アメリカで初の女性副大統領が誕生することが(ほぼ)確定した まさにその日 日本は、次の世も男性だけで嗣いでいくのだと世界に宣明した。
四年前はまだ頑強だったガラスの天井は、もしかすると思いがけないかたちで打ち破られるかもしれないが、日本は、海外が「女性shine(死ね)社会」と揶揄する方向で突き進むのだと世界に宣明した。
(ほぼ)確定した、としか記しようがないのは、敗者が詰んでしまったことを認めないため、未だ混迷を極めているからだが、こちらも時代と民の声を見誤ったまま突き進んでいくので、早晩詰んでしまう。
負けや変化を受け入れるのは、それを認める度量や知恵や品格が必要なのだが、どちらもそれがないので、どうしようもない。
そんな醜態にふと、テレビで見たある場面が浮かんだのは、ちょうどその頃、将棋を主題にした本を再読していたからかもしれない。
正確なことは覚えてないのだが、タイトル保持者のような棋士に芸能人が挑戦するという趣向の番組だったと思う。
飛車角落ちどころか歩 数枚の棋士と芸能人が対局しているのだが、棋士は困り果てたような顔をしている。
将棋がまったく分からない私は、得意げに多くの駒を動かす芸能人と棋士の顔を見比べ、歩 数枚ではさすがにプロ棋士でも厳しいのかと思ったのだが、そうではなかった。
とっくに詰んでいるのに、芸能人が負けていることに気付かず投了しないので、棋士は困っていたのである。
その時子供心にも、負けを知るにも知恵が要ることを知った。
負けを認め、自ら頭を垂れるには、度量と品格が必要なのだと知った。
そうして今は、それが皆無な世のなのだと思う。
そんなことを思い出させてくれた、将棋を主題とした「盤上の向日葵」(柚月裕子)。
『ものを知らないことほど、怖いものはない。
無知は人に恐れを抱かせるか、恐れ知らずにさせるかのどちらかだ。
正しい知識を持たなければ、正しい判断は下せない。
我々はもっと多くのことを学ばなければいけない。
そうしなければ、日本は駄目になってしまう』(『 』「盤上の向日葵」より)
無知は人に恐れを抱かせるか、恐れ知らずにさせるかのどちらかだ。
正しい知識を持たなければ、正しい判断は下せない。
我々はもっと多くのことを学ばなければいけない。
そうしなければ、日本は駄目になってしまう』(『 』「盤上の向日葵」より)
日本は駄目になってしまう
私のなかで消えた輝きを思い、思う。
『日本は駄目になってしまう』