何を見ても何かを思い出す

He who laughs last laughs best

巡り合い 仕合せ 糸①

2020-08-30 00:23:47 | 
ワンコが天上界の住犬になって4年と8カ月
今月もまた時間マジックのお世話になることを許しておくれよ ワンコ

癖は読書とはいえない生活になってしまった私に、
ワンコは本を読めと勧めてくれるので、この半年はけっこう読んでいるのだけれど、
お告げ本以外の感想を書く時間までは捻出できないよ

さて、今月のお告げ本
実は読んだことがある本で、今再読したいとは思わない本だったので、
感想報告を書くのに苦慮しているうちに、また日が過ぎてしまい ごめんよワンコ

「そういうふうにできている」(さくらももこ)
「大河の一滴」(五木寛之)

だから、どうして出版から20年以上経った本が、
コロナ禍の今図書館にディスプレイされていたり、本屋に平積みされているのか、
ということをまず考えてみたよ
そこにワンコのメッセージがあるのではないかと思ってね
 
こじつけようと思ったら、幾つか理由を思いつかないでもないのだよ
 
緊急事態宣言で休校になっている小学生か中学生が、塾帰りの電車で、「あの子たち学校再開しても、来れないんじゃない」と含み笑いをしていた姿を思い出すと、
妊娠から出産までの過程を「ちびまる子ちゃん」の作者が分かりやすく書いている作品が、図書館の児童書の前にディスプレイにされていたことも頷けるんだよ
 
年間の自殺者が三万人を超えていた平成初期を「インナー・ウォーの時代」と定義し、どうしようもない悲しみの時には、励ますのではなく、寄り添うのだと慈悲を説き、それには「面授」が重要だという「大河の一滴」が再読されるのも、頷けるんだよ
だって世は、三密を避けるためソーシャルディスタンスが求められ、どこもかしこもオンラインだもんね
 
でもさ、しっかり読みかえして、ワンコのお告げとして私が感じたのは、
この本のなかの名言や教えではなく、
ずばりタイトルなんだよ
 
「大河の一滴」「そういうふうにできている」
 
ウィルスに翻弄され、豪雨に手も足も出ず、灼熱の太陽にしてやられている人間は、
けっきょく、
全ての命のサイクルのなかでは、大河の一滴、そういうふうにできている
と謙虚になるしかないんだと、
そう理解したんだよ ワンコ
 
こんな答えしか思いつかないことが情けなく、感想文報告書を書けないでいた私に、
素敵な贈り物があったんだよ
 
それによって思い出した本や、思いについては、また続くとするよ
 
ps(現在8月30日深夜)
ワンコごめんよ
猛烈に忙しくて、ついに感想報告文が10日も遅れてしまったよ
後程また時間マジックを使ってワンコの日に記録するけれど、
当面は、本来の時系列順に掲載しておくね 
ややこしいことをしてごめんよ ワンコ

心に、ももを②

2020-08-22 21:15:33 | 

お山に登るどころか上高地にも行くことができない、夏。
ほぼほぼ蟄居状態だったので、さぞかし家の用事が片付くかと思ったが、連日40度に迫る酷暑では何をする気力もわかず、お盆休みに記録するつもりだった「モモ」(ミヒャエル・エンデ)についても、書けないでいた。

それが、忙しい日常が戻ってきたにもかかわらず本書について記しておかねばと思ったのは、このところずっと頭を悩ましていたユトリとサトリから手痛いしっぺ返しを受け、嫌になっているからかもしれない。

自分の怒りが不当だとは思わないが、それを説明し指導する丁寧さは、少し欠けていたかもしれない。
そんなこと常識だろう、感性の違いはどうしようもない、そう呆れて諦め、説明するくらいなら自分でしてしまった方が良いと思っていた。
そして、そこからくる忙しさにイラつき、いい顔ができない日々が、もう半年以上は続いていた。
その しっぺ返しをしているつもりだろうが、それなら、君に任せなくとも回るのだということを知ってもらうまでだ、と今は思い、当分の間 歯を食いしばって頑張る所存だ。

そんな今だからこそ、「モモ」の中から、先が見えない仕事に立ち向かう気構えと、時間に追われて心を無くさないよう教えてくれる箇所を記しておきたい。

時間を節約して効率よく生きることを啓蒙する ''灰色の男たち(時間泥棒)''
時間泥棒の教えに従い、寸暇を惜しんで働き、浮いた時間を更に惜しんで効率よく動こうとしているうちに疲弊しイラつき心を失っていく人々に、届けられるメッセージ。

そんな言葉が、今の私には必要だ。(『 』「モモ」より引用)

それは、道路掃除夫ベッポがモモに訥々と語る言葉だった。
『とっても長い道路を受け持つことがあるんだ。おっそろしく長くて、これじゃとてもやりきれない、こう思ってしまう。』
『そこでせかせかと働きだす。どんどんスピードをあげてゆく。ときどき目をあげてみるんだが、いつ見ても残りの道路はちっとも減っていない。だからもっとすごいいきおいで働きまくる。心配でたまらないんだ。そしてしまいには息がきれて、動けなくなってしまう。道路はまだ残っているのにな。こういうやり方は、いかんのだ。』

『つぎの一歩のことだけ、
 つぎの一呼吸のことだけ、つぎのひと掃きのことだけを考えるんだ。』
『すると楽しくなってくる。
 楽しければ、仕事がうまくはかどる。」
『ひょっと気づいたときには、一歩一歩すすんできた道路がぜんぶ終わっとる。
 どうやってやりとげたかは、自分でもわからんし、息もきれていない。』

頼らず任せず抱え込めば、いつ見ても残りはちっとも減っていない、と嘆かなければならない状況に陥るだろうと思っていたが、ベッボの言葉に励まされ『次の一歩のことだけ』考え頑張ろうと(少しばかり悲壮な)覚悟を決めていた、そんな矢先、一陣の風が吹いた。

デュランタ 花言葉 
独りよがり あなたを見守る

それが、週末お昼前、突然ふらりと右腕くんが現れた。
所要のついでに立ち寄ってくれた右腕くんは、元同僚やユトリやサトリの領域権限を侵さないようにしながら、実にテキパキと私の懸案事項にあたってくれた。
付箋や私の視線から意図を汲み取り、私が希望する形へと整えていく右腕くん。

暗い気持ちで始まり暗澹たる気分に陥った週半ばだったが、週末帰宅する頃には、足取りも軽くなっていた。
そうして実感した「モモ」の時間に関するメッセージ。

『時間をはかるにはカレンダーや時計がありますが、はかってみたところであまり意味はありません。というのは、だれでも知っているとおり、その時間にどんなことがあったかによって、わずか一時間でも永遠の長さに感じられることもあれば、ほんの一瞬と思えることもあるからです。

なぜなら時間とは、生きるということ、そのものだからです。
そして人のいのちは心を住みかとしているからです。』

しなければならない量で時間を計り、押しつぶされそうになっていたが、「次の一歩だけ」考え一歩一歩進もうと思った矢先に実感した、心で感じ取るということ。

一瞬にして変わった週末の午後の仕事場の空気と、その時間。

ことごとく私をイラつかせていた事柄を、テキパキ処理していく右腕くんのスピードと仕事の質を目の当たりにしたサトリの気まずそうな顔を見て、それ見た事か!!!と思ったわけではない、少しは、ある

ある種の場において、時間というものは一人で作るものではない。
おそらく私の心が作り出しているものが、その場の時間を良いものにできないでいた、という側面もあるだろう。

そんな反省もさせてくれた「モモ」と桃。

「モモ」を思い返す切っ掛けとなった桃を贈って下さった人生の大先輩は、ワンコと私にとって思い入れあるイチゴをワンコの命日の前に贈ってくださる。

令和2年 2020 1・14

イチゴに花言葉はあるのかと検索すると、「尊重と愛情」と、ある。

人生の先輩とワンコが贈ってくれた「尊重と愛情」、
その言葉を胸に事に当たれば、少しは良い時間を共有できるだろうか?
またも図に乗らせるだけだろうか?

とにかく、次の一歩をより良いものに、それだけを考え当面頑張ってみようと思っている。


心に、ももを ①

2020-08-13 14:33:57 | 

毎年「山の日」の頃は、お山に登っている。
それが今年は、お山に登れないどころか、上高地訪問すら諦めなければならない事態になっている。
それで、というと仏様には叱られそうだが、今年はお寺さんのお盆のお参りに出席した。
後輩部下の一人にお寺(浄土宗)の息子がいるので、「今年のお参りはどうなのか」と訊くと、「マスクをして読経するらしい」とのことだったので、そうなのかと思っていたが、(同じ浄土宗だが)我が家のご住職も小坊主さんもマスクなしで朗々と読経された。
有り難い読経なので、感染の心配などせずともよいのか。
この状況では茶菓も迷ったのだが、アルコール消毒ジェルとともにお茶と水菓子をお出しすると、(出しておいて、こう言うのも変だが)驚いたことに、お茶もピオーネもペロリとお召し上がりになったので、このところの仕事場での厳重な感染予防対策についてのアレコレを色々思ってしまった。                読経の後に話題となった経机の桃

ご住職との会話だけに、仏教寺院の入り口に立ち門番の役目を果たす神を、桃の木で作ったのは(桃符)、桃には邪気の払う力があるからだ等が、話題となったが、私の頭は違う ’’もも’’ が浮かんでいた。

「モモ」(ミヒャエル・エンデ)

児童小説のジャンルに分類されるのかもしれないが、本書は「星の王子様」(サン・テグジュペリ)と並んで、大人でも考えさせられる、というより大人だからこそ深く考えさせられる本である。

主人公のモモは、廃墟の円形劇場に住むようになった貧しい少女。
モモと交流すると、街の人々は心が軽くなり幸福感を感じるのだが、ある日街に’’灰色の男たち’’がやって来て、大切な時間を節約し時間銀行に貯蓄すると命が長くなる、と吹聴し始める。
街の人々は、大切な時間を効率よく使い 浮いた時間を貯蓄することで寿命が延びるという、一見するとケチのつけようのない魅力的な宣伝文句に惹かれ、寸暇を惜しんで働き、忙しくイライラした生活をするようになる。
 
街の人の異変や ’’灰色の男たち’’の陰謀に気付いたモモが、時間泥棒から街の人の時間を取り戻す闘いに挑むなかで、時間や幸福や仕事への向き合い方についての珠玉の言葉に出会うことができる本書「モモ」
 
有難い読経や仏教と桃についてのお話を伺いながら、「モモ」を思い出したのは、経机の桃が、応援するということの流儀を教えてくださった人生の先輩からの贈り物だったからだと思う。
 
それは、忙しさのあまり怒りっぽくなり、待つということができなくなっている私に、とても良いタイミングで届けられた教えでありエールのように思えたからだ。
 
そんな有難い教えは、少しばかり時間ができたお盆休みに、記しておきたいと思っている。