、陛下は「楽しみでいらっしゃるでしょうね」といたわられた。  両陛下と懇談した同市の野田武則市長は終了後、「両陛下は釜石の復興の様子を非常に心配されていた。それにお応えできてよかった」と話した。

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Dogwood 祈り①

2021-03-11 14:46:00 | ニュース

あれから10年の年月が経ったが、あれほどのことがあったのに、同じ轍を踏もうとしていることの愚かさに愕然としている。

10年前の今日 3月11日 未曽有の地震が東日本を襲った。

このコロナ禍。
何度となく被災地の方々はどのような思いで過ごされているのだろうかと思い、胸が痛んだ。
政策(時短や休校)などのため、様々な問題や弊害や困窮する事態が生じているのは分かっている。だが、それへの反応として、直ぐに金銭的救済とセットだと言い募ったり、不平不満ばかりが噴出するのを見聞きするたび、近年さまざまな大災害に見舞われた被災地の方々が、黙って耐えておられることに、胸が痛んだ。

たしか、東日本大震災のときには、これからも未曽有の災害は続く可能性はあるのだから今回だけ過剰な支援をすることは公平の観点から難しい、と言い放った国会議員もいたと記憶しているが、私がこれに驚愕したのは、公平性が求められるとして、それをこのタイミングで言うのかということ、又それに対して世論が思いのほか淡白な反応しか示さなかったことにある。

それが、このコロナ禍。
耐え難きをを耐えるには、ともかく金銭的救済がセットなのだと、言う。

被災地にも、等しく及んでいる、コロナ禍。
大切な命をうしない、住まいも仕事も失い、ようやっと一歩歩み始めたばかりの方も多いであろう被災地をも襲っているコロナ禍。

かく云う私とて、少しでも平穏に過ごされることを祈るしかない、それを恥じている。


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幸いの源 ワンコ

2021-03-07 12:47:18 | ひとりごと

二月最後の日曜日の朝、ベッドのふちに座り、どうにも堪らんな、と嘆いていると、ピョんと黒いものが跳ね枕の横に落ちた。見れば黒い点なので、まさか季節外れのこの陽気で蚤が跳ねたとか?と思いつつ、その黒い点を手に取ると、なんとワンコの爪だった。 

ワンコの背の右上にあるのが、ワンコの爪

 

ワンコはかなり散歩をしていたので、基本 爪切りの必要はなかったのだが、狼爪に限っては勝手に剥がれ落ちていることは ままあり、それを見つけては大切に保管したものだった。
確かに、幾つかの宝箱に保管はしていたのだが、ベッドわきの小箱に入れた記憶はない。
それが、二月最後の日曜の朝、突然そのあたりから飛び跳ね、私の目の前に現れた。

ワンコだな
ワンコの仕業だな

理由もなく棚から物が飛び出してくるのにも驚きだが、それが、そこに五年もの間気づかれることなく置かれていたもの、ということは更に考えにくく、これはもうワンコの仕業としか思えない。もちろんワンコの仕業と思う方が、ありえない と思われるだろうが、そうとしか考えられないのだから・・・そうなのだ。

おそらく、二進も三進もいかなくなっている私へのワンコからの強力な励ましなのだ。
おかげで少し元気になったよ ワンコ

事態はあまり変わらないのだけど、いろいろ出来る限り前向きに対処し、あとは天に任せ、寝る。
とにかく自分が倒れないように、寝る。

そして寝る前の一時、ちゃんとワンコお告げの本などを読み、クールダウンする。

そんな本のご報告も滞っていたね。

それについては又つづく、とするよ


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桃の節句に梅、ひとり

2021-03-03 23:57:55 | ひとりごと

御大も年をとったと思い知らされた、
御大が仕立てた正月飾りの盆栽

 

桃の節句に梅の花を掲載するのも何だが、こんなニュースを見つけたので、今年も性懲りもなく繰り言を書く。

<安定的な皇位継承 政府が年度内に議論開始 女性宮家など論点に>毎日新聞 3/1(月) 20:25配信より一部引用
 政府は1日、安定的な皇位継承策を議論する有識者会議を月内にも開催する調整に入った。代替わりの一連の儀式が全て終わったことから、本格的な議論に着手する。政府関係者が明らかにした。  上皇さまの天皇退位を実現した皇室典範特例法の付帯決議は、安定的な皇位継承の検討について、退位後「速やかに」行うよう政府に要請。これを踏まえ、政府は水面下で有識者への非公式なヒアリングを重ねていた。  政府は上皇さまの天皇退位を巡って16年に有識者会議を設置し、会議のメンバーが専門家から意見を聞いた。今回も同様の形式を念頭に置いて会議のメンバーの人選を進め、公式の議論に入りたい考え。若い世代の皇族数を維持するため、「女性宮家」を認めるかなどが主な論点となりそうだ。

 

敬宮さまが女性天皇になられる法案が提示されようとしていた まさにその時、人の道では考えられぬやり方で、その道が絶たれた。

党議拘束をかけてでも、もう一度解散してでもその法案の成立を果たそうという意気込みだったライオン丸総理は、ちょうどその頃咲いていた梅にかけ、一茶の歌を披露した。

梅さけど 鶯鳴けど 一人かな

 

母の実家の家紋が梅鉢なことから、梅には親しみを持っていた私だが、あれ以来 梅の高貴な香りは、どこか物悲しさも運んでくる。

あの時 いと高い処ご自身が、21世紀も男尊女卑でいくのだと示されなければ、今の世も少しは変わっていただろうか。

「生涯に一度も子供を産まぬような女を税金で面倒みる必要はない」と言い放った輩が、男女平等をスローガンの一つに掲げる五輪の会議で「女は闘争心が強いので会議に不向きだ」「弁えぬ女は使い物にならぬ」などと嘯くことはなかっただろうか。

またその尻ぬぐいにでてきた名誉男性の「選択的夫婦別姓に反対するのは私の信念だが、それとは別に仕事上は男女平等の五輪を推進する」という言葉の理解に苦しむことも、又そう言いつつご自身は別姓使用をしているという行動の理解に苦しむことも、なかったのだろうか。

21世紀がはじまるなり、いと高き処ご自身がこれ以後も男尊女卑でいくのだと宣言されたのだから、この混乱も致し方あるまい。
そういう意味では、私はもう諦めているし、冷めている。


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