時に4コマブログ 『この世はパラダイス』

世の中いろいろありますが、ココロはいつも夢幻郷。

めくるめく名画の陶酔(オルセー編)

2016-03-20 23:29:46 | つなぎ






 先日のボストンに続き、また出張で先々週パリに行き、その後先週またまたボストンに行ってきました。海外出張は1年半近くご無沙汰していたのに、連続するときはするものです。もう少し間隔が開いてくれると良いのですが、業務上の都合なのでこればかりは自分の思い通りにはなりません。

 先日のボストン出張では全く余裕がなく、どこにも行く余裕がありませんでしたが、パリと今回のボストンでは何とか時間を見つけて美術館巡り(オルセー、オランジュリー、ボストン美術館)をしてきました。いずれも充実した名画のコレクションで、ただただ呆然として見とれるばかりでした。いまだに数々の傑作が頭の中をぐるぐる回り続けています。 

 日本と違って、いずれの美術館もフラッシュさえ使わなければ写真撮影はOKなので、撮りまくってきました。ちょと数が多いので、美術館毎に3回に分けてアップします。まずはパリの風景を含めオルセー美術館から。

 パリは10数年前に出張で行って以来2度目です。シャルルドゴール空港に到着し、タクシーに乗り込んで外に出ると、何と大雪の吹雪状態でした。出発前の日本も寒かったですが、 パリはもっと寒かったです。

 

 
 しかしホテルに着くころにはすっかり雪も止み、晴れ間も出てきました。


今回泊まったホテル
(朝食バイキングはおいしかったです)


ホテルの窓から

 荷物を片付けてから、フロントで行き方を聞いて早速オルセー美術館へと向かいました。パリの美術館はどこも行ったことがありませんでしたが、ルーブル、ポンピドゥーセンター(国立近代美術館)、オルセー、オランジュリー、マルモッタン美術館等いろいろあるなかで、やはり何と言ってもまずは印象派のコレクションで日本人に人気の高い、オルセーとオランジュリーに行くことにしました。

 一番近いのは歩いて行けるマルモッタン美術館(先日東京都美術館に見に行ったモネの「印象、日の出」所蔵)でしたが、日本では立ち止り禁止でろくに見られなかった「印象、日の出」はまだ日本巡回中でもあり、結局行きませんでした。。

 ホテルで教えてもらった通り、まずホテルのすぐそばのバスターミナルの脇の駅から メトロ9号線に乗り込み、乗り換え駅のFranklin D. Roosevelt駅に向かいました。なんでパリの地下鉄の駅にアメリカの大統領の名前の駅がついているのかは謎ですが。



バスターミナル


地下鉄入口


地下鉄ホーム


親切に日本語表記も 

 慣れないので乗り換え(1号線)はちょっと迷って、最初は違うホームに行ってしまいましたが、なんとか目的地のコンコルド広場にたどり着きました。



コンコルド広場


オベリスク

 今回は行く余裕はありませんでしたが、広場からはセーヌ川越しにエッフェル塔が見えました。






 

 同じく行く余裕はありませんでしたが、凱旋門も遠くに望めます。



 オルセー美術館はコンコルド広場からセーヌ川を渡ってしばらく川沿いに歩いたところにあります。地図を持ってどの建物かなーとうろうろしていたら、学生風のお兄さんが親切に「ここだよ!」と教えてくれました。美術館と言うと、周辺に庭園があってもう少し広い敷地の真ん中に立っているような印象があったのですが、道沿いに何気なく建っているのでちょっとすぐにはそれと分かりませんでした。



オルセー美術館入り口

 もともとはパリ万博のために作られた鉄道の駅舎だったとのことで、内部は吹き抜けで解放感のある作りです。駅舎の名残りの正面の大時計が立派で印象的でした。



 今朝たまたまテレビでオルセー美術館紹介番組(田中麗奈が案内役)をやっていましたが、この美術館の歴史は比較的浅く、開館はほんの30年前だそうです。ここの印象派の作品は当時全く評価されず、酷評されていたものを、同じく画家のカイユボットが価値を見出して収集し、ゆくゆくはルーブル美術館に入れるよう遺言を残したものだったそうです。当時は下のビーナスのような神話や理想化された世界をきっちり描くのが良い絵とみなされていたようで、印象派のような絵は全く異端だったのでしょうね。






 ともあれ、印象派もそれ以外も、目もくらみそうな素晴らしい名画の数々が、これでもか、というくらいあまりにさりげなく並んでいます。しかも他の見物人にもじゃまされずに見られるなんて夢のようです



(ミレーの部屋:下段の真ん中が晩鐘、右が落ち穂拾い)








 

 ルソー(上)は決して巧い絵ではないでしょうが、不思議な魅力がありますね。またモローの絵(下2点)は、実物は写真や絵では到底分からない、感性に直接強烈に訴えかけるものがありました。これまでモローの本物は見たことがありませんでしたが。






 先日日本に来た、あのマネの少年もいます。やはり周囲とは違う輝きを放っていました。












ちょっとピンぼけ


ロダンの彫刻(確か上野の近代美術館にも同じものがあったような...)


これも上野の近代美術館にもあったような...


スーラの点描


ゴーギャン

 ゴッホのところはさすがにちょっと人が集まっていましたが、見るのに支障があるほどではありませんでした。






なんとも言えない妖気が漂っています





これは人だかりがしてましたが、私も好きな作品です





死の直前に描いたという絵
(内面の苦悩がにじみ出ているような...)


ルノワールも贅沢に一人占めっ!
(日本では到底考えられません)


オランジュリーにもほぼ同様の構図の絵がありました
(私はこっちの方が好きですが)








セザンヌも一目でそれとわかるタッチですね


最もセザンヌらしい絵でしょうか





ドガも強烈な何かを発しています








モネは言わずと知れたおなじみの睡蓮の数々





なぜか干し草の絵も多数ありますね


これはやはり傑作ですね


これも素晴らしいですね


昨年の私の部屋の名画カレンダーにあったピサロ

 翌日仕事の打ち合わせをしたものの、前日の名画の数々に圧倒され、半ば放心状態でした。その晩は会議に先立ち関係先と会食でしたが、エッフェルタワーの見える夜景のきれいなレストランでした。






レストランのテラスから
(時々全体がきらきらきらめくイルミネーションが点灯しますが、撮り損ねました) 


 仕事の成否はともあれ、「生きてて良かった―」と心底思えるほどの素晴らしい名画体験でした。