何を見ても何かを思い出す

He who laughs last laughs best

京の都の珍(苦行)道中②

2017-12-31 12:00:00 | ひとりごと
「京の都の珍(苦行)道中①」より

ついで参りが御法度だとは知っているが、せっかく京の都を訪問するからには、やはり有名処を幾つか訪れたいと思うもの。
例年なら、無理やり市内をぐるりとまわり竜安寺~金閣寺~知恩院とか、銀閣~南禅寺~知恩院とか、清水寺~高台寺~知恩院とか、様々ルートを考えるのだが、二年ぶりの今回は知恩院を主たる目的にした。

この界隈は、八坂神社・円山公園・祇園と有名処がひしめいていることもあり、かなり賑やかなのだが、東大路通りから東山へ向け一歩入ると、そこは空気が全く異なると、訪問する度に思う。
 

私の写真が下手なので、この階段の急勾配が伝わりにくいが、男坂と云われる この階段は立ち上がりがかなりキツい。私などは、これを登らずして正式なお参りになるものかと思うのだが、ご高齢の方やお上品な婦女子は心配することなかれ、隣に緩やかな傾斜の女坂もある(ようだ)。
真冬でも一汗かきそうな急な階段の途中で足を止め、ふと振り返ると、三門の向こうに、京の都の町並みがかすかに伺える。

以前は、男坂を登りきったところにある堂々たる御影堂で御回向をして頂いたのだが、現在は大修理のため、阿弥陀堂から鴬張りの廊下を渡り、法然上人御堂にて御回向をしていただく。
 
http://www.chion-in.or.jp/04_meiho/map.html

知恩院お参りは、ご回向をして頂くのが一番の目的だが、私が密かに楽しみ?にしているのが、10:20からの御法話だ。
今年の夏、家人がお参りした際の御法話は、「どのような命もあだ疎かにしてはならない。それは蚊であってもだ。ご先祖様が蚊になられているかもしれないし、また自分が蚊に転生するかもしれないから、蚊も殺してはならない」というお話しだったという・・・?家人は、講演会と名のつくものは睡眠時間と考える質たちなので、お話の真意は定かではないが、家人だけでなく居合わせた人は、苦笑いしながら有難くお話しを拝聴していたそうだ。とは云え、家人は内心「蚊を殺すなと話している今 目の前をブンブン蚊が飛んだら、このお寺さんは どうされるのか? 仮に蚊を叩き殺すことはイカンとしても、蚊取り線香もイカンのか?」と、そればかり考えていたそうだ。
そこへくると、この度 私が拝聴したお話は、この半年私が悩み続けていたことへの答えのような御法話で、心洗われる思いがし、大変有難かった。
人の縁の尊さを説くお話の具体例が心に沁み、このタイミングでお聞かせ頂けた御縁に心から感謝している。


俗界との境目とも、お寺の権勢を誇っているとも云える、堂々たる三門とは異なり、地味で静かな門をくぐり知恩院を後にし、次へと向かう・・ちょいと予告写真。

次の訪問地は、上高地で心に留まった大切な言葉を揮毫された門主が坐す寺院。
その大切な御言葉は、新しい年に・・・・・合掌





追記
ところで、京都に限らず最近 観光地などを歩いていると、以前には少なかった光景 -この写真でもそうだが、同姓の友人との旅行やショッピングを楽しむ若者 - が よく目に留まる。
そんなことが殊更気になったのは、つい先日「クリスマスに カップルお断りにするレストランが ウケる日本、と海外で話題になっている」という記事を読んでいたからだと思うが、実際のところを若者に訊ねると、「彼女や彼氏がいても、趣味やイベントは、同性友人との方が楽しめる」との答えが返ってきた。
ゆとり も さとりも自由だなと思う、失われた世代の私であった。

京の都の珍(苦行)道中①

2017-12-29 19:00:00 | ひとりごと
年の瀬の知恩院お参りは我が家の恒例行事だが、この二年お参りできていなかったので、今年は万障繰り合わせてお参りすると決めていた。
そんな気持ちを盛り上げるかのように、「御身拭式」や「除夜の鐘の試し打ち」など毎年恒例の知恩院のニュースが多く見られたが、それらに紛れて 聞き捨てならないものが、あった。
知恩院 御影堂への廊下

<城や寺の「うぐいす張り」、実は「忍び返し」ではない?> 朝日新聞 2017年12月27日12時05分配信より一部引用
浄土宗総本山知恩院や世界遺産・二条城(いずれも京都市)で知られる「うぐいす張り」。廊下を歩くとキュッキュッと音が鳴るため、「忍び返し」とも言われ、侵入者を知らせるための工夫とされてきた。だが、その説に疑問符がついているという。
「平成の大修理」が進む知恩院。江戸前期にできた御影堂(みえいどう、国宝)など建物四つをつなぐ廊下(約550メートル)が、うぐいす張りだ。案内板で「侵入者を防ぐための工夫を凝らしたもので(中略)長さも音色も日本一」と説明している。
だが、建物の一つは2011年に修理を終えて以降、廊下を歩いても音が鳴らなくなった。一方、別の場所にある阿弥陀堂はうぐいす張りと呼ばれていなかったが、再建から100年余りたった近年、音が出るようになった。
音の原因は、床板を固定する金具「目かすがい」と釘にある。
https://www.asahi.com/articles/ASKD90045KD8PTFC012.html


要するに この記事は、鶯張りの廊下が鳴るのは、廊下だけに老化(老朽化)だと言いたいようだ。
史実や科学は歪めず真っ直ぐ受け留めるべきだが、知恩院七不思議の一つと云われ鳴る廊下の音 を楽しんできた私としては、「忍び返し」という方が面白味があったのだが・・・・・。
興ざめというと、上の写真の鶯ばりの廊下は御影堂に続いているのだが、大修理のため、あちこちに足場が組まれ、巨大な柵に覆われ、静かな佇まいは見る影もない。

平成の大修理に驚き狂い咲きしているのか、はたまた冬桜なのか、鴬ばり廊下の側の桜が、小雪舞い散るなか、咲いていた。


厳寒の京の都の珍道中(苦行)は、まだつづく

グーグルさんから届いた一年前の愚痴
うちからの腐敗
本来なら今日は、京の都の空の下のはずであった。夏に信州を、秋に正倉院展を、年末に知恩院をお参りするのは、ここ何年もの家の恒例行事だったが、思いがけず盛大に気分を害してしまい、ワン......

クルシミマスを祓う花

2017-12-27 21:00:00 | ひとりごと
少々言い訳
「クルシミマス、雑考」と書いたからと云え、ベンジャミン・フランクリンに敬意を有していないわけでは勿論ない。

「無敵の言葉」(ベンジャミン・フランクリン 編訳 青木仁志)の 前書きで青木氏は、ベンジャミン・フランクリンが残した書物が「世界最古の名言集」と称されるのは、かの有名な言葉を最初に云ったのが、ベンジャミン・フランクリンだったからだ、と記している。
『Time is money』
・・・・・、やはり ’’下手な考え’’を捻くり回すのは一先ず止めて、素直に本書を読まねば、と思っている。

そんな私の、今年のクリスマスの体感的名言は?
イブになってようやくプレゼントを買いに出かけたのだが、ショッピングモールに飾られたツリーに面白い短冊?を見つけた。
どうも、客が思い思いの願いを短冊に書き、ツリーに括りつけるという趣向らしい。
幼い字で「掛け算が早く覚えられますように」「○○ゲームを買ってもらえますように」などと書かれていたり、明らかに大人の字で「年末ジャンボ宝くじ、お願いします」などと書かれているのは、微笑ましい。
それが、「仲間外れになりたくないから、みんな持ってるスマホが欲しい」とか「孫が、○○(全国区で知られた進学校)に合格できますように」となると、生々しい。
又、たどたどしい文字で「お父さんとお母さんが、けんかをせず なかよくしてくれますように」と書かれているのを見ると、こちらまで思わず祈ってしまう。

だが、クリスマスツリーに見つけた今季最高の名言はズバリ
「一根一毛」
一際目立つ「一根一毛」の文字を見た時には、「一球入魂」のような熟語か何かかと思ったが、小さく「一本でも多くの毛と一秒でも長く共にいたい」と添えられている文を見て・・・最近ワカメは効くのだろうかと考えている私は、大いに賛同し、その願いが叶えられんことを心から祈った、クルシミマスなクリスマスであった。

これでは、幾ら何でもお後が宜しくないので、年末の今も庭で共存してくれているペチュニアとパンジーの花言葉で、きれいに〆たいと思う。

数年前までは、ペチュニアは夏の花だと思い込んでいたので、秋パンジーを植えるのと同時に抜いていたが、多年草だと知ってからは、軒下にペチュニアとパンジーを並べて霜対策をしたりする。
そんなペチュニアの花言葉は「あなたと一緒なら心がやわらぐ」、パンジーの花言葉は「私を思って」なのだそうだ。

来年は、「あなたと一緒なら心がやわらぐ」と「思って」もらえるような人になれるよう、努力しようと思っている。


クルシミマス、雑考 

2017-12-25 21:40:52 | ひとりごと
毎年繰り返される御大の「クリスマスは苦しみます」という手垢のついたセリフを、軽く笑顔でかわさなければならない我が家のクリスマスは、取り立てて何もしないのだが、唯一恒例となっているのは、本をプレゼントし合うことだ。

プレゼントする本を選ぶ時には、選ぶ側の心情も現れるが、受け取る側の状況を念頭に置くものなので、逆に もらった本には、選んだ人のどのような想いがこめられているのかと深読みしてしまう、そんな時間も又楽しい。
そんな本のなかに一冊、自分では絶対に買わない種類の本があった。

「無敵の言葉 超訳」(ベンジャミン・フランクリン  編訳 青木仁志)

本のなかに心の血肉となるような言葉を探すくせのある私だが、実は格言だけを並べたてるような本は、苦手だ。
まして、自己啓発書の類は、まったくといっていいほど読まないのだが、それを十分に知っている家族をして、本書を読ませたいと思うほど、今年の私は弱って見えたのだろうか?何と本書の副題が「弱さに一瞬で打ち勝つ」なのだから。

そんな風に振る舞っていた自分を反省しながら、ぱらぱらページをめくっていると、目に留まった言葉があった。
basic morals17
『時間は決断の質を保証しない
 簡単に手に入れられたものが、非常に価値あるものだったりする』

basic morals17にのよると、「考えた時間をムダにした、と思いたくないから、たいていの人は、考えれば考えるほど素晴らしい答えが生まれる、と勘違いをしているだけで、本当に良い答えというものは、目的と情報が確かに揃っていれば瞬時に導かれるもので、時間がかかるということは目的も曖昧で情報が不足している証拠なのだ」という。
ふ~ん、なるほど。
私は石橋を叩いても渡らない口なので、原文『Ask and have, is sometimes dear buying』も超訳も理解が難しいのだが、その一側面を窺わせる記事を見つけた。

<「一目惚れ」で結婚すると離婚しないって本当?> All About 2017年12月24日21時15分配信より一部引用
■「一目惚れ婚」なんて本当にうまくいくの!?
アメリカで「一目惚れして結婚したカップル」1500人を対象に調べた結果、実際に一目惚れを経験した約半数の55%がそのまま結婚したそうです。
ビックリするのは、そのリサーチでの離婚率です。男性の場合でもわずか20%、女性に至っては10%以下という驚くべき数字が出ています。アメリカでは、結婚した夫婦の約半数が離婚するという恐るべき現実を踏まえると、やっぱり「一目惚れ結婚」って理想のカタチであると実感せざるを得ないデータと言えます。
出逢ってすぐの結婚は周囲の一部から反対されやすいですが、この数字だけ見れば、やはりその第一印象や直感はとても大切だということです。自分に置き換えてみれば、実際に付き合えるか別として、そもそも恋愛の対象か否かは、やはり見た目や会ったその日の印象で9割近く決まっているかも知れません。


この記事は、リサーチ結果に加え、「男性からの一目惚れの方が離婚しにくい!?」「女性が一方的に追いかける一目惚れはやっぱり危険?」という独自の考察も加えているが、これを読みながら、ふと学生時代の知人を思い出した。
彼女は、「学歴は顔に張るわけにはいかないけれど、顔は四六時中目の前に突き付けられているものだから絶対に妥協しない! 人は見た目が一番」と豪語していたのだが、さてはて彼女は、思い通りの見た目の人に出会い、一瞬にして恋におち、平和な家庭生活を築いているのか?

アメリカのリサーチと、それを元にした記事の正しさを検証するだけの情報を、私は持ち合わせてはいない。

ただ、人生においても長考が過ぎる自らを顧み、「下手な考え休むに似たり」が何事にも当てはまる万国共通の箴言なのだろうかと考える、苦しみますなクリスマスである。




山に向かう足あと、山より聞こえる足音③

2017-12-24 22:00:00 | 
「ディストピアに向かう国①」 「岐路に立つ、国②」より

「岐路に立つ、国」で、お伊勢さんと おかげ犬の清浄な空気に触れたおかげかな 
それとも、このところ元気がなかった私を、励まそうと思ってくれたのかな
ワンコが天上界の住犬になって初めて、ワンコの足音を聞いたよ ワンコ
どういうわけか、ワンコは桜材の廊下を歩く時に独特の足音を立てたろう?
あの足音を久しぶりに耳にし、
嬉しくって懐かしくって、涙がでたよ ワンコ

蝶が岳にて朝日を待つ

今月のワンコお告げの本「海に向かう足あと」(朽木祥)の表紙は、
海と犬(ラブラドール)とヨットが描かれているのだけれど、
ワンコは水が苦手で海で遊んだことがないし、
そもそもワンコの名前は、お山から頂いているので海には縁がないから、
ワンコを想いながら拝んだ、日の出を待つ雲海の写真を掲載することにしたんだよ

本書「海に向かう足おと」はね、
日々おかしな方向に向かっていると漠然と感じながら、手を拱いているうちに、
どうしようもない事態が起こってしまうという話で、
それは まるで、今の我が国と・・・私のようだよ ワンコ

「岐路に立つ、国」で、「ユートピア」(W・シンボルスカ)と題していながら恐ろしい詩を紹介したけれど、
本書には もう一つ、同じくW・シンボルスカの詩も紹介されていて、
これも又ちがう恐さを教えてくれるんだよ

「恐ろしいほどの幸せ」
(W・シンボルスカ)

恐ろしいほどの幸せ
我々がどんな世界に生きているのか
はっきりと知らないでいられるのは


難しいんだけどさ ワンコ
本書に、取り返しのつかない事態や、嘆き右往左往する人々や、恐ろしい詩が書かれているからといって、
どうにも、希望がないわけではないと思うんだよ ワンコ
難しんだけどさ ワンコ

ただただ落ち込んでいる若者に、
オールドソルト(老練な水夫)が ボンバールの言葉をひいて発破を掛けるんだよ

『人間は希望を失ったら三日で死ぬんだよ』
『・・・・・’’いかなる物理的素因よりも、いっそう有効で、またすみやかに作用する恐怖心に対して、どう戦えばいいのか?’’』
『望みさえ捨てなきゃあ、どう戦ったっていいんだよ』

希望、望み
・・・・・
この言葉を胸に、クルーは海に漕ぎ出すんだよ ワンコ
まだ取り返しのつかない恐ろしい事態が及んでいない、ユートピアのような島から、
おそらく、この世のものとは思えないほど破壊され尽くした東京へ向け、
海に漕ぎ出すんだよ

この物語が難しく恐いのはね ワンコ
希望をもって出航する最終章の行方が、読めないことにもあるんだよ
『望みがあるっていうのは、~略~どんな日でも、とてもいいことだからだ』
という言葉がある一方で、
ヨットが向かう海と空の不気味さが書かれているんだよ
いつもなら、美しい朝焼けが終われば澄んだ空が広がるはずなのに、
その日 ヨットが出航した海と空は、赤いままだったんだよ 
それは、まるで原爆が投下され火の海になった広島を思い出させるようなものだったんだよ

何も知らないってことはね ワンコ
おそらく、とっても幸せなことなんだよ ワンコ
何も知らないから、希望や望みをもって、舟を漕ぎ出し戦うことができるんだよ ワンコ
その結果、希望の残骸が死屍累々と積み上げられようとも、
やっぱり、希望を胸に戦わなければいけないんだな ワンコ

何も知らないってことは、とっても幸せで、恐ろしく残酷なことだね ワンコ
でも、そうしたところに、国と個人の明日が見えてくるんだろうな ワンコ
難しいさ ワンコ
 
蝶が岳より、ワンコのお山を拝する

本書はね、船上のクルーが一度だけ島を振り返り、
そこに、犬の姿を認めた場面で、物語が終わるんだよ ワンコ
「海に出ていく船には、見送る人が必要だ」というセリフが本書にはあるけれど、
戦いに旅立つ人を、最後まで見守るのが、犬だということに、じ~んときたよ ワンコ

ワンコ、君は海の向こうからではないけれど、
お山のてっぺんから、ずっと私達を見守ってくれているよね ワンコ

そして、すぐに立ち向かうことを諦めようとする私に、
時に発破をかけ、そして優しく励まし、見守ってくれているよね ワンコ

あと一月で、ワンコが天上界の住犬となって2年になってしまうけれど、
こうしてお告げの本を通じてワンコとお話しできることを幸せだと思うよ ワンコ

来年は戌年だから、さらにパワーアップして、しっかり見守っておくれよ ワンコ