ワンコが天上界の住犬になって4年と5カ月
まさかこんな春~初夏を過ごすことがあるなんて、思いもしていなかったよ
下界は訳が分からないことになっているよ
もともと この自粛は行き過ぎだと思っていたから解除は大歓迎だけど、
解除されるなり人出が戻ることを、「回復」といって歓迎する風潮もおかしければ、
解除前より感染者が増えていても、どんどん規制の段階を緩めていくのもおかしいよ
臨機応変とか適応能力とかは大切だけど、
なし崩し、っていうのは怖いね
なし崩しに物事が決まることに慣れてしまうと取り返しのつかないことになってしまうけれど、
もう、超絶上から下まで、物事をはかる基準が、つくづく銭金なのだから、
どうしようもないね
愚痴はこれくらいにして、今月のワンコお告げの本だけど、
読みやすさに反して、ワンコがお告げしたかった意図を読み解くのは難しかったよ
あんまり分からないものだから、お告げ本を間違って受け取ってしまったかと思っていたのだけど、
ワンコの日に、ワンコ指令ともいえるものを見つけたから、もう一度読み返していたんだよ
「菊花の仇討ち」(梶よう子)
本書は変化朝顔の栽培が生きがいの同心を主人公とした時代物で、
「一朝の夢」「夢の花、咲く」に続くシリーズもので、今回は短編集だよ
一作目の「一朝の夢」が良かったために、本書の評価は厳しくなってしまうのだけど、
第三篇「善の糸車」には、ハッとさせられたよ
それは、おそめさん というおばあさんの話なんだよ
おそめさんは、困っている人がいたら放っておけず何くれとなく世話を焼き、
長屋の皆から感謝されているんだよ
食うに困る者がおれば、美味しいものを食べさせたやり、
仕事にあぶれた者がおれば、口入屋に自ら出向き仕事を世話し、
怪我をした者、病む者は看病し、
住むところがないとなれば、自分の部屋に住まわせさえする
大方の人は、おそめさんの親身な親切に感謝し、窮地から立ち直っていくのだけれど、
それにズルズル甘えるだけでなく、
「親切をさせてやってる」とばかりに、おそめさんの懐を端から当てにする者も出てくる
それでは、親切がかえって仇となると考えた主人公の同心は、厳しい言葉をおそめさんに突きつけるのだけど、
それが、デフォルトが「応援」という私には、少し堪えたんだよ
困っていた人が立ち直って巣立っていけば、
古い長屋に一人ぽつねんと取り残されることになる、おそめさん
そんな おそめさんに主人公同心は直球を投げかける。
『この何もない家の中に、おそめさん自身の幸せはあるのですか?』
即座におそめさんは言い返す。
『皆が喜んでくれる、笑顔を向けてくれる。あたしは、とても満足しています』
『皆に施しをして、満たされているだけに見えますが』と同心は畳みかける。
『あたしだって、気づかなかったわけじゃない。
人の幸せは、結局、その人の物でしかないって』と肩を落とす おそめさんに、
奉行所では閑職だが朝顔栽培が生きがいの同心・興三郎は静かに言う。
『これは(朝顔栽培は)誰のためでもない自分のためだけにやっているものです』
う~~~~ん
目は楽しませてくれはするが、それで腹が膨れるわけではない変化朝顔栽培よりも、
食うに困る者、病む者を助ける方が、よほど良いことではないか
主人公の同心だって、第二作「夢の花、咲く」で、
大地震で家を失い家族を喪った被災者が多いなか、変化朝顔栽培なんてしてる場合か、と悩んだじゃないか
・・・と思いはするのだけれど、
親切や応援というものの難しさを、この話は教えてくれるね
何かで、「いいことは中毒になる、いいことだから止められない、けど、それは本当にいいことなのか」と読んだことがあるのだけれど、
難しいね
いいことを恩着せがましくしてもいけないけれど、
いいことを自己満足のためにするのは、もしかするともっと罪づくりなのかもしれない
旧制中学からの伝統を引き継ぐ高校の応援団にいたせいか、私は応援することが好きなのは知ってるだろう
だから、
次の世代を育てる年齢立場になった今も、指導・命令というよりは、応援というスタンスでいるけれど、
良かれと思い応援することが、本当に相手の為になるのかは、よくよく考えないといけないね
難しいね
だから私はいつも祈るのだけど、
難しいね
ちょっとさ、そのあたりの責任はこれから益々重くなりそうなので、
ワンコのお告げはグッドタイミングだったと思うよ
ありがとうね ワンコ
来月もよろしくね
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この夏最初の収穫
追伸
しっかし、今月のお告げ内容はさっぱり分からないな、お告げ本を間違えたかな?
と思っている私に、ワンコは強烈な一文を送り付け、本書の再読をせまったね
しかも、ワンコの日に
その本については次回、につづくとするね
しっかし、またとんでもなく忙しいから、いつになることやら